学問・資格

2009年10月25日 (日)

日本語で読めるUSCの映画の教科書

 このあいだ、本屋で映画本のコーナーをウロウロしていたら、USCの映画学部で使っていた教科書の翻訳が出ているのを発見、「これがもうちょっと早く出ていてくれたら、あんなに必死になって英語で読む必要はなかったのに」と、ちょっと悔しい気持ちになりました。
 先日紹介したシド・フィールドのシナリオ本もそうですが、ここ数年のあいだに続々と翻訳が進んでいるようですね。
 そこで、ちょっと気になったので、USCで私が教科書として使った本のうち、日本語訳があるものを調べてみました。

マッケンドリックが教える
映画の本当の作り方

アレクサンダー・マッケンドリック (著)
吉田 俊太郎 (翻訳)

フィルムアート社
(amazon)

 これが、つい先日、日本版が出版されたもの。
 カルアーツ(カリフォルニア芸術大学)の初代映像学部長で、同学部の基礎を築いた映画監督が書いた「演出の教科書」。
 いろいろな示唆に満ちたパート1と、具体的なショットの構成法について書いたパート2から成っていて、私のような初心者はパート2を熟読してから撮影に臨むべき。そして、何度か実際の製作を行ってからパート1を再読すると、いろんなことがものすごく腑に落ちてくる(だからといって、そうそう簡単に自分もできるわけじゃないですけどね)。

ザ・ムーヴィビジネスブック 第3版

ジェイソン・E・スクワイヤ (編集)
金子 満 (監修)

ボーンデジタル
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 これも今年翻訳が出た本。
 複雑怪奇なアメリカの映画産業の内側を、各分野の現役のプロたちが語りおろしたもの。
 特にこの最新版は、90年代後半以降激変したビジネス状況をきちんと反映したものになっているところがいいです。
 これは自省も込めてですが、日本と商習慣が大きく違うアメリカ映画の世界について、きちんとした共通了解を持つための基本として、読んでおきたい1冊です。

映画の瞬き
映像編集という仕事

ウォルター・マーチ (著)
吉田 俊太郎 (翻訳)

フィルムアート社
(amazon)

映画監督・キャメラマンになる
プロフェッショナル撮影技法

ブライン・ブラウン (著)
石渡 均 (翻訳)

フィルムアート社
(amazon)

 こちらの2冊は昨年日本で出版されたもの。
 マーチの本は映像の編集について、ブラウンの本は撮影について書かれたもの。

 マーチの本の第1部はマッケンドリックの本の第1部同様、ベテランが自分の経験を元に、テクニックの極意についてエッセイ風に語っているので、読み物としてはおもしろいけど、基本的な編集技術がないとあまり教科書的な意味はないでしょう。ただし、一度自分で編集作業を経験してから読むと、いろいろと示唆に富んでいてすばらしいという点もマッケンドリックの本と同じ。

 一方、デジタル化によって実現したノンリニア編集について書かれた第2部のほうは、今や現場の人たちにとっては当たり前すぎてそれこそ意味はないかも。
 まったく編集というものについての知識のない人にとっての初読書には最適かも。

 ブラウンの本は、動画撮影についてのありとあらゆる基礎知識を詰め込んだ欲張りな本。
 その分、各章の記述がタイトでもうちょっと詳しく説明して欲しい気もしますが、常に具体的なところが頼もしい1冊です。


 さて、以下はすでに何年も前に翻訳されていた本です。

演技のインターレッスン
映像ディレクターの俳優指導術

ジュディス・ウェストン (著)
吉田 俊太郎 (翻訳)

フィルムアート社
(amazon)

サンフォード・マイズナー・オン・アクティング
ネイバーフッド・プレイハウス演劇学校の1年間

サンフォード・マイズナー (著)
デニス・ロングウェル (著)
仲井真 嘉子N (翻訳)
吉岡 富夫 (翻訳)

而立書房
(amazon)

 この2冊は、日本に帰ったときに、とっくに翻訳が出ているのを知ったもの。とほほ。

 いずれも、俳優の演技、特に、いわゆる「メソッド演技」の手法について書かれたもので、特にウェストンの本は演出家(監督)がいかに俳優にアプローチすればスムーズに進むかについて、俳優の立場から説いているのが特徴的。

 良いか悪いかはともかく、アメリカではメソッド演技が映画俳優たちの演技手法の主流となっており、もはや一部の有名アクターズスタジオ出身者のみならず、演技を習ってる人たちは猫も杓子もメソッド演技をかじっていると言ってもいいかもしれません。

 そういう状況下で、俳優を相手にコミュニケーションを図るには、演出家の側もメソッド演技の基本的な用語と手法を知っておいて、共通の言語で話し合うことが大事になってくるわけです。
 ……実際にはメソッド演技なんか興味ないと思ってても(笑)。


映画監督術
SHOT BY SHOT

スティーブン・D・キャッツ (著)
津谷 祐司 (翻訳)

フィルムアート社
(amazon)

映画監督術〈2〉
cinematic motion

スティーブン・D・キャッツ (著)
津谷 祐司 (翻訳)

フィルムアート社
(amazon)

 この2冊は、渡米前に買って持っていったもの。
 この2年半で一番お世話になった本でもあります。
 なにしろずぶの素人なもので、脚本を分解してカットやショットのレイアウトやつながりを考えるときの、基本がまったくわかっていなかったのです。
 そこで、プリプロダクション中はいつもこの2冊を脇に置いて、カメラの配置や動きに迷ったときは、何度も参照しては自分の考えをまとめる助けにしています(現在形(^^;)。

 また、原書と日本版を見比べながら、「こういうときは英語でどう言えばいいのか」をチェックできたので、撮影時にクラスメートたちと話すときにもずいぶん助けられました。

映画監督という仕事
ディレクターズ・クローズアップ

ジェレミー・ケイガン (編集)
水原 文人 (翻訳)

フィルムアート社
(amazon)

 アカデミー賞を受賞した監督たちのインタビュー集。個人別ではなく、収録したインタビューをテーマ別に再編集しているので、個々人の考え方の違いがよくわかっておもしろいです。

 演出に唯一の正解はなくて、本人が一番やりやすい手法を見つけることが大事だということを認識させてくれる本。

マスターズオブライト
アメリカン・シネマの撮影監督たち

デニス・シェファー (著)
ラリー・サルヴァート (著)
高間 賢治 (翻訳)

フィルムアート社
(amazon)

 アメリカの映画製作システムの中でも、日本と大きく違う点は、「撮影」と「照明」が分業化されていないことです。
 つまり、撮影監督が照明についても自らコントロールしているのです。
 本書は、そんなアメリカの撮影監督たちに、それぞれの経験から「撮影と照明」について語ってもらったインタビュー集です。

 この本は、ずいぶん前、刊行時に買って、初めて読んだときは、書かれていることがほとんど理解できず、途方にくれてしまったものでした。
 結局、教科書の一つとして、英語で再度読む羽目になってしまったのですが、今度は少なくとも「自分は照明の何がまだ理解できていないか」が具体的に言えるくらいには、中身が読めるようになってました。
 というわけで、初心者にはかなり高度な本ですが、蘊蓄たっぷりで読み応えがあります。


 もちろん、どれだけ本を読んでも、良い映画が作れるようにはなりません。ま、今の私が良い例でしょう。何本短篇撮っても、いまいち自分で納得できるところに辿りついてないもんなあ。(^_^;

 でも、機材だけを手に、何の予備知識もなくがむしゃらに映画を作ろうとするよりも、先人の知恵に耳を傾けることは、大事なことだと思います。特に「さて、ここからどうしよう?」と判断に迷ってるときは。

 というわけで、以上、日本語で読めるUSCの映画の教科書類でした。

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2009年6月 9日 (火)

シド・フィールドの脚本術

映画を書くためにあなたがしなくてはならないこと
シド・フィールドの脚本術

シド・フィールド
安藤紘平、加藤正人、小林美也子、山本俊亮訳
フィルムアート社
(amazon)

 10数年前、初めて脚本を書いたときから、わたしがずっと参考にしていた、アメリカでももっとも古くて有名なシナリオ教本が、ついに翻訳されました。
 しかも、数年前に改訂された最新版に基づいているので、例として最近の作品にもたくさん言及されているところもいいです。

 日本と違って、アメリカではこの手のシナリオ・ハウツー本が山のように出ているのですが、本書はその草分けとも言うべきもので、79年に初版が出版されて以来、今回翻訳された第4版まで、常に重版し続けているベストセラーです。

 しかも、今ではアメリカで常識とされている、映画シナリオの「3幕構成」について、最初にきちんと言及した本でもあり、まさにハリウッドにおけるシナリオ執筆の基礎の基礎について書かれた本だといってもいいでしょう。

 さらに、今回の翻訳版は、巻末に「日本におけるシナリオの書式」という章も設けられているので、日本人にもとても親切。

 常々思うことですが、「何を書くか」に関しては、個々人の才能に頼る部分が大きいものの、「いかに書くか」については、技術が大きな役割を占めていて、しかもそれは「学ぶことが出来る」ものだったりします。

 この本は、まさに「いかに書くか」について学ぶための大きな指針となってくれるものです。

 今まで私は、本書の原書(しかも旧版)をつねに手元に置いて、ことあるごとに参照していましたが、最新版を日本語で読むことができるようになって、とても嬉しく思っています。

 シナリオに興味のある人は、ぜひとも読んでみて欲しい一冊です。

 この手のアメリカのハウツー本の特徴である「具体的に何をすべきか、論理立てて解説している」ところが、ややもすれば精神論に流れがちな日本人には、逆に新鮮で有益な視点を与えてくれるはずです。

 もっとも、今の私は、さらに具体的なUSC流の「3幕8場構成術」を教えてもらって、大いに参考にするようになっているのですが、まあ、それは企業秘密ってことで(笑)。

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2008年9月24日 (水)

授業中に固まってしまった。orz

 えー、やらかすんじゃないかと思ってたんですが、やっぱりやらかしてしまいました。
 今日の「演出テクニック」の授業、実習で監督役がまわってきちゃって、見事にフリーズしちゃって、呆然と立ちつくしてしまってました。とほほ。
 いやー、今まで他の生徒がやってるの見ながら、これはやばいと思ってたんですが、案の定でしたよ。

 お題は「ヒーローズ」第1話の、クレアと義母が台所で会話するシーン。
 これを、シナリオだけ見て、舞台を簡単にレイアウトし、役者をブロッキングして、5台あるカメラの配置と切り替えの指示を出す、って実習なんですが……、完璧に撃沈しました。

 なんとか、舞台をセッティングして、役者の最初の立ち位置までは決められたんだけど、カメラの位置とか移動とか、その場ですぐに考えつかなくて、頭んなか真っ白になって立ちつくしちゃいましたよ。

 先生に「で、このカメラはどこに置く? 何を撮る?」とか聞かれても、「えーっと」としか答えられず、結局ものすごく時間をかけて、無難に正面からの2ショットと、それぞれの肩越しのショット、それにロングショットの4箇所にカメラを据えたものの、切り替えの指示が出せずにもたもたしてしまって、先生も他の学生にはいつも聞いてる「このショットにはどういう意味があるんだね?」なんて質問もしないで、おしまいになってしまいました。

 てか、聞かれても答えられなかったっすけどね。
 いつも、ショットリストとフロアプラン書くのに、何日もかけちゃってるのに、その場でこんなこと、急には対応できませんわ。
 これができなきゃ、テレビの世界じゃ生きていけないって、こないだからずっと言われてるんですが、かなり厳しいなあ。

 脚本の打ち合わせでもそうだけど、その場で即答するのが苦手で、一旦時間をかけて考えをまとめないととっちらかっちゃうんですよねえ。そこからなんとかしないと、監督はムリだってことかなあ、やっぱ。
 いやはや、前途多難。

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2008年9月21日 (日)

スティーヴン・ボチコの講演

Dsc00760_2 月曜に、テレビプロデューサーのスティーヴン・ボチコが、最新作「レイジング・ザ・バー」をひっさげて、うちの大学に講演にやってきていました。

 ボチコといえば「ヒルストリートブルース」、「LAロー」、「NYPDブルー」という3大テレビドラマで、1980年代からついこのあいだまで四半世紀にわたってテレビ界に君臨し、アメリカのテレビドラマの歴史を書き換えたとまで言われる超大物であります。

 わたしも大学生時代(いやまあ今も大学生ですが)の80年代に、「ヒルストリートブルース」をテレビで見て、「こんな警察ドラマ、見たことない!」と目から鱗が落ちまくり、夢中でボチコ作品を追いかけていたものです。

 そんなわけで、生でボチコを見ることができるという機会を逃してなるものかと、喜び勇んで参加したわけです。

 まずはボチコの経歴紹介のあと、「ヒルストリートブルース」の第1話と、「レイジング・ザ・バー」の第3話(この時点での最新エピソード)の上映がありました。まさに、ボチコの輝ける作品歴の序章と最新章の同時上映って感じですね。
(ちなみに、「レイジング・ザ・バー」の紹介はこちら)

Dsc00757 そして、いよいよボチコが「レイジング・ザ・バー」の主役俳優と共に登場。まずは、最新作「レイジング・ザ・バー」について、話し始めました。

 ボチコによれば、このドラマは司法システムについて描いたドラマだとのこと。完全に機能不全を起こしているアメリカの司法システムを、弁護士、検事、判事といったそれぞれの視点から描いていこうとしてるんだそうです。
 なにしろ、ニューヨーク市では年間30万件の刑事訴訟が行われており、あまりの数の多さに、実際には多くの訴訟がまともに審理されず、ベルトコンベア式に次々に処理されてしまっているのが実情なんだとか。

 このドラマの共同原作者であるデイヴィッド・ファーゴは実際にニューヨーク市で20年以上にわたって公選弁護人を勤めてきた人で、彼が自分の体験に基づいて書いた本をボチコが読み、TNTネットワークの重役に「何か良い企画はないかい?」と聞かれたときにその話をしたところ、トントン拍子で話が進んで、この作品ができたとのこと。

 ボチコに言わせると、ファーゴのようなニューヨーク市の公選弁護人たちは、皆どこかドンキホーテのようなところのある理想主義者で、常に人間の最悪の部分ではなく、最良の部分を信じて、被告のために懸命に働いている。このドラマでもそこのところをうまく表現したかったということでした。
 たぶん、だから主役に、甘いマスクに長髪、学生みたいな服装という風貌の若者を配置したんでしょう。

 主人公を含めてレギュラーたちがすごく若いのは、テレビ的に見栄えが良いからじゃなくて、実際、ニューヨーク市で働いている公選弁護人たちや検事補たちの多くが20代であることからきているんだそうです。
 でも、そこで美男美女をそろえたのは、ちょっとテレビ的な見栄えも考えたんだと思うな(笑)。

 また、ドラマに必要なのは、良いキャラクターとストーリーで、それを満たすためにはリスクを冒すべきであり、実際、これまでずっとテレビドラマを作ってきて、ストーリーに関してテレビ局側からクレームをつけられたのは、一度きりだとか。
 常に、放送上で問題となるのは、1.汚い言葉、2.セックスシーン、3.暴力シーンであって、ストーリーそのものではない、とも言ってました。このあたりは、日本とはずいぶん事情が違うような気がします。

 ただし、本当にオリジナル(独自)過ぎるものは、つまりは奇抜すぎるわけで、視聴者には受け入れられないとも言ってました。
 かつて、ボチコは「コップ・ロック」という、現代の警官たちを主人公にしたミュージカルという、ものすごく斬新なテレビドラマを作ったんですが、斬新すぎて数回で打ちきりになってしまったことがあります。
 本人はそれを今振り返って考えると、元来ミュージカルというのは、舞台的な人工的な環境をこしらえて、お客に「これは作り物なんだから、急に人々が歌い出しても、それはそういうお約束なんだ」と納得させるものなのに、テレビのブラウン管に映し出されてるリアルな警察ドラマの中で、急に登場人物たちが歌ったり踊ったりし始めたら、そりゃあ視聴者は相手にしてくれなくて当然だ、と思ってるそうです。
 会場にはわたしも含めて、数人の熱心な「コップロック」ファンもいましたけど。(^_^;

 ともあれ、かのボチコとはいえど、作った番組がヒットするかどうかは、放送されるまでは、自分にはさっぱりわからない、とのこと。
 ヒットするときはするし、しないときは、どれだけがんばってもダメ。
 ヒットする要因は、時には作品のコンセプトだったり、キャストの組み合わせが良かったんだったりとさまざま。
 テレビドラマなんて、「できちゃった結婚」みたいなもんで、そのあとうまくいくときもあれば、いかないときもあって、本人たちにはコントロールできないんだよ、だそうで。(^_^;

 ちなみに、「ヒルストリートブルース」は地上波のテレビ局の、「レイジング・ザ・バー」はケーブルテレビ局の作品なんですが、地上波とケーブルでは製作上、どんな違いがあるか聞いてみたら、ケーブル局の仕事は、予算は確かに地上波と比べると少ないが、局側がものすごく敬意を持って接してくれるし、製作上の自由度も高くて、そういう点ではとてもやりやすい、と答えてくれました。

 ボチコ自身はほとんどテレビは見ないそうです。忙しいというのもありますが、彼によれば、テレビばかり見ていると、テレビ的なリアリティに自分の感覚が毒されてしまって、ついつい現実味に欠けるシナリオを書いてしまうのがイヤなんだとか。また、最近の若い脚本家の問題点はそこにある、とチクリと若者批判もしていました。

 そんなボチコにとっては、脚本家になるのが昔からの夢で、今でもシナリオを書くのが一番好きな仕事であって、たまに書く小説は純粋な趣味でしかないんだそうです。
 そして、プロデューサーになったのは、自分の作品を守るため、作品全体のコントロールをする必要を感じたからで、自分にとって一番大事なことは、自分がこれだと思った物語をそのまま作り出していくことなんだとか。
 脚本家出身のテレビプロデューサーらしい、目的意識のはっきりした意見だと思いました。

Img_2 というわけで、あっというまに夢のような3時間は過ぎてしまったんですが、講演後、メモを取っていたノートを持ってボチコに挨拶に行き、サインをもらってきてしまいました。やったー!(^_^)

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2008年9月17日 (水)

ここ2回の「上級プロジェクト開発」と「長篇脚本執筆」

 先週からぴたりとブログの更新が止まっていたのは、「上級プロジェクト開発」と「長篇脚本執筆」のシナリオ執筆にかかりきりになってたからです。てか、まだズルズル書いてるんですけど。(^_^;

「上級プロジェクト開発」のほうは、一組5人の小さなクラスにさらに分かれて、週一でワークショップを実行中。10月末までに初稿、2稿、決定稿と最低でも3回、シナリオを提出しないといけないわけですが、……まだ初稿を書いてたりします。orz

「長篇脚本執筆」のほうは、今のところまだプロットや登場人物の設定を掘り下げている段階。10月以降は毎週最低10ページずつ書き進めて、120ページ(約2時間分)のシナリオの初稿を書き上げるのが目標です(改稿は次学期の「長篇脚本執筆B」で)。

 どっちも毎週の〆切が土曜日と重なってる上に、土曜日は朝から夕方まで「映像演出」の授業があって何もできないに等しいため、水~金の3日間、ほぼ自主カンヅメという状態が続いていて、とってもしんどいことになっているのでした。
 まあ、「上級プロジェクト開発」の初稿と、「長篇脚本執筆」の詳しいプロットが書き上がったら、もうちょっと楽になるだろうと思ってはいるのですが。

 つうか、そうじゃないと、他の授業(「演出テクニック」と「映像表現」)も10月以降は課題の提出があるので、かなりヤバイです。
 毎学期毎学期、誰かに「次の学期からは楽になるよ」とか言われるんですけど、全然そんなことないのは、どーゆーこと?(-_-)

 授業自体は両方とも、書いていった原稿に対して、先生と他の生徒たちから講評を受けるということの繰り返しなんで、あんまり特記するようなことはありません。
 どちらも、先生の体験談がたまに話題として出て、それがおもしろかったりしますが。
 テレビシリーズ版「荒野の七人」のシナリオを書いてたときのちょっと良い話とか、「炎のテキサス・レンジャー」のシナリオ書いてたときの爆笑もののエピソードだったりとか。(^_^;

 ちょっと「なるほど」と思ったのは、
「他人の意見はあくまで参考。特に先生は、何が正しくて、何が間違っているというようなことを言うつもりはない。ただ、別の選択肢もあることを示すだけ。最後は書き手である自分の判断だから。ただし、誰もが同じ点を指摘するようなら、そこには問題があると思ったほうがいい」
 という言葉でしょうか。
 小説なんかの「創作講座」の教え方の基本とも、あい通じるような気がします。まあ、問題は、生徒側がそうやって得たアドバイスを、うまく取捨選択できるかだったりしますけど。

 さて、今期受けてるもう一つの授業「映像表現」については、いろいろ盛りだくさんなので、来週あたりに隙を見てまとめてみたいと思います。では。

 あー、ほんとにシナリオなんとかしなきゃ!

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この3週の「演出テクニック」

 ずいぶんいろいろありましたが、とにかくメモをまとめとかないといろいろ忘れそうなんで。(^^;

 前々回の授業は座学オンリー。
 まずは、anticsっていう3Dストーリーボード作成ソフトの宣伝の人が来て、デモをしていきました。
 ゲームソフトのコンテなんかですでにわりと使われてるとか。
 単にレイアウトやカメラ位置だけじゃなくて、自由にカメラや人物などを動かせるので、移動ショットのイメージをコンピュータ上で作成して打ち合わせができるという優れもの。
 もっとも、先生は、
「便利なツールだけど、別に要らないといえば要らないよな」
 とかってあとで言ってましたが。(^_^;
 まあ、でも、「ロード・オブ・ザ・リング」のCG場面の打ち合わせでもこの手のソフトが使われてたようですし、特撮を加えたアクションシーンなんかのイメージングには、これからドンドン使われていくことになるのかも。
 個人的には、とにかく画を描くのがヘタだし、込み入った撮影のイメージを人に伝えるのに、こういうソフトがあると助かる気はします。

 そのあとは、イマジナリー・ラインについて、再び基本的な話をまずしてから、カメラがラインを越えまくっているけど、違和感のない場面の例として、スピルバーグの「カラーパープル」から、家族で食事をしている場面を見せられました。
 この場面で、スピルバーグは1台のカメラで15以上のセットアップを撮ってしまっています。そして、テーブルを囲む家族の面々の顔を次々にジャンプしていきながら、場面の緊張感を盛り上げていて、先生曰く「何気ない場面だけど、とにかくすばらしい」とか。
 まあ、前の授業でも言われてましたけど、基本がわかった上で、意図的にラインを越えることは、場面に緊張感を与える効果的な手法だってことでしょう。あくまでも、なんで普通はカメラがラインを越えちゃいけないか、わかってないとダメですが。

 この日は最後に、過去の授業で生徒が作成した短篇を2本見せてもらって、「まあ、こんな感じ。大丈夫、撮れるよ」と、とってもでかいプレッシャーをかけられて終了。(^^;

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 さて、前回も、やはりイマジナリー・ラインの話から。
 トム・ティクヴァ監督の「ヘヴン」という映画のオープニングとエンディングを見せられて、「セリフがいっさいなくても、カメラワークだけでドラマチックな表現ができる(それこそ、同じようなクレーンショットでも、カメラの移動速度が違うことで、画面の雰囲気=主人公たちの気分が変わって見える)という話をしてから、ラスト前の、テーブルで食事をしている何気ないシーンに着目しろと言われました。

 この場面、カメラが主人公たち二人に近づいていくと、一瞬でカメラがラインを越え、二人の配置がまったく逆になるんですね。
 この場面まで、この二人は常にどちらかが優位に立っていたのが、ここで初めて平等な立場になって、ようやく得た自由を満喫しに出て行くんですが、その瞬間を、カメラがラインを横切ることで、観客に印象づけようとしてるんだとのこと。まあ、突然、二人の位置関係が変わっちゃうんで、見てる方は「何事?」って思っちゃいますわな。

 前回同様、先生いわく、
「ラインをカメラが横切って悪いことなんかないんだ。ただし、それには常に理由が必要だけどね。というより、うまくいけばOK、うまく観客に伝わらなくて「変だぞ」って思われちゃったらダメ、ってだけなんだけどさ(笑)。ともかく、ルールなんて、ただのルールでしかない。野球で言えばバッティングのフォームみたいなもんだ。皆、それぞれいろんなフォームで構えてるじゃないか。中には、なんだそれってのもある。でも、要はどんなフォームだろうと、ボールをバットに当ててヒットが打てりゃそれでいいんだよ」
 とのこと。
 野球のたとえは、プレイスタイルが画一化されてないアメリカらしいたとえだと思いました。日本じゃなかなかこうはいかないかも。というか、このへんにも国民性の違いが出てたりして。(^_^;
 ともあれ、先生の結論は、
「シリアスになりすぎるな。これはゲームなんだ。楽しめ」
 だとか。これもすごくアメリカ的だよなあ。

 でもって、後半は初回同様、またも即興で演出の実習。テレビドラマ「カリフォルニケーション」(デイヴィッド・ドゥカブニー主演のかなりブラックなコメディ)の1シーンをその場で演出するってことで、その場で2人の生徒が監督に指名されて、順番に演出することに。

 まず先生が学生に聞いたのは、
「これは何に関する場面か?」
「登場人物たちは、本当は何を望んでいるのか?」
「実際に起こったことは何か?」
 の3点。
 これらを明確化させることによって、「障害を最小化」して、俳優たちに自由度を与えることが大事なんだとのこと。
 俳優に対する指示のアドバイスとしては、
・最初からあまり細かい指示はしないこと。
・指示は常に具体的な行動の形にしておこなうこと。
・俳優の身になって「どういう指示をされたほうがやりやすいか」考えること。
 などでした。
 これも、入学以来いろんな授業で言われてることですが、なかなかその場で即興でとなると、難しいのですよ。

 演技の演出の次は、カメラの演出について。
「ある場面の撮影方法は何通りもあって、どれが正解ということはない。カメラの位置や移動を変更すれば、そのたびに画面の意味合いが変わる。
 たとえば、2人が会話してる場面を、両者を平等に画面に入れる「2ショット」で撮れば、双方のリアクションを同時に捉えられるが、その代わり個々のリアクションは強調できない。互いの顔を切り返しで撮ればその逆で、それぞれの特定のリアクションを強調できるが、両者の表情を同時には追えない。どちらを取るかは、その場面をどんなふうに見せたいかという監督の意思次第なんだ。
 また、俳優の立ち方や視線を少し変えただけで、そのシーンの持つ意味合いが変わるし、自動的に演じている俳優の芝居も変わってくる。これも、どれが正しいということはない。
 一つ言えるのは、一つ一つの決定はすごく単純なことだけど、それを決めるのはすごく難しいってことだ」
 だそうです。
 難しすぎる~。

 その他、メモった発言は以下の通り。
「すべての監督はいつも混乱してるものだ」
「失敗したって、そのほうが失敗を恐れて何もしないよりマシ」
「テレビは映画と違って、準備してる時間なんかないんだ。最悪の時はその場で最新のシナリオを渡されて、すぐに演出しなきゃいけない。映画だって、いつアクシデントが起こって、準備してたことが全部ダメになることだってある。でも、その場で撮影はしなきゃいけない。そのためには、常に即応するしかないんだ」
「即応するにはどうするか。それは常に「これは何の話か」と「この場面では何が求められているのか」を知っておくことだ。それこそが最大の準備なんだ」
「アレクサンダー・マッケンドリックいわく、『俳優に、監督の求める芝居をいくら要求しても、させることは不可能だ』。つまり、俳優自身に「監督が求める芝居」を自分で発見してもらうんだ」
「編集は、一歩下がった位置から映画全体を眺める仕事だ。撮影は、個々の場面の画を細かく追求していく仕事だ。そのせいか、一般的に、編集から優秀な監督になる人は少なからずいるが、撮影監督から優秀な監督になる人は少ない」
「俳優への指示でしてはいけないことの一つは、結果が他人に依存しているような要求をすること。あくまでも、その個人だけで完結しているような要求をすること。要は『デヴィッドがセクシーだと思うような仕草をしてくれ』なんて言っても、『デヴィッドの思うセクシーって何だっけ?」とかって混乱するだけだから、『きみが思う一番セクシーな仕草をしてくれ』って言ったほうが良いってこと」
「その場面における筋立て(ストーリー)じゃなく、その場面にどんな意味があるのかを常に考えて演出すること」
 言ってることはいちいちごもっともですが、実践は難しー! がんばらないとなあ。


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 今日の授業は、まずは前回のおさらいというか、俳優への演出についてさらにいくつかコメントが。
 いわく、
「スポーツで言えば、監督はコーチで、俳優は選手みたいなもの。コーチはフォームについてアドバイスはできるけど、選手が自分で自分に合ったフォームを身につけるしかないわけだよ」
「たとえば、フィジカルな変更一つで、役者がキャラに入り込めるようになることもある。「ゴッドファーザー」でマーロン・ブランドが口に綿を含んだ途端に、ドン・コルレオーネという役に入り込めるようになったって有名な話があるだろ」
「要は、俳優それぞれが役に入り込むために持っているプロセス、これがまた千差万別だったりするんだけど、を理解してあげること」
 ……、やっぱ、役者さんとしっかり話し合うのが大事ってことでしょうか。

 授業の本題、前半は、生徒の一人が選んできた映画の一場面をブレークダウンして分析するところから。
 これは、映画を見て、その場面のイメージボード(この場合日本で言う絵コンテ)を起こし、さらにショットリスト(一体、いくつのショットから構成されているか)とフロアプラン(役者の動きとカメラのセッティング)を推測するという、リバース・エンジニアリングみたいに出来上がりから逆向きに製作過程を探っていこうというもの。
 これがけっこう難しいんですわ。コンテはともかく、そこから実際の撮影過程を推測するのがなかなか手強い。特に、複雑な移動があったり、カットがやたらと細かかったりすると、元がなかなかわからない。
 でも、これをすることで、監督の演出意図がなんとなくわかってくるような気がするんですよねー。

 今日のお題は「レオン」から、男子トイレの中でナタリー・ポートマンがゲイリー・オールドマンに殺されそうになる場面。

 けっこう長いシーンですが、先生曰く、
「たぶん、一部のアップ以外は、すべてのショットでシーンの最初から最後までを繰り返し撮っていると思う。イメージボード通りに必要なところだけ撮っていくやりかたは、編集するときに選択の余地がなくなってしまうからね。俳優が疲れちゃうって思うかも知れないけど、細切れで撮るより、シーン全体を撮る方が俳優も芝居しやすいものさ」
 で、その一方で、
「その代わり、同じショットを何テイクも撮り続けたりするよりは、少々ピントが俳優からずれても、芝居がOKだと思ったらどんどん次のショットを撮るようにしていったほうがいいぞ」
 とのこと。このへんの考え方は、日本とはずいぶん違うような気がするのですが、どうでしょう?>詳しい人。

 また、
「その場面が『誰の場面』であるかをいつも考えておくこと。そして、それは、その場面の出来事にもっとも影響を受け、変化を遂げた登場人物の場面だってことだ」
 とのこと。つまり、その場面で一番たくさん画面に映ってる人でも、一番たくさんしゃべってる人でもないってことですね>その場面の主役。
 これも、聞けばなるほどだけど、なかなか実践は難しいなあ。


 そして授業後半は、ちょっとまた違う趣向の実習でした。
 とある映画の、数場面のシナリオだけを読んで、その中の1場面におけるセットと人物の配置を決め、さらには撮影手順まで考えていくというもの。

 つまり、監督は基本的にシナリオは書かないから、脚本家と違って、シナリオを手渡された時点で、わかるのはそこに書かれていることだけ。それだけから、それが何についての話かを解釈し、それに合わせて、舞台を設定し、人物の配置を決定し、カメラの配置を決定していかないといけない、というわけです。

 単純化すると、シナリオに「キッチンにA、B、C、Dの4人がいる」というト書きがある場面ならば、そのキッチンはどんな大きさで、どんな家具が置いてあって、4人はどんな位置関係(立ったり座ったりしているのかも含めて)で、それをどこにカメラを置いて(そして、どう動かして)撮影するのかまで決めていこう、という実習なのでした。

 皆、ちょっとずつ意見が違うんだけど、先生はいつものように「どれが正しくて、どれが間違ってるということはない」と言いつつも、少しずつ意見をまとめていったのでした。
 ずっとそうだけど、常に「なんで、それを選んだの?」と、意図をつっこんで聞かれるんで、今まで感覚的に決めちゃってることに対して、自分の中で自分のルールが文章化され、明確化されていくのが、大変だけど楽しいですね。

 いやー、すごく難しいけど、やっぱおもしろいわ、この授業。

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2008年9月 8日 (月)

USCナウ

Image USCのキャンパスには、大学のマスコットであるトロージャン像が立ってます(なんでトロイ人なのかは、わたしゃ知りません(^^;)。
 このマスコットを24時間、上から撮影し続け、ネット上にその情景を映し出しているページがここ。

Live TommyCam:

 当然ですが、こんな風に、映像をダウンロードしてくることもできます。
 今はちょうど夜明け前の、一番誰も通ってない時間帯ですね。
 わたしも、週に何度かは昼間この下を通ることがあったりもしますが、この距離じゃわかんないかな。
 よければ、たまにチェックしてみてください(笑)。

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2008年8月30日 (土)

宿題中

Dsc00719 今日は授業がなかったので、まだ時差ボケの治らない頭のまま、午後から起き出し、大学そばのスタバで長篇シナリオのプロットをいじくり回し中。
 明日の昼までにメールで提出しないといけないのですが、どうも頭がちゃんと回ってません。まあ、今夜一晩、ずるずる悩むってことなのかなあ。とほほ。
 というわけで、写真は夕暮れ時のスタバ前。我ながら、つい5日前まで大阪にいたとは思えません。(^_^;

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2008年8月29日 (金)

卒業製作についてのパネルディスカッション

 昨日は、卒業生およびすでに卒業製作を済ませた在校生ら4人による、卒業製作についてのパネルディスカッションを聴きに行ってきました。

 4人はそれぞれ違う種類の作品を撮っていて、作風もみごとにバラバラな感じでした。
 なんせ、1人は高校を舞台にした学園コメディ、1人はアメリカ人と不法滞在者のメキシコ人との対立を描いたドラマ、1人はイラクでのアメリカ人兵士の苦悩を描いたドラマ(これは卒業製作ではなく「製作3」で作られたもの)、そしてもう1人は犯罪現場の掃除をおこなう業者を描いたブラックコメディ(しかも、ウェビソード(ネット上で公開することを前提とした、一回2~3分×数回の連作))でしたからね。

 4人それぞれに、現状も違っていて、学園コメディの監督は、現在CMの撮影中で来春は長編映画の監督をすることが決まっているとか。不法移民ドラマの監督は、学生アカデミー賞にノミネートされたところ。「製作3」でイラク戦争物を撮った監督は、なんとネットワークテレビ局からオファーを受けて次回作のプレゼン中。ウェビソードの監督は、自分で会社を立ち上げ、資金を募ってさらに続編を製作中。

 作風も現状もバラバラな4人ですが、共通点はその作品がいろんな映画祭で高い評価を受け、注目を浴びたこと。というわけで、この4人から、卒業製作や映画祭出品についての経験談を聞こうというのが、この日のパネルの主眼なのでした。

 さて、そんな4人からの助言は、以下のような感じ;
・予算は資金集めをがんばってやれば、集めることが可能。自信を持って「これはすばらしい作品になる」と、スポンサーたちにピッチをすることが大事。
・なるべく多くの卒業製作に関わった方が良い。そうすれば、自分が監督するときに、いろんな失敗を回避しやすい。
・撮影監督はすぐに「アレが欲しい、コレが必要だ」といろんな機材を使いたがるが、予算の問題からも撮影スケジュールの問題からも、不必要なものは断固拒否すべし。ドラマチックな映像を作るのに、クレーンもドリーも必要ない。
・映画祭においては、いわゆる「USCスタイル」は嫌われる。つまり、お金ばかりかけて、派手だけど新味のない映像とありふれたストーリーの作品を作っても、ウケないということ。
・映画祭受けする作品というものはある。現代的であり社会性のあるテーマを持った作品がそれ。
・だからといって、映画祭受けを狙うことより、自分が本当に作りたい映画を作ることが大事。
・卒業製作が最後の作品というわけではない。あまり力みすぎず、どんどん作り続けることを考えた方が良い。
・一つの作品に時間をかけすぎるより、余力があれば自力でどんどん次の作品を撮ろうとすること。
・今のうちに長篇のシナリオを書いておくこと。仮に卒業製作が注目されて、いろんな人と会うことになっても、そのときに相手に見せられる長篇シナリオがないと、そこで話が止まってしまう。
・本当に重要な映画祭は(サンダンスなど)3つか4つしかない。でも、小さな映画祭に出品して、普通のお客さんの反応をダイレクトに見ることも、すごく参考になる。
・とにかく作品を作ること。そうすれば、エージェントも契約も、自分から探さなくてもあとからついてくる。
・いろいろ言ったけど、今はとにかく、自分のシナリオを書き上げることに全力を集中するべき。他のことは全部そのあと考えたらいい。

 ちなみに、彼らが卒業製作にかけた金額は、学園コメディが17000ドル(約180万円)、不法移民ドラマが25000ドル(約270万円)だそうです。
 なんだかんだでお金かかるなあ。
 不法移民ドラマ(登場人物はたった6人で基本的に1ロケーションだけど、35ミリのフィルムで撮影してます。だから、お金がかかるんだよ!)の監督は、いろんなスポンサーから資金を募って、全額をまかなったんだとか。でも、それって、寄付じゃないはずだけど、どうやって利益還元するんだろう? 画面にスポンサーの名前を出すとかだけじゃ、とても270万円は集められない気がするけど。今度、そのへんをきちんと先生に聞かないと!

 てか、わたしもがんばってスポンサー探しをしないといかんなあ。日本の会社でどこかが手を挙げてくれたら、すごく嬉しいんですけど、どうでしょう?>日本の皆様。

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2008年8月28日 (木)

「演出テクニック」授業初日

Dsc00714b 昨日は、「演出テクニック」の授業初日でした。これは前学期の「演出・中級」に続く「監督のための授業」です。ちなみに、このあとさらに「演出・上級」という授業もあって、そちらは来学期に受ける予定です。

 さて、前期の「演出・中級」が「俳優に芝居をつけること=オーディション>リハーサル>ブロッキング」が主眼だったのに対して、今回は「どう撮影するか」が主眼になるようです。
 つまり、あるシーンにおける、セット上での俳優とカメラの位置、移動、カットの割り方を、実習しながら身につけていこうというもの。

 先生は、テレビドラマの監督として数十年の経歴を持ち、かつ現役バリバリで今も仕事中の大ベテランでした。
 常に立ったまま、早口でしゃべりながら、皆の注意を集めるさまは、まさにたたき上げの現場の職人さんといった感じ。

 いきなり、
「この授業は大変だ。課題は多いし、なによりわたしは遅刻は好まない。ここでは、業界と同じ基準で動いてもらいたい。でも、この授業はすばらしい体験になることはまちがいない」
 とまくしたて、
「問題は、わたしは今も仕事してるんで、来週からしばらくシカゴに行ってしまうことだが、その間、ちゃんと代理の先生は呼んである。また、折に触れ、現役の監督やショウランナー(テレビ番組の製作総指揮の人)を呼んで、話を聞くことにもしている。さらには、10月にはパラマウントでわたしが撮影しているときに、見学にも来てもらうつもりだ」
 と続けたのを聞いて、キツそうだけど、確かにおもしろそうだと思いました。

 そのあと、1時間半にわたって、先生は監督の心得を語ったのですが、ここでも、いかにも現場の人らしい発言が連発して、むちゃくちゃおもしろかったっす。
 中でも、
「(イマジナリー)ラインというのは、基本的なルールだ。ルールは変えることができる。要は、いかに印象的なシーンを組み立てて、観客の注意を惹きつけておくかだ」
 とか、同じように、
「ワイドショット、ミディアムショット、インサートなんていう、標準的なショットの組み立てなんかどうでもいい。我々が恐れるべきは、客が先のシーンを予測してしまうことだ。そのとたん、相手は画面から注意をそらしてしまう。我々はいかなる手段を使っても、お客の意識を画面にくぎ付けにするんだ。ルールのことは忘れていい。我々は監督だ。監督がルールなんだ」
 さらには、
「マルチカメラ(複数のカメラで同時に撮影すること)は楽しいぞ。なにより、すべての俳優の注意を一度に集めることができる。バラバラに撮っていたら、役者の意識が集中するまで、それぞれのショットごとに何度もリハーサルを繰り返さないといけない。マルチカメラなら、全員の気持ちを同時に高めていける。これがすばらしい」
 なんて言ってて、まさに「ER」以降の、最近のテレビドラマの監督をしている人らしくて、納得してしまいました。
 なにより、この1年半、ずーっと基本に忠実に教えられてきたので、ようやく、今のリアルな映像の作り方っぽい話になりそうで、期待大です。もっとも、厳しそうだから、かなりビビッてもいますが。

 もう少し、印象的な言葉を拾っておくと、
「物語はもはや再発明できない。新しい物語なんてもうどこにもないからだ。でも、新しい語り口は再発明できる。常にそれを念頭に置け」
「監督は、常にすべての準備を済ませておくこと。そのためにも、画面の構成はシンプルかつクリーンを心がけておくこと。グチャグチャと煩雑なショットを山のように使うことは、プロの仕事じゃない」
「セリフで物語を語らせるな。動きを撮るんだ。『グラディエイター』の冒頭を見ろ。セリフのない数シーンで、主人公の性格とその先に待ち受ける運命を、見事に語っているじゃないか」
「監督が、撮影前に恐怖を感じるのは当然だ。だからこそ、常に準備を怠らないこと。そして、現場では「コントロール」が一番大事。スタッフをコントロールするのでも、俳優をコントロールするのでも、現場をコントロールするのでもない。自分をコントロールするのが大事なんだ。何があっても、つねに落ちついて、悠然と構えてみせること」
「監督は現場に一番乗りした方が良い。そうしたら、集まってくるスタッフやキャストの様子がよくわかる。誰がやる気があって、誰にはないのかも、一目でわかるぞ」
 等々、じつに趣があるでしょ。

 そして、授業の後半では、いきなりその場で監督役を立候補させて、簡単な撮影の実習をおこないました。

 監督に立候補した生徒が、与えられた3つのシナリオから選んだのは、なんと「ヒーローズ」の、ヒロが初めて自分の超能力を意識的に使い、会社の時計が1分だけ過去に戻るシーン。
 これは、と思って、わたしはヒロ役に立候補してしまいました。教室内爆笑。(^_^;
 でもって、ヒロの友人のアンドウ役は、やはり非日本人ということで(?)、チリから来てるアランくんに。
 でも、シナリオ見たら、セリフが全部英語なんですよ。そうか、「ヒーローズ」の日本語のセリフは、ヒロ役の日本人俳優が全部自分で勝手に日本語に直してるって、テレビで言ってたっけ。と、そのとき思い出したのでした。やれやれ。(^_^;

 さて、この実習、ヒロとアンドウがオフィスで話している簡単な場面なのですが、これをどういうふうにカット割りするかを、なんとカメラを5台使って、やろうというもの。
 なるほど、確かにこれなら、一度ブロッキングしちゃえば、最小限の回数で全部のシーンが撮れちゃいますわな。
 確かにこれだけのカメラについて同時に考えるのはすごく大変だけど、いよいよこの授業が楽しみになってきました。

 しかも、先生曰く、
「この授業は、失敗して良いんだ。全力を尽くすことを期待しているし、君たちに期待するバーは高めに設定しているが、だからといって、自分が出来る範囲でまとめてほしくない。逆に今まで自分がやらなかったことに挑戦して欲しい。そうやって試せるのは学生のうちなんだから。アクションシーンがやりたいというなら、スタントマンを用意する。動物が使いたいなら、同様だ。とにかく、自分を試して欲しい」
 とのこと。恐いような楽しみなような、なかなか手強そうな感じです。

 そんなわけで、とりあえずの宿題は、自分の好きな映画のシーンを選んで、ブレークダウンを書いてみること。たぶん、アクション・シーンとかがいいんだろうなあ。
 さらに、実習をおこなう順番もその場で立候補制で決められました。あんまりあとになっても大変そうだし、かといって勝手もわからず一番にやるのもしんどい(何より、他の授業の宿題との兼ね合いもある)ので、3番手に立候補しておきました。さて、それが吉と出るか凶と出るか。
 何はともあれ、やるしかないない。

 写真は、先生が黒板に書いていた、シーンを構成する要素。これもなかなか蘊蓄があります。

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2008年8月27日 (水)

授業初日その2「長篇脚本執筆」

 続いて受けたのが、一学期(15週間)かけて映画のシナリオを書こうという授業。これも実は単独の講座ではなく、次の学期に後半戦が待っている。そちらでは、この授業で書き上げたシナリオを最低でも数回書き直して磨きをかけるんだとか。
 まさに、実際の映画脚本の執筆スタイルをそのままやってみましょうという形式なわけですな(15週でアイデアのピッチから初稿提出というのも、ハリウッドの標準的なスケジュールなんだとか)。

 先生は、もともと製作畑の人(大学の映画学部も製作科だったとか)だったのが、テレビや映画の現場で下積み仕事をしているときに、プロデューサーにライターとして見いだされ、監督の仕事がまわってくるのを待つのをやめて、ライターとしてTVドラマのシナリオを書くようになったとのこと。
「だから、きみらのことはよくわかってるつもりだよ。製作の授業が一番大事なのもわかってる。ムリせず、リラックスして、長篇を仕上げていこう」
 と、大変フレンドリーに話してくれました。

 つっても、2時間の映画のシナリオを(他の授業を受けながら)15週で書くのはけっこう大変なのには変わりないわけで、こちらも毎週宿題が出て大変そう。
 最初の1ヶ月でプロットをきちんと仕上げ、その後は毎週最低10ページずつ書き進めていく(もちろん、毎週できたところまで提出)んだとか。いつも出足が遅いわたしとしては、こういうペース配分はけっこうきつくて、今からつらそうな感じがありありとしてます。うーむ。

 でもって、こっちの学生は全部で7人。少数ずつ3クラスほどあったはずだけど、それでも全部で20人強。
 前にも書きましたが、卒業製作に関わる以外で卒業する手段として「長篇のシナリオを書く」っていうのがあるんですが、それはすなわち、この授業を取るってことでもあります。
 なのに、なんでこんなに受講者が少ないんだろう? やはり、うちの学科の大半の学生は、卒業製作の監督をするか、何か別の役職で卒業製作に関わって、卒業する道を選ぶのかなあ?
 学生のうちにシナリオ書いといたほうが良いと思うのは、わたしがライターだからでしょうか?
 だって、長篇のシナリオなんて、120ページもあるんだから、仕事でもないのにそうそう書けませんぜ。

 こっちの授業も「上級プロジェクト開発」同様、初回は全員が自分のアイデアをピッチすることとなりました。とはいえ、さすがにこっちはある程度授業の中味がわかってたんで、ストーリーのアイデアくらいは考えてきました。

 さて、そんなわたしの長篇アイデアは、マフィアの家族を監視するFBI捜査官たちが、犯罪よりも彼らの恋愛関係に深入りしてしまい、ボスの一人娘と純朴な同級生との恋愛を助けようとするというロマンティック・コメディであります。
 先生の受けはそこそこ。「コメディは難しいぞ~」と言われちゃいましたよ。(^_^;

 もっともこの授業では、ピッチというより、アイデアにたいして先生が矢継ぎ早に質問やサジェスチョンをしていくのに、どんどん答えて、自分の考えを柔軟に変えていかないといけないので、ついていくのがけっこう大変でした。でもまあ、いかにも「本読み」してるみたいで楽しかったかも。

 というわけで、こちらは土曜の午後までに、この日の議論をもとに、レポート用紙3枚のプロットをまとめて提出することに。
 まあ、「上級プロジェクト開発」の宿題に比べたら、全然マシですが。……問題は〆切が同じだってことですよ!
 これで、今日これから受ける「演出テクニック」の授業で、でかい宿題が出たら、明日から土曜の朝まで3日間、寝ないでがんばらないと。なんせ土曜日は「映像表現」の授業(これはたぶん実習)で1日(9時から4時まで)つぶれちゃうんだよー!

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授業初日その1「上級プロジェクト開発」

 ずいぶんご無沙汰しました。
 SF大会とか、いろいろありましたが、とりあえず、無事アメリカに舞い戻りました(大会レポートはまたあとで)。
 というか、日曜にSF大会が終わって、月曜の飛行機に乗って、月曜にロサンゼルスに着き、そのまま新学期の授業に出てきました。

 といっても、飛行機は定刻通り着いたものの、ものすごい行列と今まで以上に煩雑もとい厳格になった通関で、何時間も空港から出られず、空港から直接学校に行って、1時間以上遅れてなんとか授業に出たら、すでに前半が終わって休憩に入ってしまっていました。orz

 まあ、おかげでゆっくり先生には挨拶できたんだけど、肝心のコース概要が終わっちゃってて、いろいろわけがわからないまま、自己紹介と自分の企画のピッチが始まってしまい、しかも座った席が悪くて、最初から2番目になっちゃって、泡食いつつ、口からでまかせ攻撃に出ることに。とほほ。

 というわけで、話が前後しちゃいましたが、この授業は来年の春学期(つまり1月)から、卒業製作で監督をしようと考えている人のための、準備(および、どうやら選抜も!)のために開かれている授業なのでした。
 卒業製作で監督するためには、この「上級プロジェクト開発」と、もう一つ「上級プロジェクト・プロデュース」という授業を取ることが必要条件の一つなんですね。

 もっとも、授業の内容は全然わかんなくて、しかも、前学期に登録しようとしたら、すでに上の学年の学生たちで満席になってたんで、受講するのをあきらめてたんですが、先週の金曜になって事務室から「枠を広げることにしたから、受けたいなら土曜日中に登録すること」ってメイルが来たんで、あわててネットで登録したという泥縄式。
 さらには、この授業を取ろうとしたら「1学期に5科目までしか受講できないから、一つ減らせ」とメッセージが出たんで、「世界映画史:第二次世界大戦以降」という授業を泣く泣く落としちゃったという……。まあ、これも必修だけど、いつでも受けられるから、来年の秋とかでもいいんですけどね。

 ということで、話をピッチに戻すと、要は卒業製作で撮りたい映画のストーリーを手短に説明しなきゃいけないってことなのでした。
 考えてる余裕は、前の人が自分のピッチをしてる5分間のみ!

 しょうがないんで、こないだボーッと思いついた西部劇(サムライとガンマンが対決する「レッド・サン」みたいなの)の話をすることに。
 といっても、前に考えてたのは「日本人の勲章」と「許されざる者」を足したみたいな、けっこう複雑な話なので、とても短篇向きじゃありません。
 とにかくその場で「このフィルムでオレの一番やりたいことって何だっけ?」と考え、「刀しか持ってないサムライが、銃を手にしたガンマン相手に、いかに戦うか」を撮ることだと決めて、話の構成要素を思いきり単純化して、サンフランシスコ郊外のゴーストタウンを見物に出た咸臨丸乗り組みの武士とアメリカ人の通訳が、そこにたむろしていたアウトローたちに襲われるという、シンプルな筋立てにして、説明してみました。
 反応はあんまりなかったんで、よおわかりません。(-_-;
 とにもかくにも、とりあえず最初の難関はクリアってことで。

 ちなみにこの授業、受けてる学生は17人。でも、そのうちわたしの同期は、わたしを入れて3人だけ。あとの連中は、もっとあとの学期に受けるか、他の方法(長篇のシナリオを書くとか、監督以外の役職で卒業製作に関わるとか)で卒業することにしたみたいです。
 というわけで、大多数は上の学年の学生たちなんですが、中にはもう4年目もそろそろ終わりなんて人もいて、いったい皆何年学生やってるつもりなんだか。
 どれだけ時間がかかっても、卒業製作で監督して、自分の思い通りの短篇を撮ってから卒業したいという気持ちも、わからんでもないですが、でもなあ……。

 さて、卒業製作にも2種類あって、大学から基本的な機材を借りられるかわり著作権を大学に渡す方法と、機材を自分で調達しないといけないかわり著作権も自分で保有できる方法があります。
 でもって、前者のほうが予算的にもサポート的にも大変助かるんですが、選抜基準が後者より厳しくて、決められた授業を全部クリアした上に、他の卒業製作のスタッフを最低2回はしていないと、監督はやらせてもらえないことになってます。
 そりゃ、そんなこと言ってたら、あっというまに在学4年とかってことになっちゃいますわな。

 ということは、わたしが期限内に卒業製作の監督をするには、どう考えても後者の手段を取るしかないんですが、そうなるとフィルムじゃ難しいからビデオ撮りになるだろうし、予算をどれだけ切り詰められるかが鍵になっちゃうだろうなあ。
 どうすべえ?
 いっそ、日本でスポンサーとか寄付とか募った方が早いかなあ?

 先の悩みはさておき、この授業の中味なんですが、皆のピッチを見ながら、先生との会話を聞いててようやくわかってきたことには、どうやら「卒業製作のシナリオを書く」ための授業だったんですね。初回の授業が終わりかけた頃に、やっとわかりましたよ。しかも、ストーリーのピッチもしちゃったあとで!(爆)
 でも、そんなの「上級プロジェクト開発」ってタイトルからじゃ全然わかんないよ!

 でもって、この授業、やたらと宿題が多いんですわ。
 毎週、宿題をこなしながら、2ヶ月で最終的なシナリオを書き上げるんだそうで。

 第1週目の宿題は以下の通り;
1.「ストーリーに関する設問」(テーマ等9問)に答えよ。
2.主人公のキャラクター造形を1ページ書け。
3.ライバルのキャラクター造形を1ページ書け。
4.他の主要登場人物たちのキャラクター造形を各1/2ページ書け。
5.物語の「世界」についての「概要」を1ページ書け。

 あと5日でこれを全部書けと?!
 TVアニメの企画書だって、もうちょっと書く前に考える余裕が。って、夏休み中に考えてなかったわたしが悪いってことですね。
 やりますよ。やりますけどね。ああ、もうちょっといろいろ考えておけば良かった。

PS.
 そして、今日になって知ったもう一つの驚愕の事実。
 この「上級プロジェクト開発」と「上級プロジェクト・プロデュース」って、二つで一つの授業で、学期の前半にこれをやって、後半には「プロデュース」と切り替わるんだそうです。
 授業の時間割も、ネット上じゃ月曜と水曜になってたけど、それは事務のミスで、どっちも月曜日の同じ時間なんだそうです。
 ……だったら、「世界映画史:第二次世界大戦以降」の受講、キャンセルしなくても良かったんじゃ。どーなってんねん?!
 あいかわらず、事務処理は全然ダメだなあ、うちの大学。orz

PS.2
 あー、昨日はいろいろバタバタしていて、何がどうなってんだか、さっぱりでしたが、こうして日記を書いたら、かなり自分の中でも整理ができてきました。いや、まだ何か勘違いしてる危険性も高いけど。なんせ、冒頭一時間の全体説明を聞き逃しちゃったからなあ。それにしても、卒業製作に関しては、とにかく決まり事が多すぎて、なんだかよおわかりません。(>_<)

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2008年7月17日 (木)

梅雨明けと8月の出没予定

Dsc00080 昨日、関西地方は梅雨明けが宣言されました。いやー、ここんとこ、雨の降り方もほとんど夏の夕立っぽかったですしね。
 残念ながら、今朝はちょっと雲が多くて、明日からはまた何日か雨が続きそうですけど、これから一ヶ月ちょっと、むしむしと暑い日本の夏を存分に楽しんでから、またロサンゼルスでもう一踏ん張りしてきたいと思っています。

Dsc00073 さて、わたしは今週の月曜日、京都精華大学で、マンガ学部マンガプロデュース科の生徒さんたちを相手に、ちょっとした講演をさせていただきました。
 写真を見ていただけばわかるように、すいぶんと偉そうなタイトルがついてますが、要は学生さんたちに、自分がこれまで仕事をしているあいだに見聞きしてきたことをおもしろおかしく話して、彼らを元気づけられれば、といった感じでしょうか。
 実のところ、自分自身もアメリカでの卒業後の進路について、手探りで悩んでいる状態なので、立場はあんまり変わらなかったりするんですけど(笑)。
 結果的に、希望に溢れた学生さんたちを見て、逆にこちらが元気をもらったような気がします。

 上記講演は精華大学の学生さんオンリーだったんですが、8月は東京と大阪で、それぞれイベントに顔を出す予定です。

 まず、8月2日(土)午後2時~5時、東京の神宮前区民会館で開かれる「SFファン交流会八月例会」に、イラストレーターの加藤直之さんと一緒に参加します。
 テーマは「美女とベムと野田大元帥」ということで、先日お亡くなりになった野田昌宏さんが大好きだった、往年のスペース・オペラやSFイラストの世界について、語り合う予定です。
 詳しくは以下のページを参照してください。
「SFファン交流会」のページ

 そして、8月23日(土)~24日(日)には、大阪府岸和田市の浪切ホールで開催される「第47回日本SF大会 DAICON7」に参加します。
 今のところ、2つほど企画に出演することになっていますが、もちろんそれ以外にも、会場内を終日うろついていると思いますので、参加される皆さんは、最近すっかり恒例となったシール企画のシール交換をしましょう。
 こちらも、詳しくは以下のページを参照してください。
「DAICON7」のページ

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2008年7月10日 (木)

ブロッキング、照明、リハーサル、撮影

N674745598_1373739_46 いきなり何のことかいなとお思いの方も多いと思いますが、タイトルは、USCの先生たちが常に厳しく生徒たちに教えている「撮影の手順」のこと。

1.ブロッキング
2.照明のセット(この間、俳優は衣装やメイクの直し)
3.リハーサル
4.撮影

 という順序をきちんと守ること。中でも、絶対にブロッキングを省かず、きちんと時間をとること。というのが、USCでの教えなのです。

 なんでこんなことを急に思い出したように書いてるかというと、USCの先生(専門は編集)のノーマン・ホリン(「ヘザース」、「コットン・クラブ」、「ソフィーの選択」とかの編集を手がけたベテラン編集です)が、今日、このことについて自分のブログで書いてて、そこにわたしが授業中に撮った写真を添付してたから。
 ノーマンからは「写真使わせてもらったよー。OK?」という事後承諾を求めるメッセージが。いやー、わたしより、写真に写ってる同級生のリンくんに許可をもらった方がいいような。(^_^;

 それはさておき、ノーマンも自分のブログで書いてますが、ブロッキングというのは、撮影現場で、監督がその場面の出演俳優たちと一緒に、立ち位置や移動といった動作について確認すること。
 リハーサルと違うのは、あくまでも演技じゃなくて動きについて、現場の小道具大道具との位置関係も込みで、監督と俳優とが確認しあうというところ。
 これをきちんとやってから、それに合わせて、最適な照明を配置するのが無駄を省くことになるし、照明、音響その他、各セクションのリーダーがこれを見ておくことで、撮影時の作業がより円滑に進むというわけです。

 ノーマンはじめ、うちの先生たち曰く、
「初心者はブロッキングを軽視しがちだけど、これをやっとくのと省くのとじゃ、あとの作業にものすごく差が出るから、絶対きちんとやっておくこと。プロの現場では絶対やってることだし」
 と言うのでありました。
 でも、撮影が押してくると、とにかく1カットでも多く撮っちゃいたいとか焦りだして、ついつい忘れちゃうんですよね、我々初心者は>ブロッキング。
 って、ダメじゃん>自分。(-_-)
 良い機会なんで、もう一度頭に刻み込んでおくためにも、書きとめておきたいと思います。
「ブロック、ライト、リハース、シュート!」

The Order That Comes When You Shoot In Order(ノーマンのブログの記事)

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2008年6月17日 (火)

「科学者にも怖いものはある」

 えー、またもしばらくあいだが空いてしまいました。
 実は、先々週末、夜更かししたあげく、雨の中あわてて上京し、1泊してすぐに帰ってきたあと、風邪をひいてしまいまして、いまだにちょっと調子が悪いのでした。
 ダメすぎ>自分。

 さて、いつも科学関係の知識について、お世話になっている菊池誠さんが、webちくまで「科学者にも怖いものはある」と題したエッセイの連載を始められているので、紹介したいと思います。
 ニセ科学について語りながら、科学的思考について解き明かしてくれているという、大変いたれりつくせりかつユニークなエッセイです。

 ところで、菊池さん、連載の第5回で触れておられる「納得力」って、誰が言い出したんでしたっけ? 水鏡子師匠? わ、わたしじゃなかったですよね?(笑)

○webちくまのページ
http://www.chikumashobo.co.jp/new_chikuma/

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2008年2月28日 (木)

『マスターズオブライト』

マスターズオブライト

アメリカン・シネマの撮影監督たち

デニス・シェファー、ラリー・サルヴァート
高間賢治訳
フィルムアート社
(amazon)


 ようやく、「製作3」の映画撮影も終盤にさしかかりつつあります。
 この1ヶ月、泳ぎで言えば、息継ぎせずにずっと潜水で泳いでたみたいな感じだったので、なんとか一息つけそうでホッとしています。

 さて、ここのところ、撮影や授業の合間をぬって、『マスターズオブライト』という本を久々に読み返しています。
 この本は、アメリカ映画の撮影監督たちへのロングインタビューをまとめたもので、それぞれの人たちの、撮影監督になった経緯や、撮影に対する考え方、経験談などが語られています。

 ところが、これが実に専門的な話で、昔読んだときは、絞りがどうの、被写界深度がどうのと、何のことが語られているのかさっぱりわからず、置いてけぼりを食らって呆然としてしまったものです。
 それが、今読むと、ようやく何の話をしているかがなんとなくつかめるようになって、特に個々の撮影監督の照明についての考え方に「なるほど、そうやって撮ってるのかあ」と感嘆することしきりだったりして。
 といっても、この本読んだからって、同じことはおろか、その真似事ですら、今の私にはできないんですけど。(^_^;

 USCの映画学部に通って1年。何にもわかってなかったところから、無我夢中でつたない画を撮り続けたあげく、ようやく、撮影や演出の「何が難しいのか」を理解できるところまでは、到達できたような気がします。
 問題は、この先、その難しさを克服していかないといけないところなんですが、なにせ奥が深すぎて、考えただけで気が遠くなるほど、道のりは遠く険しいですよ(遠い目)。

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2008年1月26日 (土)

AD奔走中

Dscf5368 水曜日の授業のあと、「製作3」のP(プロデューサー)、D(監督)、DP(撮影監督)と一緒に週末のテスト撮影の予定について話したあと、木曜は授業の合間を縫って、夜中までかけて、テスト撮影のショットリスト、コールシート、スケジュール表(コールシートとスケジュール表は、日本で言うところの香盤表みたいなもんです)を作ったあと、今日は朝から、P、D、DPにさらにPD(プロダクション・デザイナー)も交えて、撮影現場のスカウティング(ロケハン)に行ってから、昨日作った書類の確認をPとDにしてもらって先生とスタッフ全員にメイルし、学校に戻って撮影に使うドリー(移動撮影に使う台車。レール式とタイヤ式がある)を借りてきたところです。
 ちなみに、PとDは今頃、再度役者のオーディション中、DPは撮影に使うキノフロライト(フィルムで撮ってもフリッカーやホワイトバランスの乱れが起きない特殊な蛍光灯)を借りに行ってるとこです。
 つうわけで、今、うちの部屋にはでっかい台車の親玉みたいなのが転がっております。てか、よく車に載ったなあ、これ。(^_^;

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Dscf5369

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2008年1月23日 (水)

「ティングラー」

 さて、というわけで、今日は「世界映画史・第二次世界大戦以前」の授業の2回目。
 今日は先生のクリスがどこぞに講演に出かけちゃっていないので、3本映画を見て、再来週までにそれについてエッセイを書けという宿題が出ちゃいました。
 で、その3本というのが、バスター・キートンの「キートンの探偵学入門」、ウッディ・アレンの「カメレオンマン」、でもって、ウィリアム・キャッスルの「ティングラー」なのでした。第二次大戦前のサイレント映画って「キートンの探偵学入門」だけじゃん。(^_^;

 まあ、主眼としては、この3本を続けて見て「なぜ古い映画を見て、映画史について考えることが、今の映画について考えることにつながるのか考えろ」ってことみたいなんすけどね。

 それにしても「ティングラー」かよ。とほほ。いやあ、クリスとしては、誰も見てない変な映画で、映画史的にはおもしろいものって選択だったんだろうけど、わしらホラー映画ファンにはキャッスルの映画は常識なんじゃよ。てか、今日上映したDVD、私も買ったよ、出たときに。(^_^;

 とはいえ、大きなスクリーンで、何十人かと一緒に「ティングラー」見るなんて経験、そうそうできっこないすからね。しかも、皆ノリノリで、ゲラゲラ笑うわ、画面に合わせて叫びまくるわ。いやー、楽しかった楽しかった。まさに「見せ物映画」としての「ティングラー」を心ゆくまで体感してしまいましたよ。良い授業だなあ、ある意味で。(^_^;

 最初の週に様子見で出席してた同期の連中は、期末に長めのレポート書かなきゃいけないと知って、ほとんどいなくなっちゃってたんですけど、残ってればよかったのに。
 どうも、うち(製作科)の連中は、批評科の授業が好きじゃない人が多いんですよね。「映画作る役には立たない」とか「何の意味があるのかわからない」とか言って。
 まあ、何よりも製作の授業が忙しいから、映画見てレポート書いてなんてことに時間を割きたくない気持ちもよくわかるんだけど。
 とはいえ、映画について語る「語り方」について知っておくのって、すごくおもしろいし、将来、自分が批評される身になったとき、絶対役に立つと思うんだけどなあ。

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授業初日雑感

 いまいちペースが掴めないまま、授業第2週に突入してしまって、ヘロヘロなままです。
 まあ、月曜はマーティン・ルーサー・キング・デイっていう祭日で休みだったんですけど。

 ともあれ、一通り授業を受けたんで、月曜の授業から受けた順に、それぞれの感想を書いてみます。

1.「テレビ・スタディ」
 カタログでは「テレビ史概説」ってことになってたんだけど、それは2年前までで、今は典型的なカルチュラル・スタディの講座になってました。
 先生曰く「あえて言うなら『世界のテレビとサブカルチャー』」だそうで。
 先生のイムレ・アニコはわりと若い30代くらいの女性(初めて、自分より若い先生に会ったよ!)で、テレビ・スタディ自体も若い学問だってことで、大変気合いが入ってました。
 いきなり全員に「あなたにとってテレビとは何?」とかって聞いてみたり、「シンプソンズ」のインドに工場を移転する話と、「グッバイ・レーニン」を上映して、「テレビとグローバリズムについて考えよ」なんて問いかけてみたりして、なかなかおもしろかったです。
 この授業が他の授業と違うのは、テキストも宿題もインターネット上に設置されたホームページを通して受け渡しされること。
 毎週の授業に必要なテキストは各自そのページからダウンロードして読み、授業についての意見を毎週最低2回、ページ上の掲示板にアップロードせよ、ってことになってるのでした。斬新つうかなんつうか。てか、それでほんとに会話が成立するのかね?>掲示板。
 授業の中味も進め方も興味津々ではあるのですが、はたしてついていけるかどうかは、正直ちょっと不安だったりして。

2.「演出・中級」
 先生のユージーン・ラザレフは、テレビドラマや映画に、よくロシアの政治家や軍人の役で出てる人。って、ほんとにロシア出身の俳優さんなんですけどね。いやもう、とにかくロシアなまりバリバリで、何言ってるか、ときどきわかんなくなるのが、どうしたものか。ううむ。(^_^;
 ちなみにこの科目、ジェレミー・ケーガン(アメリカ監督協会のけっこう偉い人らしいっす)というスター教師がいて、生徒は皆その人の講義取りたがるもんだから、3つあるクラスのうち、どれが彼の受け持ちなのか、もう教えてくれなくなってんですよね。てか、受講申請出したときは、私のクラスの担任はマイケル・ウノ(テレビの「NYPDブルー」の各話演出とかやってた人)って書いてあったのになあ。(^_^;
 さて、この授業、室内における2人、もしくは3人の会話劇に芝居をつけるというのが基本的なお題みたいで、ユージーンいわく「演技についての勉強をするが、とはいえ役者のための授業ではなく、あくまでも役者に芝居をつける演出家のための授業」なんだそうです。
 オーディションから始まって、リハーサルから撮影まで、いかに俳優と相対していけばいいかを学ぶんだとか。
 つっても、教科書はスタニスラフスキーなんですけどね! うひゃあ、さすがロシア人、直球ど真ん中な古典ですよ!>スタニスラフスキー。
 前に別の授業で「戦艦ポチョムキン」見せられたときも思ったけど、こういうのって、いかにも「映画学校!」って感じでちょっと嬉しくなっちゃいますね。って、そんなこと思ってるのは私だけですかそうですか。おかしいなあ。(^_^;

3.「世界映画史・第二次世界大戦以前」
 大学院出たて、博士号取り立ての元気な若い先生、クリス・クーリングのクラス。ムチャクチャ気合い入ってます。
 クリス曰く「映画は元々見せ物小屋のアトラクションだった。今もその血は脈々と受け継がれている。昔の映画について調べることは、今の映画の在り方について知ることにもつながる」って、キミは柳下さんの『興行師たちの映画史』読んだのか?(笑)
 というわけで、前にも書いたとおり、1回目の授業ではサイレントの連続映画「Les Vampire」の1エピソードと、そのリメイクを取ろうとする映画クルーを描いた「イルマ・ヴェップ」を続けて見せられました。
 生徒の中には、意図がわからずに「なんでリュミエールやエジソンから始めるとか、「ポチョムキン」見せるとかじゃなくて、こんなとこから授業始めるんだ?」なんて、終わったあとでブツブツ言ってる人もいたみたいです。(^_^;
 私としては、「「24」はサイレント時代の連続活劇の流れをくんでいる」とか「P・T・アンダースンの「There will be blood」は「2001年」や「グリード」からの引用で満ちている」とか、いちいち膝を叩きたくなるような言及が多くて、大変楽しい授業でした。
 ただ、けっこう宿題が多そうなんですよねえ、この授業。(-_-;

4.「製作3」
 授業だけで週8時間(水曜日の朝8~12時と午後1~5時)、さらに実習つうか短篇映画製作つき(つまり毎週金曜から日曜はほぼ実作業)という強烈なクラス。
 それでも、完全分業制なんで、前期の「製作2」みたいなプレッシャーはないかも。こっちのほうが映画の尺も「製作2」の倍(12分)だし、さらに本格的ですけどね。
 講師陣は、うちの学科のオールスター勢揃いな感じ。全体統括兼プロデュース担当がブレンダ・グッドマン、撮影がクリス・コーミン、音響がダグ・ボーンとミッジ・コスティン、演出がスティーヴ・アルブレッティ、編集がノーマン・ホリン、プロダクション・デザインがヴィクトリア・ポール、脚本がティム・カーネンと、ヴィクトリアとティム以外は去年の春学期にお世話になったことのある顔ぶれで、すでに顔なじみになってたり、人となりがある程度わかってる人が多くて安心できる感じです。
 いや、だからって、作業が楽になる訳じゃないすけどね。ずいぶんと気は楽になってるってことで。(^_^;
 ちなみにこの授業、他の授業と違って、教科書のたぐいはいっさいないんでやんの。実践あるのみ、って感じですな。うひー。

 さて、この「製作3」で、私がADを担当している作品「ネブラスカ」は、老人ホームに住む3人の老人が、ホームを脱走しようとする話。
 うまくいけば、「おもしろうてやがて哀しき」を絵に描いたような、しみじみとした味のあるコメディができあがるはずです。
 ちゅうか、シナリオは良い感じなので、それがうまく絵にまとまってくれればいいなあ、とホントに思います。

5.「脚本分析上級」
 先生のテッド・ブラウンによれば「いろんな映画があって、ストーリーや映像に関しては人によって好き嫌いが分かれるけど、ルイス・ブリュエル曰くとにかく一つだけ大事なことは「お客を退屈させちゃダメ」だってこと」だそうで。
 この授業ではその「退屈させない」ということを、どうやって成立させているのか、実際に映画を見て、その構成を分析しながら考えていくんだそうです。
 でもって、1回目の授業では「真夜中のカウボーイ」を見ました。細かい分析は2回目の授業でするとのこと。
 しかし、久しぶりに見たけど、やっぱ若いですなー>「真夜中のカウボーイ」のジョン・ボイトとダスティン・ホフマン。特にジョン・ボイトは最近の「トランスフォーマー」とか「ナショナル・トレジャー」の、いかにも「お爺さん」といった風貌からはまったく想像しづらいというか。歳月って残酷だあ。(^_^;

 とまあ、全5科目、こんな感じです。どれも授業時間が長い(だいたい4時間)のがキツイです。ほんと、20年前、関大に通ってた頃、1回90分の授業でもしんどがってた昔の自分を叱ってやりたいというかなんというか。(>_<)
 とにかく「製作3」が大変なので、他の科目にまであまり時間が割けないのが問題。やっぱ評論のクラス、どっちか今回はパスしちゃったほうが正解かなあ……。

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2008年1月19日 (土)

撮影スケジュール&予算管理ソフト

EP Scheduling

EP Budgeting

「製作3」の授業で、プロダクション管理用に、こいつらがインストールされたパソコンを貸してもらえるはずが、インストールがうまくいかなくて時間がかかりそうなんで、担任から、
「アカデミック版なら1つ200ドルしないはずだから、このさいADは買っとけ」
 という指示が。(-_-;
 まあ、この先、卒業後も使うことになるかもしれないしね。
 と思って買おうとしたら、日本の住所になってるクレジットカードだと買えないサイトだらけで、さっきからもう2時間近くネットをさまよってたりして。
 やっぱ、こっちのクレジットカードがいるなあ(遠い目)。
 でもって、特殊なソフトすぎて、アマゾンでは売ってない罠。販売元のサイトじゃアカデミック版売ってないし。なんじゃ、そりゃああ?!(-_-)

 しかし、現実にリアルな映画製作の世界じゃ、このソフト使ってんのかなあ? 他に業界標準ソフトがあったりとかしないの? てか、日本の映画やテレビ、アニメなんかの製作現場だと、この手のソフトは使ってるんでしょうか?

 スケジュール管理ソフトの方は、こないだ授業でちょっといじってみて、確かにシナリオをブレークダウンして撮影スケジュール表作るのに、すごく便利なのは実感したんですけど。

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ようやく一週間

 一通り最初の授業を受け終わったんですが、もう忙しくて茫然自失中。いったい何から手をつけたらいいものやら……。
 ……そして、原稿は上がってないし…………。
 泣ける。

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2008年1月16日 (水)

「イルマ・ヴェップ」

18404042 今日、「世界映画史:第二次世界大戦以前」の授業で、久しぶりに「イルマ・ヴェップ」を見ました。

 なんで、そんな最近の映画を見たかというと、もちろんこの映画が、「フランスの映画監督が、戦前の連続サイレント映画「Les Vampires」をリメイクするため、香港からマギー・チャン(本人が自分の役で出てます)を呼ぶ」という話だからで、ちゃんと「Les Vampires」も1本見ました。

 時間も気力もないし、他にすることもあるんで、授業の内容とかは後に回しますが、今回大発見だったのは、初めて「イルマ・ヴェップ」の笑いどころがわかったこと。
 初見時は、マギー・チャンのキャットスーツ姿がいいなあ、くらいしか印象に残ってなかったんですが、1年間、映画製作の実習を続けたあとで見ると、全編映画製作にまつわるリアルなトラブルの連発で、見覚え聞き覚えがありまくりで、身につまされて、じゃない、笑える笑える。
 まさか、「イルマ・ヴェップ」でこんなに笑う日が来ようとは。というか、この映画、ほんとに映画製作おたく限定なんだなあ、と実感しましたよ。(^_^;

 しかも、見終わって、はっと我に返ったとたん、笑ってられないことに気がついちゃったし。「製作3」の撮影が始まる前に、食事の手配しなきゃいけないんだけど、プロデューサーから「少しでも安いところを探せ」って指令がきてるんだよなあ。ああ、困った……。

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2008年1月14日 (月)

2年目スタート

 ずいぶんと間が空いてしまいました。
 昨年後半は「製作2」の授業にふりまわされて、日記どころではなくなってしまい、苦闘しているあいだに終わってしまったのです(そのへんの事情のさわりについては、徳間書店の「COMICリュウ」の連載コラムで書いてます)。

 先生や先輩諸氏に言わせると「一番キツイところ(「製作2」)は越えた」んだから、ここから先は楽になるらしいんですが、どうだかなあ。(^_^;

 なにはともあれ、ようやく1年目が終わり、2年目の授業が月曜からスタートします。
 とりあえず、昨年取った授業と、この春に取る授業を列挙してみます。

【取得済み】
「製作1」
「製作2」
「映画製作のコンセプト」
「脚本・初級」
「脚本・中級」

【今期取得予定】
「製作3」
「演出・中級」
「映画脚本分析・上級」
「世界映画史・第二次世界大戦以前」
「テレビ史概説」

 1年目の授業は、全部必修ばかりで、すべての生徒が同じ科目を取っていましたが、2年目からは、それぞれが希望する専門(プロデューサー、監督、撮影監督、編集、音響、脚本)に合わせて、選択すべき科目が微妙に変わってきます。
 わたしはあくまでも第1志望を「監督」で、「プロデュース」と「脚本」を第2志望において、科目の選択をおこないました。

「製作3」は、昨年の「製作1」、「製作2」に続いて、実習形式で短篇映画を撮る授業。「1」が基本的に個人、「2」がパートナーと二人組ときて、「3」では1チーム10人ほどでチームを組み、それぞれがきちんと分業して自分の役割に専念することになっていて、より実際の映画製作に近い体験を積むことになっています。
 ちなみに、わたしがなんとか獲得したのはAD、つまりアシスタント・ディレクターの椅子。まあ、日本のADよりは権限があるみたいですが、要はプロデューサー、監督、撮影監督の下について、スケジュールを守って円滑に撮影を進められるようにするのが役目の小間使いです。
「製作3」の監督になるには、私が今期受ける「演出・中級」を受けることが必須になっていて私にはまだダメだし、プロデューサーの立候補は昨年末ですでに締め切られていたため、「製作2」がうまくいかなくてジタバタしていた私には手が出ませんでした。
 秋まで待って、「演出・中級」をクリアしてから、「製作3」の監督に立候補することも考えたんですが、この「製作3」は必修科目だということもあって、秋まで待ってギャンブルするより、とにかく授業を取って、単位を取得してしまおうと決めたのでした。
 監督とプロデューサー以外で空いてるポジションは、撮影監督(2人)、プロダクション・デザイナー、アシスタント・ディレクター、編集(2人)、音響(2人)とあったのですが、ADはプロデューサーに次いで映画製作の作業全体を俯瞰できる立場にあるし、プロデューサーと一緒に個別授業も受けると知り、ADに立候補してみました。
 結局、4つあるプロジェクトのうち、3つからは断られちゃったのですが、1つだけ、私を選んでくれたプロジェクトがあって、なんとか無事に「製作3」を受けることができました。
(ちなみに、「製作3」は、いくら授業を受けたいと言っても、上記のいずれかのポジションに立候補して、OKをもらえない限り、授業を受けることができないようになっています。監督を選ぶのは先生ですが、プロデューサーを選ぶのは監督、その他のポジションの人間を選ぶのは監督とプロデューサーとなっていて、学生間で選び、選ばれるようになってるところが、なかなかにキビシーのでした。)

「演出・中級」は、監督をめざす生徒は絶対取らないといけない科目の一つです。
 ここでは、セット上でのシーン撮影において、ステージング、リハーサル、ブロッキングなどについて、細かく実習していくんだとか。かなり楽しみな授業です。

「映画脚本分析・上級」は、その名の通り、脚本を分析していく授業。ハリウッドの脚本アナリストたちに打ち勝って、自分の書いた脚本を売りこむには、脚本分析がどんなふうにおこなわれるか、知ってないとね。

「世界映画史・第二次世界大戦以前」と「テレビ史概説」は、批評の授業。いくつかある選択科目のうち2つは批評のクラスを受けないといけないので、他の授業とぶつからないものを2つ取ってみました。それぞれ、映画史とテレビ史の教科書がおもしろそうです。


 でもって、時間割を書き出してみると、以下のような感じです。

(月)10-14;「テレビ史概説」
   15-17?;「製作3」スタッフ・ミーティング
   19-22:30;「演出・中級」
(火)18-22;「世界映画史・第二次世界大戦以前」
(水)08-12;「製作3」全体講義
   13-16;「製作3」プロデューサー&AD講義
(木)10-14;「映画脚本分析・上級」

 こうして時間割だけ見ると、月曜が度を超してしんどい以外は、わりと楽な感じがするのがくせ者なんだよなあ。(-_-;
 だって、2月から3月にかけて、(金)~(日)は「製作3」の撮影で埋まっちゃいますからね。どこに休みが……、って感じになっちゃうのでした。
 だいたい、今期はほとんどの授業が1コマ4時間なんだもんなあ。日本の大学の、1コマ90分の授業が懐かしいざんす。とほほ。
 まあ、今回「脚本」の授業を取ってないんで、批評の授業であんまりたくさんレポートの宿題が出なければ、なんとか乗り切れると思うのですが……。苦苦苦苦苦~。

 なにはともあれ、今年もがんばりますので、よろしくおつきあいくださいませ。m(_ _)m

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2007年9月 2日 (日)

忙しい!

 もう9月になっちゃったわ、日本じゃ「ワールドコンだ!」、「新エヴァだ!」ってなんだか盛り上がってるわだってのに、わたしは「製作2」の授業があまりに忙しすぎて、目が回りそうです。
 要は、来週末から始まる撮影に備えて、諸々準備しなきゃいけないことが山のようにあって、正直、授業時間外にバタバタかけずりまわることに時間を割かれちゃってるんですが。
 なんせ、16ミリとはいえ、本格的にフィルムを扱うのは初めてだし、今回はバッチリ役者さんたちに演技指導もしないといけないしね。
 というわけで、グルグル走ってます。
 でもって、今日は、土曜だってのに9時から5時まで、特別授業として「演技指導ワークショップ」があるのでした。
 各自、自分の「製作2」用シナリオの1シーンを持ってきて、その場で役者さんたちにリハーサルしてもらいながら、どうやって俳優に演技をつけていくか、学ぶんだとか。
 1日じゃたいしたことは覚えられないだろうけど、やらないよりは絶対に良い経験になるでしょう。とはいえ、楽しみなような、緊張するような……。
 つうわけで、今、もう8時過ぎなので、朝ご飯食べたら大学へ行ってきます。では!

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2007年8月28日 (火)

「製作2」初授業

 今日は、16ミリフィルムで短編映画を撮るという「製作2」の最初の授業がありました。

 まず、午前中は「製作2/演出・編集」という、シナリオの検討や、撮影現場での演出、それに撮影後の編集についてのクラスでした。
 先生は、演出がジョハンナ・デメトラカス(Johanna Demetrakas、http://us.imdb.com/name/nm0218393/)、脚本がジョン・フェラロ(John Ferraro)という人たちで、どちらもプロデューサーやディレクターとして一線で活躍してるプロのようです。

 そして、午後からは「製作2/撮影」といって、カメラの使い方や照明の当て方など、撮影技術全般についてのクラスでした。
 こちらの先生はトニー・クチオリ(Tony Cucchiari、http://us.imdb.com/name/nm0190954/)。やはり、現役のカメラマンの人みたいですね。

 今日はどちらのクラスも初日だったので、自己紹介や諸注意などでほとんど終始してしまいましたが、もらったシラバスに書かれてることの多いこと多いこと。いやー、先が思いやられるわ。

 ちなみに、月曜と水曜の週2回、この2つのクラスがそれぞれあるので、1科目のくせに週に4クラス計12時間も授業があって、もちろん映画製作そのものはすべて授業時間外に生徒たちだけでおこなうという、大変きつい構成になっております>「製作2」。
 ああ、しんど。(^_^;;

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2007年8月26日 (日)

スクリプトに対する反応

 昨日、「製作2」のオリエンテーションの前に、パートナーのジーンと話してたら、彼女が「スクリプトを先生に送ったら返事が来た」というので、わたしもあわてて担任の先生二人に、スクリプトを送りました。

 ところが、その反応がまっぷたつ。
 脚本担当の先生は、
「こいつはおもしろくなりそうだ。キミと会えるのを楽しみにしてるよ」
 って返事してきたのですが、演出担当の先生は、
「キミのスクリプトは、ホラーとしてのセッティングはいいが、いかにも実習ですという感じに読める。もっとリアルなキャラクターを作り上げられない?」
 と、大変手厳しい。

 スクリプトそのものは確かに、都市伝説っぽい図書館の怪談をわたしがでっちあげたもので、ちょうど『新耳袋』や『学校の怪談』の短篇みたいな感じなのです。
 だから、「セッティングの怖さが足りない」とかって言われるのは納得できるんだけど、「キャラをもっと掘り下げろ」ってのはなあ。5分の短篇だし。

 とはいえ、プロデューサーにシナリオの直しを求められてるようなもんだから、ここは相手の期待通りに直せないとね。

 うまく、登場人物のトラウマかなにかと、セッティングとを組み合わせた上で、ショッキングな場面を作り出せればいいんですが。
 まあ、アイデアをいくつか練っておいて、来週の授業で先生たちと話して反応を見るのかなあ。

 夏休み中、私事で呆然としてて、全然準備が進んでないもんで、実は俳優のオーディションもまだなんだけど、それもオリエンテーションで「まずは来週末にやるオーディションのセミナー受けとけ」って言われてるし、出遅れ気味だけど、焦らずいきましょう、焦らず。

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2007年8月25日 (土)

初年度秋学期開始!

 今日からついに初年度の後半が始まります。
 今学期は、「製作2」と「脚本・中級」の2クラスしか取っていません。本当はこれにもう一つ、評論のクラスを取らないといけなかったんですが、「製作2」とスケジュールがバッティングしちゃったんで、結局来期以降にまわすことにしたのでした。

 2クラスだけといいつつ、「製作2」はかなりヘビーな科目で、なんせこれだけで6単位(普通は1教科2単位)もあって、授業だけで週に3時間×4回の計12時間、それに週末ごとの撮影やら編集やらを入れていくと、今学期はほぼこの科目だけで手一杯になりかねない勢いです。

 ちなみに、この「製作2」では、DV-CAMのビデオカメラを使っていた「製作1」と違って、16ミリフィルムを使っての撮影ということで、一気に難易度も上がるため、カメラの扱いが苦手なわたしは、今から戦々恐々としています。「製作1」でもあんなに苦労したんだもんなあ。
 ま、がんばってここを通過しさえすれば、後はかなり楽になるという話なので、これから年末まで、必死でがんばるつもりです。
 ずいぶん間が空きましたが、このブログも今日からまた頻繁に更新していくつもりなので、これからもよろしく。

 というわけで、今日はこれから「製作2」のオリエンテーションがあります。
 久々に同期の連中全員と顔をあわせるのは楽しみなんですが、授業自体はちょっと緊張すんなあ。

 とか、言いつつ、とっくに〆切の過ぎたとある原稿をまだ書いてたりもして。
 いい歳して、きちんと「二足のわらじ」も履けんでどうする?!
 もっと気合い入れろ、気合い>自分。

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2007年3月 8日 (木)

ここ数日のことなど

 今週は、まず月曜の「製作1B」は、前回のオーディションの開き方に続いて、リハーサルの開き方について講義を受けました。
 火曜の「製作1」は、まずは前回に続いてバガボンド・プロジェクトを編集したフィルムを見て、次に共同製作の進め方について説明を受け、ドキュメンタリーについての講義と、イマジナリー・ラインとカメラアングルについての講義を受けておしまい。
 そのあとの「映画製作のコンセプト」は、ミュージック・エディターのケニー・ホール(Kenny Hall)さんから、映画音楽の編集について聞きました。
 でもって、今日は「ナイト ミュージアム」のショーン・レヴィ(Shawn Levy)監督が、映画業界で働くとはどういうことか、講演に来るというので、覗いてきました。この人もうちの卒業生なんすね。
 一方、「製作1」の自作短篇2本目のほうは、とにかく再スケジュールが難しいうえ、別の企画を撮る暇もないので、急遽自分のアパートでナレーション撮りしちゃってごまかすことに。とほほ~。
 あと、月曜にはメディカルセンターで検診結果について話を聞いてきて、ヘモグロビンA1Cは正常値(5.7)だということがわかりました。コレステロール値が高いのは気になるものの、とりあえず一安心。
 それらもろもろ、詳しくはあとでアップします。なにはともあれ、ちょっと疲れちゃったので、今日はもうダラ~っと寝たいと思います。あー、そろそろ一息つきたいかも。

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2007年3月 5日 (月)

スクリーニング第2ラウンド開始

 木曜の「製作1」は、いよいよスクリーニングの第2ラウンドが始まりました。
 2巡目になった途端、力作ぞろいというか、いきなり全員のレベルが上がっちゃって、びっくりしました。
 中でも、ロサンゼルス市内で20年以上ホームレスの人々に食事を出し続けているボランティアの女性を2日間追いかけ続けたドキュメンタリーは、題材も撮影も編集も見事の一語で、先生たちも激賞していました。
 また、自身の若い頃の体験を元に、LAの黒人ギャングの実態をドキュドラマ風に再現したフィルムは、話は散漫ながら本物の迫力に溢れていて、その出口の見えない息苦しさが強烈な印象でした。
 他にも、ゲイの猫の私生活を追いかけた(笑)コメディあり、いきなりオフィスを共有する羽目になった会社員二人のコメディあり、若い頃の生活を思い出しつつ老人が一人死んでいく悲しい話あり、常に時間に間に合わずに仕事も息子も失ってしまう男の話を激しいドラムのリズムに合わせて描いたドラマあり、どれも1回目よりストーリー性が格段に上がっていて、「一本撮っただけで、こんなに変わるもんですか?」と呆然としてしまいました。「セリフはナレーションのみ」という制約条件があるのに、いやあ、みんなやるなあ。てか、やっぱり若いってすごいなあ。
 完全に負けてますよ、わたしゃ。とほほ。

 ちなみに、金曜の「脚本・基礎」は、いよいよセリフありのシナリオ実習が始まったくらいで、あとはあんまりとりたてて書くことはありませんでした。
 というわけで、ようやく追いついた~。って、もう月曜だよ。(^_^;;

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編集の仕事その2

 先週火曜夜の「映画製作のコンセプト」は、3週前に引き続いて、ノーマン・ホリンさんによる「編集の仕事」について。
 前回のラストでノーマンは、3本の映画のシナリオから、それぞれとある場面を抜き出したものを我々に渡して、読んでおくように言ったんですが、今回はそのシナリオと、実際に完成した映画との違いを比較しながら、編集の仕事について考えてみようということでした。

 まず1本目に見たのは「アメリカン・ビューティ」の、アネット・ベニング扮する不動産の仕事をしている奥さんが、家を売りつけようと見に来たお客さんたちにセールスしている場面。シナリオではそれぞれのお客さんの反応なども書き込まれているのですが、実際の映画ではそれらの会話が大幅にカットされて、モンタージュとして構成され、最後のお客のシーンまで一気に見せてから、ベニングが一人になって泣きながら感情を爆発させている場面につないでいます。
 ノーマン曰く「映画で大事なのは、いかにすばやく、その場面で必要なものを全部見せちゃって、ほんとに見せたい場面までお客の興味を引きつけておけるか」だそうで、ここで本当に見せたいのは、ベニング演じるキャラがいかにフラストレーションを抱えてしまっているかがわかる、一人で泣いてる場面なんだから、編集段階で素早くつないでそこまでのスピードアップを計ったんだろうとのこと。
 さらにノーマンが言ったのは、「一番大事なことは、それが誰の場面で、そのキャラがどんな経験をしたかを、常に把握して、それを最大限に見せるように編集することが大事なんだ」とのこと。
 ノーマン曰く、それをやりすぎてるくらいにやってるのが、70~80年代のメリル・ストリープが出演してる映画だとか。
「ここぞという場面になった途端、彼女のキャラの心の動きを追うように、メリルのどアップが続いて、彼女の芝居が延々と繰り広げられてるだろ。ぼくはああいうのを「メリル・ストリープ・モーメント」と呼んでるんだ(笑)」だそうで。わはは。

 次に見せられたのは、ノーマン自身が編集した「ヘザーズ」から、最初の殺人のあと、職員室での教師たちのダメな会議から、テレビでの報道を主人公が見ているところまで。実はこのシーケンスでは、シナリオと実際の映画では場面の順番が入れ替わっていて、さらに主人公が教室で演説をぶつところが省かれているのでした。ノーマンによると、最初にシナリオ通り編集したあと、プロデューサー、監督、そしてノーマンの3人で話し合って、元々のシナリオ通りだと、主人公が悪人に見えすぎて、お客が共感しにくいキャラになりかねないので、どんどん編集で話の見え方を変えていった結果、こうなったんだとか。まあ、いかにイヤな連中とはいえ、主人公がクラスメート殺しに荷担しちゃう話だもんねえ。(^_^;;

 さて、最後の映画は「イングリッシュ・ペイシェント」から、ウィレム・デフォー演じるカナダ人のスパイが、ドイツ人将校の命令で尋問中に指を切り落とされちゃうという、過去回想の場面。ここでも、シナリオではそのあと進攻してきた連合軍にデフォーが助けられる場面まで書かれてるんだけど、映画では指を切られて絶叫してるところでさっさと回想を終わって、デフォーのセリフをかぶせながら現在の場面に戻ってます。これも、デフォーの場面として一番大事なところだけを見せて、さっさと話を現在に戻して、過去と現在の関連を観客に強く印象づけているんだろうとのこと。

 ノーマンの言うには「物語を組み立てるのは脚本家の仕事。それを映像化するのは監督の仕事。それを一つの映像の流れとして組み上げるのは編集の仕事」だとか。うーん、なるほどねえ。で、たぶん、すべてに最終的にOK出すのはプロデューサーなんですよね。
 本当にそんなに完全に分業主義なのかはともかく、そう言われるとまさに「映画は集団作業による総合芸術」って感じであります。

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プロダクション・デザインとは

 先週火曜昼の「製作1」の前半は、プロデューサー兼プロダクション・マネージャーのロバート・ブラウン(Robert Brown)さんによる「プロダクション・デザイン」についての講義でした。
 この人もバリバリ現役かつ大ベテランの現場人間ですな。バーホーベン監督の映画、3本も現場仕切ってるんだもんなあ。

 さて、そのロバートは、映画製作のトップはプロデューサーだけど、そうは言ってもプロデューサーにもいろんな種類があって、という話から講義を始めました。
 現場のことは全然だけど、企画を立てる能力があり、あちこちにコネがあって、お金を集めることができる人は、クリエイティブ・プロデューサーと呼ばれ、一方、実際に現場で製作の指揮を執る人はライン・プロデューサーとかコ・プロデューサーとか呼ばれるそうです。もしくは、たとえばアイデアを出した人にお金を渡してあげるために、その人にアシスタント・プロデューサーという名目を与えたりすることもあるんだとか。ロバートが例にあげてたのは、メル・ブルックスの「ロビン・フッド/キング・オブ・タイツ」では、最初にアイデアを出した人に対して、ブルックスがアシスタント・プロデューサーという名目を与えて、お金を渡したことがあったという話で、ロバート曰く「この世界じゃ、アイデアは文書にしとかないと権利を保護してもらえないんだよね。だからよくゴタゴタするんだけど、ブルックスはいい人で、最初にアイデアを言い出したスタッフにちゃんとお金を渡したんだ」だそうな。世の中、金の亡者ばかりじゃないってことでしょうか。そういや、前にジョン・ローガンにインタビューに行ったとき、「蝙蝠地獄」のシナリオ書いたときに、契約上プロデューサーの肩書きをもらうことでシナリオ料をアップしてもらったなんてことを言ってましたよ。
 とにかく、プロデューサーという職種は、いろんな呼び方と職能が集まってて、組合でもどういう呼び方をするかでいろいろ意見が分かれてたりするんだとか。まあ、日本の場合だと皆「プロデューサー」ってことで収めちゃってますよね、たいていの場合。あとは「企画」とか?

 そんな「プロデューサー」の中でも、ロバートは基本的に「ライン・プロデューサー」と呼ばれる職種、もしくは「プロダクション・デザイナー」とも呼ばれている、現場の管理者的な仕事をしている人だそうで、この日もソニー・ピクチャーズが製作中のスパイ映画のプロダクション・ボード(撮影計画書みたいなもの?)を持ってきてました。ロバート曰く「低予算版の「ボーン・アイデンティティー」みたいな映画」だそうですが、モスクワ、ニューヨーク、アイオワかどこかの田舎町とロケして、さらにロサンゼルスのスタジオで撮影するような規模の映画を、日本では絶対に「低予算映画」とは呼ばないと思いますが。(^_^;;

 さて、この日のロバートの講義は、製作を円滑に進めるためのツール(テクニック)を紹介するということで、シナリオ(こっちでは「スクリプト」という呼び方の方がとおりが良いみたいです)をブレークダウンする方法を教わりました。

 ロバートは映画をレゴにたとえて、「どんなに大きなものでも、分解していけば小さな部品になる。映画も小さな部品に分解して、一個一個組んでいけばいいんだよ。そのためにはまずスクリプトを撮影しやすいようにブレークダウンしていくことだ」と言って、短篇映画のスクリプトを皆に配りました。

 まあ、日本では「中抜きで撮る」なんて言いますが、要は、同じ場所、同じ時間帯、同じキャストのシーンは、シナリオの順序に関係なくかためて撮影しちゃえば無駄な時間やお金が節約できるという考え方があって、そのためには、当然ながら時系列順に書かれているシナリオを一回バラバラに分解して、撮影する順に整理しなおす必要があるわけです

 で、目の前で簡単な実演をしてくれたんですけど、やり方は実に単純で、以下のような感じでした。
1.シーンごとに番号をふっていく。
2.シーンごとに、その場面に出てくる登場人物に赤でアンダーラインを引く。
3.シーンごとに、その場面に出てくる小道具類や、操作が必要な大道具などに、青でアンダーラインを引く。
4.1ページを目分量でだいたい8分割して、各シーンの長さを書き込んでいく。(日本でもそうですが、シナリオ1ページ=1分間という換算がだいたい当てはまるので、たとえば1ページの2分の1ならだいたい30秒程度の場面だと考えられます。なんで8分割するのかは、ロバート曰く「それが直感的でわかりやすいから、皆そうしてる」んだとか。うーむ。(^_^;;)
5.各シーンごとに、1~4で得た情報をスクリプト・ブレークダウン・シートに書き込んでいく。このシートを見れば、各シーンの撮影に必要なものがすべて書き込まれているというわけです。
6.ブレークダウン・シートを元にプロダクション・ボードを作る。このボードはストリップボードとも言われていて、要は1シーンごとの最小限の情報が書かれた細長いシートを作り、それを並べ替えていって、撮影日、撮影時間、そして撮影場所ごとにかためていき、スケジューリングを行うんだそうです。
(ブレークダウン・シートやストリップボードの現物はwww.chalkhillbooks.comのページで見ることができます)
 あー、いきなり自分の映画を撮ったりさせる前に、これを教えてくれれば、ずいぶん皆混乱しないで済んだのに。せめてバガボンドの前にこの講義するとか。それとも、一回、自分でやってみて悩んだあとで、正解を教えたほうが、身につくっていう考え方なんでしょうか?

 さて、講義中、ロバートは、アメリカの現場での常識についていろんなことを教えてくれました。
 たとえば、ブレークダウン・シートの書き方については、
「エキストラは、だいたいでいいから必ず人数を書いておくこと」
「空母や飛行機といったものは、どれだけ大きくてもビーグル(乗り物)だけど、自転車やカヌーといったものはプロップ(小道具)に分類しておく。要は、誰がその用意をするかということで、自転車やカヌーの用意は小道具係の仕事だから。責任者をはっきりしておく必要があるんだ」
「スペシャルエフェクツという欄は特撮のことじゃなくて、弾着とか発光とか爆発とか、現場で特別におこなう必要のある効果のこと」
「スペシャル・エクイップメントというのは、ドリーやクレーンといった特別に必要な撮影機材のこと。これらの使い方はきちんとルールを守って安全管理に気をつけないといけない。信じられないことに、アメリカでは毎年、プロが撮影現場でバカな使い方をしては事故を起こしている。あり得ないような話だが本当なんだよ」
 等々。
 また、プロダクション・ボードを作るときのスケジュールの決め方については、
「撮影の最終日は、室内、それもステージでの撮影にしておくこと。天気のこととかもあるし、最後は何事もなくすんなりと気分良く終わらせたいからね」
「逆に、初日はできるだけシナリオのファースト・シーンから撮り始めたい。いくらリハーサルをしても、役者たちの気分を高めるには、順撮りが一番良いんだ」
「一つの撮影場所での撮影を全部終えてから、次の撮影場所に移動すること。当然だけど、時間もお金も節約できるからだ。そのためには順撮りは犠牲にしてもしかたない」
 というのが、「3つの基本ルール」なんだそうです。
 もちろん、基本は基本として、状況に合わせて臨機応変にスケジューリングせんといかんし、役者の都合は優先するしかないとも言ってました。「たとえば、キミの学生映画に一日だけトム・クルーズが出てくれるということになったら、すべてのロケ現場を一日でまわって、彼の出る場面だけまとめて撮るしかないだろ」だそうで。そりゃそうだ。(^_^;;
 つっても、ドタキャンされちゃなあ(まだ、今日のショックが残ってます。とほほ)。

 もう一つ、おもしろいこと言ってたのが、1日に撮影する分量。
 彼の経験上だと、映画はだいたい1日にシナリオの2ページから2ページ半くらい撮るのが普通のペースなんだそうです。ちなみに、TVドラマは1週間で1話分撮影しないといけないため、1日にだいたい7ページ分撮影する必要があって、映画よりものすごくハードなんだそうです。
 ところが、「ショウガール」でバーホーベン監督と初めて組んだら、彼はTVなみに毎日7ページ分ずつ撮影していっちゃうので、プロダクションが追いつかなくて大変だったんだとか。
 だから、次の「スターシップ・トルーパーズ」では毎日7ページ分撮れるように入念に準備してたんだそうで。そしたら、「ところがこれが、特撮満載なもんで、全然撮影が進まなくて、1日2ページ撮れば良い方で」これまたすごく大変だったとか。
 で、その次の「インビジブル」では、「また特撮満載のシナリオだったし、今度も1日2ページかと思ってたら、いきなり1日7ページずつ撮り出されちゃって、大あわてしちゃった」って、笑ってました。大変ですな、バーホーベンと組むライン・プロデューサーも。(^_^;;

 ちなみに、話の途中でロバートは急に「「インビジブル」の仕事したおかげで、ぼくはケビン・ベーコンと2ディグリーの距離なんだよ」とか言い出して大笑い。いわゆる「ハブ理論」の「ケビン・ベーコン・ゲーム」ってヤツですな。「誰でも、知り合いをたどっていけば、世界中のどんな人とも6人以内にたどり着く」とかってヤツ。いやあ、映画ファンとかSFファン的には、バーホーベンと1ディグリーの距離の間柄だってほうが格好良いと思うんですけど。
 てか、これでわたしもケビン・ベーコンと3ディグリー(でもって、バーホーベンと2ディグリー)?(笑)

 話の最後にロバートは、自分が今手がけているソニーの映画を例にとって「予算的には厳しいけど、だからこそ工夫のしがいがあるよね」と言い、我々に「低予算映画は俳句のようなものだと思いなさい。余計なものを徹底的にそぎ取っていったところで、何を表現できるかを追求してみるんだ」と諭して去っていったのでした。なるほどねえ。
 しかし、アメリカの授業でいきなり「ハイク」とかって言われるとは思いませんでしたよ。(^_^;;

 この日の授業の後半は、こないだのバガボンド・プロジェクトで撮ったテープを我々が編集したものの第1弾3本と、その前にステージで行った実習で撮った「SEXと嘘とビデオテープ」の1シーンをTAが編集したもののスクリーニングでした。
 先生のアンジェロはいろいろと注文をつけつつも「こんなにちゃんとできてるバガボンドのフィルムは初めてだよ」と誉めてくれましたが、ほんとのとこはどうだかなあ。(^_^;;

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ドタキャンくらった!(>_<)

 今日は昼から夜中まで撮影の予定だったのですが、集合時刻になって、こないだオーディションで選んだ幽霊役の女優から電話がかかってきて「今日は行けなくなったので明日にしてくれ」と言われてしまいました。
 代役を探して強行という手も一瞬頭をよぎったのですが、主役以上に重要な役で、それなりに衣装も必要な幽霊役を、今から急に来てもらった人にやってもらう気にもなれず、本日の撮影は断念しました。
 あー、しかし、どうしたもんだかなあ……。

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2007年3月 3日 (土)

オーディション

Dscf1430

 先週の日曜日は、次に撮ろうとしている短篇映画「HELP」のためのオーディションを開きました。つっても、ほとんど先輩のヨシさんに助けてもらい、逐一いろいろ教えてもらったおかげで、なんとかなったんですけど。

 しかし、大変ですよ、学生映画のオーディションは。こんな海のものとも山のものともわからない作品でも、ネットの募集サイトに告知を出せば1日2日で数十人の(それもちゃんと俳優の組合に入ってる役者たちからの)応募があるのも驚きですが、せっかく選んで「オーディションに来てください」と通知しても、半分以上は(応募してきたくせに)来ないってんですから。
 ゼメキスセンターに早めに行って、部屋開けて準備してたら、ちょうど隣の編集室から同級生の女の子が出てきて、「わたしがオーディション開いたときは、ほとんど誰も来なくて……」とか言うもんだから、どうしようかと思っちゃいましたよ。キミは同級生を脅かして楽しいのか。(-_-;;
 てか、部屋のドア開けておいたら、次から次へと同級生たちが覗きに来てはなんかおしゃべりして行くし。ここは談話室じゃないっちゅうの。てか、日曜だってのにキミらも勤勉だねえ。(^_^;;

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 ともあれ、この日は10数人の女優さんたちに声をかけたうち、なんとか3人来てくれたので、そのうちの2人(特に熱心だったし)に決めることができました。あー、ちょっとホッとしました。
 それにしても、声優のオーディションはわりと見慣れてきてたんですが、あれは自分が配役決めるわけじゃないし、ブースの外から声だけ聞いてるわけだから、目の前で芝居してもらうのとはずいぶん勝手が違いますわい。

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 一応、セリフなしの短篇ではあるんですが、「芝居してるときの表情を見ることができるよ」というヨシさんのアドバイスに従って、短い、わりといろんな風に解釈できる台本を渡して、「こんな風に演じて」と注文をつけて演じてもらいました。今回は、ホラーを撮ろうと思ってるので、おきまりの怖がってる感じが欲しいため、怯えてる表情で話してもらったりして。
 あとは、実際に立ってもらって、怯えてる芝居とか、幽霊らしくボーッと立ってる芝居とかもしてもらいました。
 ビデオでそれを撮影してたんですが、確かにこのほうがあとで画面映えを確認しながら芝居を再チェックできるし、役者さんも真剣度が増す感じがして良いですね。

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 なにはともあれ、こうして役者さんも決まり、月曜には図書館の撮影許可も取り、あとは次の日曜に撮るだけ……って、まだ小道具とか全然用意できてないよーーーーー!
 やっぱ一人で何もかもするのは大変です。ヨシさんは「次の学期以降は、皆で共同作業になっちゃうから、この「製作1」の授業を楽しんでおいた方がいいよ」なんて言ってましたけど、いやもう、いっぱいいっぱいですよ、ほんと。(>_<)

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映画のシーケンス8分割法

 先週の金曜の「脚本・基礎」の授業では、再び「映画の8シーケンス構造」について、詳しい講義がありました。
 アメリカのシナリオの教科書では、映画を3幕構造に分割して解析、構成法を教えていますが、ここではそれをさらにもう少し細かく分割して、1幕目:2パート、2幕目:4パート、3幕目:2パートの計8パートに映画を分割して考えてみようというもの。

 ここで大事なのは、先生の次の言葉。
「別にすべての映画がこの構成に従っているわけじゃない。この構成に従って映画を作れというつもりもない。でも、映画のシナリオというのはけっこう長いものだから、お客さんにアピールするためにも飽きさせない構成に気を配る必要があるし、なによりも書き上げるためにはいくつかの部品に分解して考える必要がある。ぼくがここで教えたいのは、きみたちの頭の中にあるアイデアや物語を形にするための方法としての物語の構成であって、この構成に合うように物語を作ることじゃないんだ。そうやって『そろそろ2幕目の終わりだから、ここらあたりでクライマックスの一騒ぎが必要だよね』なんて感じで、構成から逆算して薄っぺらなキャラしか出てこないありきたりなドラマを作ったりしないこと。そんなの全然おもしろくないもんね」
 いや、もうおっしゃるとおりであります。

 さて、それじゃ、映画の8シーケンス構造とはどんなものかというと、
【1幕目:オープニング(全体の1/4)】
1.主人公、世界観、現状の紹介と、最初の事件。
2.最初の事件に対する主人公の反応。テンションが徐々に上がっていき、最後に主要な問題が持ち上がる。
【2幕目:本編(全体の半分)】
3.主要な問いかけ(この映画で解決すべきこと)が提示される。3番目に大きな障害を乗り越える。
4.2番目に大きな障害を乗り越える。シーケンスの最後に希望が芽生える。
5.小休止。主人公たちキャラクターの内面が語られる。
6.最大の障害を乗り越える。だが、シーケンスの最後に新たな問題が持ち上がる。
【3幕目:エンディング(全体の1/4)】
7.最後の対決。できるだけ意外な(でもちゃんと前半で伏線の張られている)展開があること。
8.解決。物語の終了。

 2幕目の内容は、だいたい次の3パターンのどれか、もしくはその組み合わせ。
A.次から次に新しい問題が起こる。
B.どんどん物資がなくなっていく。もしくは人数が減っていく。
C.目的地まで旅をする。

 ちなみにこれはハッピーエンドの場合で、アンハッピーエンドなら、4シーケンス目の終わりに絶望、6シーケンス目の終わりに希望、7シーケンス目のひねりで8シーケンス目に不幸な幕切れというように、物語をシーケンスごとに逆転していったほうが、お客の興味を引きつけやすいとか。
 また、近年ではどんどんお客さんたちの気が短くなっているので、1幕目の展開は素早く、長さも短くなってきているとか。先生曰く「『猿の惑星』のオリジナルとリメイクを見比べたら、導入でどれだけ早い展開を要求されているかがわかるよ」とのこと。いやー、あのリメイク、わたしはダメだったんですけど、まあ、言いたいことはわかります。

 授業では、「ビッグ」と「オズの魔法使い」をこの8分割で解析してくれて、宿題として「トイ・ストーリー」を同じように8分割するよう言われたんですけど、皆さんはできますでしょうか?

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bon apettit

 きれいに一週遅れてしまってますが、気にせずいきましょう。
 先週木曜の「製作1」はおなじみスクリーニング。ついにわたしの番が回ってきてしまいました。
 わたしの作品は「bon apettit」といって、最初数分間、何も絵が映らないまま、ものを食べる音が続いたあと、いきなりアパートから派手な格好の女性が登場して、という5分の小品。オチ命のしょうもない短篇で、あきらかに経験不足と無知のせいで絵も悪けりゃ編集もひどいもんですが、なんとかネタの下品さに救われて、皆笑ってくれて、そんなに叩かれずに済みました。まあ、前回同様、勝負に勝って試合に負けた感じ、というか、前回も今回もネタのアイデアでなんとかゆるしてもらってるものの、映像作品としてはお寒いかぎりで、このままじゃなんのためにアメリカくんだりまできてるんだかって感じです。一応、物書きとしてはプロなんだから、こんなんで誉められてもなあ。もっとちゃんときれいな絵を撮れるようにならんと。

 この日の他の生徒たちには、評論科の人たちが混じっていて、「ブレア・ウィッチ・プロジェクト」のパロディみたいなビッグフットの出てこないビッグフットもののコメディとか、ヒッチコックの映画を切り貼りしてレズ恋愛映画にしちゃったものとか、ニューヨークの摩天楼の写真をひたすらコラージュしたものとか、いかにも批評家の卵らしい作品が並んでいて、それはそれで楽しめました。特に、あきらかにフェイク・ドキュメンタリーもののパロディを狙ったビッグフットものは、おかしかったんですが、製作科の同級生の何人かは「なんでビッグフットが出てこないんだ」って本気で不満そうにしてて、それもまたおかしくて、つい笑っちゃいました。うーむーー。(^_^;;

 製作科の生徒たちの作品では、ゼメキス・センターで働く用務員の人の生活を追いかけたドキュメンタリーが、けっこうな労作で、短い期間でよくやったなあと思う反面、他人の人生に踏み込むのは安易にはできないよなあ、わたしはいろいろ考えちゃってこういうのは手を出せないよなあ、若さだよなあ、等々、いろいろ考えてしまったのでした。

 映像的にはこの日一番きれいな絵を撮ってた人の作品は、失恋した男の様子を、音楽に合わせて描いたミュージック・クリップ風の作品。うーん、どうせなら、きっちり歌に合わせて編集しちゃって、ほんとにMTVにしちゃったほうが良かったかも。

 一方、ゲームオタクの男の子が、発奮して身体を鍛え、近所の女の子をうちに誘ったものの、結局ゲームをプレイし始めてしまって、女の子が呆れて部屋から出て行こうとしたため、彼女を縛り上げ、隣でゲームを続けるという短篇を作った生徒は、先生から「安易に男性が女性を殴って縛り上げるなどという描写はするものではない」とキツーーークお叱りを受けてしまっていました。いやあ、そんなに目くじらたてるほどじゃなかったと思うんだけどなあ。これ作った生徒は、格闘技やってる筋肉マン(先週末はラスベガスまでプライドの試合を見に行くくらいのマニア)なんですが、日本のアニメやマンガも大好きで、夢は「アキラ」の実写映画化だという兄ちゃんで、学部もどこかの大学の映画学部というバリバリの映画青年。でも、「前に作った映画には、人種差別主義者の日本人を出したんだけど、そしたら当時つきあってた日本人の彼女が『あなたは日本人をバカにするのか?』って本気で怒って別れてっちゃったし。オレが作る映画はいつも誰かを怒らせるんだよ。そんなつもりはないのに。ああ、日本で映画を作りたい。あそこなら、わかってもらえるはずだ」と嘆いてました。いやー、映画作りたいならアメリカにいたほうがチャンスは大きいと思うぞ。だいたい、片言しかしゃべれないじゃん、日本語。(^_^;;
 とか言いつつ、わたしは彼を応援していたりするのですが。オタクのこと、よくわかってる感じだし、おもしろい映画作ってくれそうな気がするですよ。

 日本語で書いてるから大丈夫だと思うけど、同級生が読んだら怒りそうだなあ。いや、どれもわたしよりはうまいんですけどね。一応レビュアーとしては「心に棚を作れ!」((c)島本和彦)ということで許してもらえればなあ、と。ムリか?(^_^;;

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2007年3月 1日 (木)

音響の仕事は3種類

 週が変わったというのに、日記はまだ先週の「映画製作のコンセプト」の続きですんません。
 さて、後半の講義は、デイヴィッド・ボンデレヴィッチ(David Bondelevitch)さんによる、ミキシングについてでした。デイヴィッドはうちの卒業生で、バリバリ仕事してる人の一人です。ものすごい仕事量ですなー。

 まず、彼が言ったのは「音響の仕事といっても、実際には3つのパートに分かれていて、それぞれ違うスタッフがやっている」ということでした。
 つまり、先日の日記でも書きましたが、
1.プロダクション・サウンド
 実際に撮影中に同時録音する人たち。
2.サウンド・エディティング
 撮影中に録音した音やあとから作った音などを含めて、どのテイクを使うか決定し、音を作り上げる人たち。
3.サウンド・ミックス
 映像に合わせて、セリフ、効果音、音楽の3つの「サウンドトラック」をサウンド・エディターの作った音から作り上げる人たち。ミキシングはリ・レコーディング(再録音)とも言う。
 ということらしいのです。いや、実際のところ、そう言われてもまだわたしは今ひとつピンときてなかったりするのですが。(^_^;;
 とはいえ、友達で映画ライターの添野知生さんもブログに書いておられますが、今までどうもよくわかってなかった、アカデミー賞にサウンド・エディットとサウンド・ミックスの2部門があるということの背景として、それぞれ別の職種、別の工程としてハリウッドでは捉えられているということがわかって、急に腑に落ちたりして。

 さて、そのミキシングのスタッフなんですが、たとえば「パイレーツ・オブ・カリビアン/デッドマンズ・チェスト」や「MI3」では音響関係のスタッフは50人以上クレジットされてて、その中でも一番多いのがミキシングに関わる人たちだとか。一本の映画を作るために、ものすごい数の人たちが音をいじってるわけですよ。特に今は5.1chや6.1chが当たり前ですしねえ。
「だから、音響をめざせば、プロになれる可能性は一挙に高くなるぞ」とデイヴィッドは言ってましたが、まあわたしみたいな音痴にゃとてもとても。(^_^;;

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2007年2月28日 (水)

学内すごろく(^_^;

Dscf1452ドヒーニー記念図書館

 今週末、大学内にあるドヒーニー記念図書館(学内にいくつかある図書館の中でも一番古くて、なかなかにムードのある場所なのです)で映画の撮影を行うため、許可をもらおうと昨日から走り回っておりました。
 図書館行って、責任者に「これこれこういう撮影で、こんな機材と人数で、この場所を使わせてください」と説明するついでに、実際に相手に候補場所をいくつか見せてもらって、その場でロケハンして、向こうの了承を得たのが第一段階。
 実はそこからが長くて、許可証に学内の関係各部門それぞれの承認サイン(全部で8個!)をもらうため、自分の学部を皮切りに、あっちいったりこっちいったり、まさにすごろくのコマのように動き回っていたのでした。これが面倒なのは、振られてる番号順にまわらないといけないこと。しかも、ラストは「ふりだしに戻る」じゃあるまいし、また映画学部に戻ってきちゃうし。(^_^;;

Dscf1458すごろくマップ(笑)

 もっとも、先輩日本人のミッチさんに言わせれば「でも、学内歩き回るだけでただでロケできるんだから、外でロケするより全然楽ですよ」とのこと。なるほどねえ。そういや、半期先輩の連中がこないだサンタモニカの映画館前で夜間撮影するからって手伝いを募集してたけど、あれとかすごく大変なんだろうなあ。

Dscf1457サイン済みの許可証

 ともあれ、なんとか8カ所全部回って、無事サインをもらい終わってホッとしてたら、「製作1」のキャロル先生とバッタリすれ違い、「あら、日曜に撮影するのね。確か、今週の日曜はLAマラソンがあって道路封鎖とかいろいろあるから、役者さんたちにちゃんと言って早めにきてもらいなさい」とか言われちゃいました。
 マラソン?! そんなの知るかー!!(>_<)

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ニーヴンが来る!

 今週末、USCで開かれる"Fiction Science"という講演会にラリー・ニーヴンとティム・プラットが来るんだそうです。そして、ルーディ・ラッカーもライブ・チャットでちょっとだけ参加するとか。
 日曜は撮影があってどうにもなんないけど、金曜日中に準備済ませて、土曜は絶対見に行こう。ついでにサインももらってくるかな。

Fiction Scienceの告知ページ
土曜日のスケジュール表

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2007年2月27日 (火)

REALITY ENDS HERE

Dscf1425

 ゼメキス・センターの玄関に刻まれている言葉。いやまあ、かっこいいです。
 もっとも、われわれ学生はこの先に入るたび、授業という「現実」に攻めまくられてる気もしますが。(^_^;;
 さて、今日も現実と戦ってくるか。

Dscf1424

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2007年2月26日 (月)

サウンド・レコーディングの神髄とは?

 火曜の夜は「映画製作のコンセプト」。この日は、前回に続いて音響のお話でした。
 といっても、ここまでの音の話が、音を作る話だったのが、今回はその前後、つまり、撮影中に音を録るときと撮ったり作ったりした音をミックスし直すときの話でした。つまり、音響といっても大まかに3つの工程、そして3つの職種に分かれているというのです。
 というわけで、この日の講師は2人いて、前半が音を録る、つまりサウンド・レコーディングの話、後半が音をミックスするリ・レコーディング(再録音)およびミキシングの話をしてくれました。

 前半のサウンド・レコーディングの講師は、ダグ・ヴォーンさん(Doug Voughan)
 実はこの人は、「製作1」の実習にここのところいつも来てくれて、ブーム持って立ってるわたしを何かと助けてくれたり助言してくれたりしている、すごく親切なロマンスグレーのナイスガイなのでした。

 ダグはまず「燃えよドラゴン」の1シーンを見せて、「どこかおかしいと思わないか? なんとなく不自然な感じがするだろう」と聞いてきました。それに対して「セリフと口の動きが合ってないけど、それは中国語を英語に吹き替えてるからなんじゃ」と生徒の一人が答えると「いや、この映画は実は全編皆英語をしゃべってるんだよ。だから、それは半分だけ正解。確かに、アフレコなんでリップシンクがちょっとおかしいんだよね」と話し始めました。
 ダグによると、この映画が作られていた頃は、ハリウッドの映画でもアフレコがけっこう一般的におこなわれていたんだとか。それはもちろん、そのほうが同録つまり同時録音よりも簡単だしコストもかからないから。でも、やっぱりどうしても不自然だというので、今のハリウッドでは同録が基本だとか。

 続いて、「ロスト・イン・トランスレーション」から、ビル・マーレイが日本でCM撮影をしているシーンを上映し、「ほら、日本語がわからなくても、このシーンは実に自然に聞こえるだろう。これが最近の映画のサウンド・レコーディングなんだよ」と、さっきの生徒に問題は言葉の違いじゃないことをなっとくさせてました。たぶん、最初からそう言われることを想定して、この場面も用意してたんですな。
 ちなみに、このあと数日間、その場にいた人たち(生徒だけじゃなくて、担任の先生やTAも含めて)から「あの場面で日本人のディレクターは本当はなんて言ってたの?」ってずーっと聞かれ続けて、ほとほとまいりました。皆、そんなに気になるならあとから個別に聞きに来ないで、その場で聞いといてくれ、いっぺんですむから。(^_^;; ちゅうか、こういう素朴な反応が、あの映画のアメリカでの高評価につながってるのかも。

 次にダグは「タクシー・ドライバー」から、ロバート・デ・ニーロが一人、自分の部屋で「オレに言ってんのか?」と言いつつ銃の抜き撃ちの練習をしているシーンを見せ、
「この場面はノイズが多いよね。それが迫力にもつながってるんだけど、実はこの場面はシナリオではセリフはなかったんだ。それを、デ・ニーロが即興で芝居してみせたんだよ。だから、同録の用意はしてなかったんだけど、サウンドの人間が音も一応録ってあったんだね。だから、こうやって使うことができたんだ。今や、この場面のデ・ニーロのセリフは、この映画を語るとき、誰もが思い浮かべるものになってる。だから、音響の人間にとって、常に準備をしておくことはものすごく大事なんだよ。そして、監督が音に気を配ることもね」
 と教えてくれました。ダグ曰く、
「映画の製作はものすごく大きなプレッシャーだし、スケジュールが決まっていてスローダウンしたりできなくて、とにかく動き続けなきゃいけない。そんな中で日々の一つ一つの決断がすごく大事になってくる。そして、全体のリーダーである監督は、すべてに気を配っておかないといけないんだ。監督におろそかにされていると思ったら、音響の人間はもちろん、スタッフたちはとたんに背を向けるものだし、何より製作上の決断を下すのは彼らじゃなくて監督なんだから」とのこと。

 その次にダグが見せてくれたのは、「セルマ&ルイーズ」の酒場の場面。この場面、ずっと主人公たちの背後で人の声やざわめきがしてるんですが、ダグによれば、
「ほんとは、これくらいの人がいたって、バーの中ってもっと静かなんだよね。つまり、この場合、背景音は別録りして後から足してるわけだ。そりゃ、その場で大きな声をエキストラに出してもらって、同時に録ることもできなかないけど、そういうことはしないよね。それは、別録りのほうがその場の音響コントロールできるから。この「コントロール」ってことが、常に音響の鍵なんだよ」
 だそうでした。

 さらにダグは、「L.A.ストーリー」から、街中をスティーブ・マーティンとサラ・ジェシカ・パーカーが話しながら歩くシーンを見せて、
「こういう開けた空間で、しかも大勢人がいる場合、同時録音しようと思っても、ブームは使えないし、まったくコントロールが効かないよね。こういうとき、それでも同録するために、すごく小型のワイヤレスマイクが使われるんだ」
 って、言うんですが、それって身につけてる役者が動くたびにマイクがノイズ拾いますよね。と、皆が思ってると、
「ノイズはあとでポスト・プロダクションのときに消しちゃうんだよ。最近は絵でも音でも『後でなんとかしよう』って言って、少々のことがあっても撮影進めちゃうことがけっこうあるんだよね。そりゃ、現場のスケジュールはそれで守れるかもしれないけど、ポスト・プロダクションに負担がかかりすぎてるような気がするね」
 だそうでした。うーむ、なるほどねえ。

 そしてダグは、「サイドウェイズ」の主人公二人組が女性たちとレストランで食事をするシーン、「大統領の陰謀」でレッドフォードが電話で取材をしている長いシーン、そして「フォー・ザ・ボーイズ」でベット・ミドラーが歌をレコーディングしているシーンを見せ、それぞれの場面で、いかにして同録した音と別録りした音を重ねているかを解説、音を同録することがどれだけ映画をリアルで豊かにしてくれるかを力説していました。さすが、ブーム握って何十年。自分の仕事にプライドを持ってるのがよくわかる講義でありました。

 最後に、ダグはもう一度、
「あくまでも映画撮影の現場のリーダーは監督だ。監督が音響をおろそかにしているそぶりを見せたり、きちんと音が録れてるかチェックを怠ったりしたら、いくら優秀な音響がついていても、ミスが起こるし、あとから『あのとき、あの音も録っておくんだった』なんてことが必ず出てくる。それを忘れないこと」
 と言って講義を締めくくったのでした。うーむ、かっちょえー。
 というわけで、長くなったんで後半は次のエントリーに分けることにします。では、今回はこのへんで。

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バガボンド・プロジェクト

 さて、ずいぶんあいだが空いてしまいました(てか、アカデミー賞授賞式見終わっちゃいましたよ)が、火曜日の話からゆっくりといきましょう。

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 まずは火曜の「製作1」。
 この日の授業は、何週間か前からずっと準備していた実習である「バガボンド・プロジェクト」の本番でありました。われわれは3班に分かれて、それぞれモーテル「バガボンド・イン」の1室を利用して、授業時間内に映画「グッド・ウィル・ハンティング」の1シーンを自分たちで撮影するというのです。
 以前にやった照明の実習と決定的に違うのは、スタジオ内に組んだセットじゃなくて、実際の部屋を使うので、狭くてカメラや照明を自在に配置できないということ。大きな照明装置は入れられないから、光の当て方は普通の電球などを使って工夫しないといけないし、カメラアングルや移動のさせ方も制限されるんで、できうる範囲の中で最大限の効果を狙わないといけない、という実習なのでありました。

Dscf1403


 問題は、「だから、この場合はこうしなさい」というような指導はほとんどなくて「さあ、やってみなさい」って放り込まれちゃうこと。つまりは、「失敗して学びなさい」ってことなんでしょうけど、これはこの「製作1」全体にも言えることなのですが、それって、そのあとに反省の時間をたっぷりとって、なおかつ教師とミーティングしてフィードバックをもらわないと、ちゃんとした学習効果が出ないことだってあるような気もしているのでした。強気の生徒は反省したりしない、というか、ミスってても気づかなかったりする可能性だってあるし、わたしみたいな初心者は、どこをどう直したらいいのか、皆目見当がつかなかったりするし。
 というようなことは、終わってずいぶん日数が経ってるんで言えることで、やってる最中はそれどこじゃなくて、ただもう必死でマイクつけたブーム持ち上げてました。たかだか4時間たらずだってのに、終わったら右腕の感覚がなくなっちゃってましたよ。とほほ。音響の人、というより、撮影現場の人になるには、身体鍛え直さなきゃダメかも。てか、同録はしんどいですよ、やっぱ。

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 まあ、それにしても、学生の実習ってのは気疲れして大変ですな。一応、監督役、プロデューサー役、カメラマン役等々、皆に役割分担はしているものの、基本的には皆横一線に平等なクラスメートなもんだから、いまいち統率がとれない。いやもう、よく終わってくれたもんだと思いますよ。(^_^;;
 肉体的にも精神的にもドッと疲れる授業でありました。とりあえず、一番乗りして一番後まで働きました。ええ、もうそんだけは死守しようと思ってます。
 でもって、撮影終わったら、早速宿題が出て、一つはこの実習の反省とか感想を、与えられたいくつかの項目に合わせて書くことで、もう一つは二人ずつ組になって、撮った画像を編集すること。てことは、3班で撮ったから元の画像が3パターン、それを各人各様のカッティングでそれぞれ3種類の編集が行われるわけだから、全部で9種類のテープができあがるわけです。……って、同じ話なのにそれ全部スクリーニングで見て感想書かなきゃいけないのかあ。とほほ。(^_^;;

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2作目製作準備、進行中

 なんかもう、授業の様子とか、日々の生活とか、日記の更新が止まっていますが、それもこれも、今週が個人的には今期の山場だったりするからです。
 とりあえず箇条書きしちゃうと、火曜は「製作1」で前から書いてたバガボンド・プロジェクトというグループ実習をおこない、そのあと「映画製作のコンセプト」で音響の仕事についてさらに詳しく講義を受け、水曜以降は空き時間にバガボンドで撮ったテープの編集をしながら、アニメクラブの様子を覗きにいってみたりしつつ、木曜の「製作1」ではとうとう短篇第1作(前に撮った1分のは第0作ってことで)のスクリーニングをして、そこそこ好評だったので胸をなで下ろし(みんな、優しいなあ)、第2作のシナリオをまとめて、先輩のヨシさんに手伝ってもらって(というか、何から何まで教えてもらって)ロケ現場の場所取りに行ったり、俳優のオーディションの準備をしたりしつつ、金曜には「脚本・基礎」で再度、映画構成の8シーケンス分割法の講義を受け、土曜はようやくもろもろ一段落したので、ハリウッドのアークライト・シネマという最新の映画館まで行って「パンズ・ラビリンス」(傑作!)と「アストロノート・ファーマー」(傑作になりそこねた凡作)を見てきて、今日(日曜)はこのあと午後から役者さんたちのオーディションなのでした。ここまで一息で読んでくれた皆様、お疲れ様でした。いや、ほんとに大変なんすよ。
 というわけで、個々の詳しい話は、今晩、テレビでアカデミー賞授賞式でも見ながら書いていこうと思ってます。なにはともあれ、オーディションをしに行ってきます。では!

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2007年2月22日 (木)

SOS団USC支部?(-_-;;

 走り回ってて、気がついたらもう夜中ですよ!
 なんだかなあ。
 バガボンド・プロジェクトの編集は、とりあえずテープからHDDにキャプチャーするとこまではなんとか終わりました。実際の編集作業は、明日の授業のあとに粗編やって、月曜に仕上げかなあ。
 オーディションのほうは、場所取りに続いて、ネット上での告知を、ヨシさんの協力を得てなんとか済ませました。
 こういうサイト(NOW CASTING)がありまして、ここに「わたしはこれこれこういうモノで、こんなプロジェクトをしているんで、こういう役者さんを探しています。でもってオーディションはこの辺で、撮影はこのへん」という必要事項を記入してアップすると、プロの応募がどーっと来るというんですから、ロサンゼルスはおもしろいです。
 さて、明日は朝から、ロケに使いたいと考えている図書館の使用許可をもらいに行かなきゃ。

Dscf1407 ところで、走り回ってるあいまに、ちょっとだけアニメクラブの様子を覗きに行ってきたのですが、水曜の夜はただひたすら日本の新作アニメを見ているだけだったので、そのうち日曜のほうのミーティングをのぞきに行って、どういう若者たちなのか、話を聞いてこようと思います。リサーチ、リサーチ。(^_^;;
 しかし、会議室の前に「SOS団シーディング」(ミーティングと書きたかったらしい)って日本語で書いた黒板置かれてもなあ……。(-_-;;

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足がつって目が覚めた

 昨日の実習(バガボンド・プロジェクト)で、音響係として3時間ほどマイクのついたブーム持って立ってたら、へろへろに疲れてしまい、今日は昼までぐったり寝ていて、足がつって目が覚めてしまいました。あいててて。orz

 今日は水曜で授業はないのですが、次の短篇に出てもらう役者さんを見つけるためのオーディションを週末に行うため、ヨシさんに相談して、まずはオーディション用の部屋を押さえてきました。今晩、ヨシさんと会っていろいろ教えてもらいながら、募集の詳細を詰めようと思っています。

 また、3月半ばに1週間春休みがあるんですが、学校は閉まっちゃうわ、皆どこかに旅行に行っちゃうわというのがわかったので、一人でぶらぶらしててもしかたないので、そのあいだ東京に戻ることにしました。と言っても就学ビザで来てる人間は勝手に行ったり来たりできなくて、アメリカ国外に出るときは書類にサインしてもらわないといけないというので、留学生課に行って、とりあえずその手続きをしてきました。あとは飛行機のチケット。安いとこはどこだろう?

 そうそう。こっちの学生さんたちが入っているFACEBOOKという学生専用SNSに登録してみました。同級生たちの大半も登録しているというので、ここは一つ、円滑なコミュニケーションの一助になればと思ったんですが、そしたらUSC学内にアニメクラブがあることを発見。毎週、水曜と日曜に会合があるんだとか。今日はちょっとムリっぽいけど、アメリカのアニメおたく事情を知るためにも、そのうち顔を出してみようと思います。(^_^;;

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2007年2月17日 (土)

ストーリー優先かキャラ優先か

 今日は先週休講になってしまった「脚本・基礎」。
 1回休んじゃったので、その間の宿題の発表で授業は終わっちゃって、いつもの業界裏話や、ぶっちゃけた感じの講義がほとんどなくて、ちょっと残念でした。
 とはいえ、一つおもしろいこと言ってるなあと思ったのは、
「シナリオの講義というと、何かといえばストーリーの三幕構成だとか、シナリオの構造ばかりが取り沙汰されるけど、そればっかりじゃ、キャラのスカスカな感情移入できないお話ができあがっちゃうんだよね。大事なのは、観客がのめり込める強烈なキャラクターを作ることなんだよ」
 と強調してた点でしょうか。どちらかというと日本でよく言われてることっぽいというか、日米で基本の風潮はちょうど逆を向いてるのかも、とか、ちょっとだけ感じました。結局のところ、キャラとお話の両方のバランスが取れてなきゃダメなんだとは思いますが。

 というわけで、宿題でここんとこやってるのは、あいかわらず簡単な一幕のシナリオを書くとか、「わたしが知っている中で一番@@な人」という設定でキャラクター紹介を書くとか、そういうもの。
 要は、セリフを使うのを封じた上で、場面やキャラをいかにして簡潔かつ印象的に書くかって練習で、前にも書いたように、これをどれだけやってもまとまりのあるシナリオが書けるようになるとは思わないんですが、わりと皆、課題の狙いがわかってないらしくて、ずるずる長いのを書いてみたり、キャラ設定じゃなくて短い小説みたいになっちゃってたり、苦戦してる人が多いのが意外です。こりゃ確かに10分以上のシナリオにたどり着くのはけっこう遠いかも。うーーむ。(^_^;;
 まあ、この調子で上級までいくのに2年くらいかけて毎週課題をやっていくわけだから、徐々にステップアップしていけるのかもしれません。「製作1」の、ぶっつけ本番でスパルタ教育な短編映画製作とは違って、すごく手厚いというか優しいよなあ>脚本の授業。やっぱ、うちらは製作学科だからで、脚本科はもっとスパルタなのかなあ?(^_^;;
 というわけで、今日出た宿題は、
「主人公と、彼のライバルを設定し、何かを手に入れるために、主人公が障害となるライバルをなんとか回避しようと何度も試みた末、成功するか失敗するかして、エンディングにもう一ひねりまでを、A4用紙1枚半で書け。できれば1シーンかつ今の自分が撮影可能なセッティングにすること」
 だそうです。
 いやあ、全然キャラ優先の宿題じゃないと思うなあ。結局、キャラと話が両方整ってないといけないじゃん、これ。(^_^;;
 ともあれ、「すごいの書こうとか思わなきゃ簡単だから、まあこなしちゃえばいいや」と思ったあとで、「そういう見極めもつかないくらい、モノがわかってないから、「製作1」はあんなに苦しんでんだよなあ、オレ」とハタと気づいてしまったのでありました。南無~。(-人-)

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2007年2月16日 (金)

穴があったら入りたい&やってもた……

 今日は朝から編集室にこもって、AVIDでズルズルっと先週末に撮影した短篇の編集。
 とりあえず、つなぐだけつないで、頭とおしりにカウントとクレジット入れてみたんですけど、これがもう見続けていると高速に身を投げて死にたくなるくらいひどい出来で、柳下さんの友達だというだけで頼み込んでしまい、わざわざ出ていただいた瑪瑙ルンナさんに申し訳なくてどうしたものだか。
 撮影も編集も稚拙なもので、どうにもカバーできずに頭を抱えております。いくら一本目だからって、これはないよなあ、やっぱ。
 狙いは悪くないと思うんだけど、表現が稚拙すぎてこのままだと見事にエド・ウッドのダメな二番煎じを演じてしまいそうであります……。

 そして、午後の「製作1」は2回目のスクリーニング。ここで、ついにやってしまいました>舌禍。
 前に先輩のヨシさんから「ダメだと思ったときは黙ってて、良いときだけほめたおすのがコツ」と教わっていたのに、先生に意見を求められてつい言わなくてもいいことを言ってしまったのでした。
「夢オチはやっちゃいかんと思います」
「女の人の動機が欠けてます」
「狙いはオモシロイと思いますが、キャラに同情できる描写が欲しいと思いました」
「太ってる人を笑いものにしたいんだか、共感したがってるんだか、よくわかりませんでした」
 だんだん疲れてきたんで、後半ほど言わなくてもいいことはっきり言っちゃってます。
 いや、皆、絵はわたしなんかより断然うまくて、どこからどう見ても素人じゃない人までいるんですけど、プロットは端からどうしたもんだかな感じで、先週よりかなりつらい感じ。それを皆でよってたかって内輪ぼめしまくるもんだから、むちゃくちゃ居心地が悪くて、それがつい出てしまったのでした。
 そしたらもうその場がおもしろいくらい凍る凍る。
 ちょっと思ったのは、基本的な考え方から違うんですよね。話を聞いてると、さすがに皆話に穴があるのはわかってるんだけど、そこはそのままにして、良い絵を撮ることを優先しちゃってるんですわ。わたしからしたら、「そこは順序が逆じゃん。ありきたりでも何でも良いから、まずは話をきちんと落とせばいいのに」と思うんですけど、その考えがすでにズレてるみたいで。うーーむ。

 授業のあと、ふたたび編集室でデータいじってるところで、TAやってるヨシさんと会って、惨憺たる出来の粗編を見せてから、一緒に夕食に行って、「実はかくかくしかじかで」と話したら、笑いながら「それは来週サカイさんのを見せるとき、言った分だけ全部返ってきますよ」と言われたのでありました。いやまあ、そりゃあそうでしょうなあ。
 あまりに絵が稚拙すぎて、総合的に見たら一番出来が悪いのは、誰が見たってわたしの作品だもんなあ。いやあ、反発必至ちゅうかなんちゅうか……。

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2007年2月14日 (水)

音響設計の5大要素

 火曜日2コマ目の「映画製作のコンセプト」。今回は「音響設計」について、サウンド・デザイナーであるドン・ホール(Don Hall)さんから、講義がありました。いやもう、経歴見てるだけでクラクラくるような大御所であります。
 ちなみに、名前だけ見てると何系の人かさっぱりなんですが、お会いしてみるとものすごく柔和な感じのアジア系のお爺さん。休憩中にちょっと話したところ、「中国人なんだよ」ということでした。

 さて、ドンの言うには、映画を形作っている要素は、まずストーリー(物語)、そしてイメージ(映像)、最後にサウンド(音響)の3つあるけど、スタッフの85%は映像に関わる人間だとか。たとえば、「ディパーテッド」の場合だと、エンドクレジットに名前が出てくる映像関係のスタッフは189人いるのに対して、音響関係のスタッフは29人だけなんだそうです。

 でもって、音響設計の5要素とは、
1.セリフ
2.音響効果
3.背景音
4.音楽
5.無音(静寂)
 だと言った上で、それらの例としてさまざまな映画の場面を見せてくれました。

 まず、セリフと音響効果が効果的に使われている例として「フォレスト・ガンプ」のベトナム戦争の戦闘シーン。主人公のナレーションが効果的に使われている例であると共に、敵の姿を一切見せないで、音と爆発だけで表現しているところが、物語のテーマと良く合っているとのこと。
 さらに、セリフにはしゃべり方やなまり、スラングなどといった要素があって、それがキャラの個性を作るけど、使い方を誤るといけないということで、ダメな例として「コレリ大尉のバイオリン」で主人公を演じたニコラス・ケイジのやり過ぎなイタリア訛り風英語を紹介して「これじゃ見てる人は誰もこのキャラをシリアスに受け取れないよね」だって(笑)。
 また、スラングについては、90年代の映画「クルーレス」中で高校生たちの言葉として使われていたスラングの一覧を見せて、そのほとんどが今は死語となっていることを示したあと、2年ほど前の調査で選ばれた最近の大学生たちのスラング一覧を見せてくれました。全員笑ってたところを見ると、かなり「それはないだろう」って感じだったみたいです。あと、他のスラングはどんどん移り変わってるのに「クール」という言葉だけはなぜかしつこく生き残っているという話もしていて、ちょっとおもしろかったです。

 音響効果についてもおもしろいことを言っていて、まず、
「見てるモノが聞いているモノだ(What you see is what you hear.)」と言って、「ザ・ロック」のカーチェイスのシーンを見せ、「いろんな効果音が使われてるけど、それが絵とマッチしてるから、本物の音のように聞こえてる」と解説。次に、
「聞こえているモノは見えているモノじゃない(What you hear is NOT what you see.)」と言って、「シービスケット」で、厩舎内で馬(シービスケット)が暴れているのを音だけで表現しているシーンを見せ、「音さえ聞けば何が起こってるかわかるようになってる」と解説してくれました。

 背景音では、まず「恋に落ちたシェイクスピア」の冒頭、シェイクスピアが友人とロンドンの街中を歩いているシーンを見せ、実はそんなにエキストラたちが動き回っているわけでもないのに、大きな音を背景に加えているだけで、いかにも騒々しい街中の雰囲気を出していると指摘していました。
 次に、「マルホランド・ドライブ」の1シーンを流して、背景にずーっと低い音を流すことで不気味な雰囲気を醸し出している点を指摘、さらに、「アントワン・フィッシャー」の主人公が子供の頃を回想する場面で、性的虐待を受けているところを、画面に映さずに背景音として表現することで、余計なモノを見せずに強烈に観客に印象づけていると言っていました。

 音楽に関しては、「ムード、感情、場所、アイデンティティ、時代といったものを想起させるし、場面のペースやテンポを作ったり、カウンターポイント(強調点)を作り出したりもできる」としたうえで、「ただし、それは記憶と結びついているからで、誰もが同じ音楽から同じ感情を想起するとは限らないから、注意する必要がある」とも言っていました。
 そして、「フィラデルフィア」で、トム・ハンクスとデンゼル・ワシントンがマリア・カラスのアリアのレコードを聴く場面の、感情の高まりを指摘していました。
 また、「ほんとうのジャクリーヌ・デュ・プレ」では、画像と音楽をわざとスローにすることによって、病で神経を冒されているヒロインの状況を具体的に表現してみせていると指摘して、「この手は非常に効果的だから、一度使ってみるといい」と言ってました。

 最後の無音は、わざと音をなくす(音楽を急に止める、もしくはセリフや効果音だけを聞こえなくする)ことで、逆にその場の状況を強調するということで、「イングリッシュ・ペイシェント」の野戦病院に爆撃があった場面、「レイジング・ブル」のボクシングの試合のクライマックス、「オール・ザット・ジャズ」の主人公が心臓発作を起こす場面を見せ、それぞれの効果を指摘してくれました。

 そして、音響設計の戦略として、
・どんなストーリーなのか?
・何を語ろうとしているのか?
・どんなムードを作り出そうとしているのか?
・上記の要素のうち、どれとどれを使うのか?
 を、常に考えておくようにとのことでした。

 そのあと、最後に、音楽のカウンターポイントの例として「グッドモーニング・ベトナム」の、What a wonderful worldが流れる場面を、
「今見ると、いかに政治的なメッセージを含んでいるかが、当時よりもすごくよくわかるよ」
 と言いながら上映してくれました。
 そう言われると、当時のベトナムと、今のイラクの状況とが、見事に二重写しになって見えちゃう場面でして、あの映画が全く古びてないことに、複雑な感慨を抱いてしまいました。
 それにしても、わざわざこれを講義の最後にもってくるところがニクイです。さすが大御所>ドン・ホール。

 いやー、しかし、音はこれまたおもしろいけど難しいですな。つけ方一つでそれこそ作品の印象がまるっきり変わっちゃうし。

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やっぱり実習は苦手

 今日の「製作1」は、スタジオ内に簡単な室内セットを作り、俳優に来てもらって、映画の1シーンを実際に撮影してみようというものでした。
 先生のアンジェロとキャロルが題材に選んだのは「セックスと嘘とビデオテープ」の中から、夫の浮気を知ったヒロインが、夫の友人で他人の性生活インタビューをビデオに撮り続けてる男の部屋を訪れる場面。

 というわけで、セットをバタバタっと作り込んだところまではよかったんですが、問題はそのあと。アンジェロが「カメラが何台もあるんだから、どうせならクローズアップも同時に撮って、マルチカメラ環境を実演してみよう」と言い出したところが、大失敗の始まりでありました。

 大学から貸し出されたカメラは全部で6台あって、3人ずつで使い回してるんですが、ちょうど今日のわたしは、先週撮影が終わったもんで次の人に渡すためにカメラを持ってきていたのです。
 で、こういうときにさっさと動かないのが苦手なわたしは「あ、ここにあります」と言ってカメラを取り出し、三脚の上にセットしたんですが、そしたら「じゃあ、サカイが2台目のカメラマンをやれ」と言われてしまったのでした。

 まあ、画質のセッティングは1台目と合わせなきゃってんで、1台目のカメラマンがやってくれたし、録音も1台目だし、クローズアップ撮るだけだから、ピントも固定で女優さんの顔を追いかけてりゃいいから、作業自体は楽だったんですが、ここで先生のアンジェロを思いっきり怒らせてしまったのでした。

 アンジェロは部屋の反対側に置いたモニターを見ながら、なんだかいろんなことを言っていたのですが、これが簡単な単語ばかりなのに、何のことを言ってるのかさっぱりわからず(結局、現場で実際に使われてるジャーゴンだったみたいです。まあ日本で言うなら位置決めのテープ貼るときに「そこ、ばみっとけ」なんて指示するようなもんでしょうか)、どうやらわたしに向かって話してるらしいというのがわかったものの、指示の内容は全然わからずじまいで、横にいた1台目のカメラマンに、横取りするようにカメラを取られて設定変更される始末。
 そこへ、アンジェロが寄ってきて「指示を出されたときは『わかりました(I got it)』って返事するんだよ。そうしないと作業が止まっちゃうから」と言われたんで、「すいません。正直なところ、指示がわからないんです(Honestly, I don't get it, sorry.)」って、うっかりオウム返しに正直に言っちゃったのが大まちがい。
「わからん? 何が?!」
「何を言われてるのか、理解できなくて。何を調整しろというんでしょう?」
「それじゃしょうがない。もういい!」と、アンジェロは怒鳴って向こうへ行ってしまったのでした。自分の手元(カメラ)に気持ちがいっちゃってて、全然気づいてなかったんですが、アンジェロ、かなり本気で怒ってたんですわ。いや、元々人の顔色を見るのがヘタなんで、何の気なしにポロッと本音を言っちゃって相手を激怒させることがままあるんですが、ついにアメリカでもそれをやっちゃったというわけです。

 素人なんだし日本人なんだから、失敗してあたりまえだと本人は思っているし、まあ、先生は教えるのが仕事だからこれくらいのことでどうこうするとは思わないんですが(アンジェロは授業が終わってから、わざわざわたしを脇に呼んで、すごい勢いで「怒鳴って悪かった」って謝ってくれてました)、問題はそれを見ていた同級生たちの反応。一気に冷え冷えした感じがしちゃって、誰もわたしのそばに近寄らないっていうか……。

 今回の実習は、実際に役者さんを入れて、大勢のスタッフで撮影をするという体験学習で、どっちかっていうとテクニック的なことより、チームで行動できるかというところが眼目だったんですが、わたしがクラス内で一人だけ孤立しちゃってるのが思いっきり目立っちゃって、むちゃくちゃ気まずい感じで終わってしまったのでした。

 実は先週から、グループでの実習中は、はっきりわたしのことを無視している一派と、顔を見るたび「大丈夫?」と声をかけてそのまま仕事は振らずに向こうに行ってしまう一派ができつつあって、どっちにしても実技となるとわたしと組みたくないというのがありありなのであります。
 まあ、アメリカ人の同級生たちにとっては、しょせんわたしは「なんだかよくわからんド素人の外国人のおっさん」でしかないですからなあ。

 同級生の協力なしには、この先まったく動きが取れなくなりそうなんで、マジでなんとかせんとまずいのですが、とはいえ、現場で役立たずなのは、一通り仕事を覚えるまではどうにもなんないしなあ。
 いや、正直この件だけは本当に参っております。(-_-)

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2007年2月13日 (火)

オーディションの開き方

 今日の授業は、隔週の「製作1:ディレクティング・アクターズ」。
 今日はまず「演技の基本エクササイズ」ということで、寝っ転がって緊張を解いたり、言葉に出さすに心の中でだけ自分の感情を変化させてみたり、ひたすら身体を動かしてみたり、二人で対面に座ってオウム返しに相手と同じ言葉を言い続けたりという、いわゆる芝居の稽古の初歩みたいなことを、実際にいくつもやってみました。
 先生のスティーヴ曰く、これはロシアのスタニスラフスキーの演劇理論を学んだリー・ストラスバーグたちがアメリカに持ち込んだ、いわゆる「メソッド演技」の基本なんだとか。
 なんで、そんな稽古をしたかというと、俳優がどんなふうに考え、行動するかについて、俳優の立場になって考えてみよう、ということだったみたいです。
 スティーヴの言うには、
「俳優というのはその場での瞬間に反応して、なにかやってみせようと思うものだ。そういった、その場その場でのリアクションが、演技をリアルに見せるんだ。でも、全体のストーリーの流れとか心情の変化といったことを把握するのは、監督の役割であって、それを俳優に求めてはいけない」
 とのこと。つまり「ここでの@@は前の場面でこういうことがあったから、こんなふうに感じていて、だからこんなふうにリアクションするんだ」なんて演技指導は、しなくてもいい、というより、俳優に余計なことを考えさせてしまうから、その場ではしないほうがいいという考えみたいでした。
 また、いくつも違う稽古をしてみせたくれたのは、
「監督というのは、いくつも演出手法を持っていた方がいい。俳優によって、どういう手法だと応えてくれるかが全然違うからね。たとえば、わたしの知人にオリンピックの体操で金メダルを取ってから俳優に転身した女性がいるんだが、彼女の場合、まず身体の動かし方から入るべきだ。そうすれば、感情や芝居は自然とあとからついてくる」
 ということでした。また、
「とにかく、撮影現場というものはテンションが高いし、スタッフは皆緊張しているものだ。特に監督はテンションが上がっていて当然。でも、俳優たちには、リラックスしていてもらわないといけない。彼らに心地よく芝居に集中してもらえるように、気持ちをほぐすのも、監督の重要な仕事なんだよ」
 だそうで、そのためにも、演出手法はいくつも知っていたほうがいいと言ってました。

 そこで、スティーヴがいきなり言い出したことが「この仕事はすごく緊張を強いられるから、誰しもリラックスする手段が必要だ」という話。
「人によってはヨガだったり、ジョギングだったりする。また、薬やお酒になってしまう人もいる。わたし自身もたまに飲むから、一滴も飲むな、なんてことは言わないけど、酒は気をつけないと1杯が1瓶、さらには泥酔、そしてアル中へとつながっていきやすい。ましてや薬は論外。実際にそうやって自滅していった人は数え切れない。あまり誰もいってはくれないことだけど、きみたちも、どうやって緊張を発散するか、今から考えておきなさい」
 だそうで。いや~、緊張を食欲で発散させてたら、糖尿で入院しちゃいましたよ、わたしゃ。その話は4、5年ほど手遅れですだ。とほほ。

 そして、授業の後半は、いかにして俳優を選ぶか、ということで、「レジメの読み方」と「オーディションの開き方」についての講義を受けました。

 レジメ、つまり履歴書の読み方というのは、いかにレジメに書かれている情報を読み解くかということで、たとえば「所属している組合」にも有名どころで3つあって、それぞれ特色が違うとか、「出演歴」の項は、どれくたいの大きさの役だったのかに注意すること、そして、できればビデオやDVDで実際の映像をチェックしておくこと(スティーヴいわく「俳優は皆嘘をつくから」だそうで、貼ってある写真も絶対大なり小なり修正されてたり古かったりして本人と違うとか。(^_^;;)とか……。
 そこまで見ますか?!と思ったのは「学歴」欄。どういうあたりの学校の演劇学部が、いわゆる有名どころか、なんて話が実名入りでバンバン出てきただけじゃなくて、「アクティング・ティーチャーズ」と呼ばれる、個人指導の先生たちも、「俳優に対してものすごい影響力があるから、誰について演技を教わったかはすごく重要なんだ」という話を教わりました。中にはけっこうサイエントロジーな人もいて、役者によっては、その方法論がしっくり来るんで、そのままサイエントロジーにはまっちゃう人もいるんだとか。なるほど、それでトラボルタとかがはまってるのかー。日本だと、相撲取りが整体の人に影響されるとか、タレントがスタイリストに影響されるとか、そういう話に似てますな。

 オーディションの方法に行く前に、まず「募集基準」をきちんと書いておきなさいという話がありました。年齢とか性別とか、「どういうキャラが欲しいのか」はもちろん、簡単なシノプシスとかもつけて、相手に「この役を演じてみたい」と思わせるものをつけておくことが大事なんだとか。
 ただし、「事細かに注文をつけるだけじゃなくて、どれくらいの幅で探しているかを書いておいたほうがいい。たとえば年齢については、見た目と実年齢は違うだろう。特に子役についてはそうだから、あまり年齢を特定してもしかたないよ」だそうでした。
 ちなみに、そこでスティーヴに「わたしはいくつに見える?」って聞かれて、一人が「45くらい」とかいうから、「それじゃわたしと変わらないじゃん。55歳くらいでしょう」とかってつい言っちゃったら、「45歳だ」って答が!
 だって、あまりに見事にはげ上がってるし、白いヒゲも立派だからさー(ちょっとパトリック・スチュアート似)。すんませんだ、10歳も上だなんて言っちゃって。でも、貫禄がありすぎてとてもほぼ同い年(わたしゃ今年44歳)には見えないだあよ。(^_^;;

 さて、いよいよオーディションのやり方なんですが、まずは机と椅子の配置の仕方から、注意を受けてしまいました。
「どんなふうに机を置く?」と聞かれて、我々生徒はなんとなく、よく日本の就職時の面接であるみたいに、奥に監督たちの椅子を並べて、その正面に机を置き、その手前に俳優の椅子を置いて、対面に座るようにしたんですが、スティーヴに言わせるとこれがもう大まちがい。
 まず第一に、俳優用の椅子は置かなくてもいい(部屋の外で順番を待ってる人用に、外には椅子を並べておきなさい、と言われました)。一人のオーディションは約10分間で、そのあいだにセリフや表情だけじゃなく、動きも見なきゃいけないんだから、ずっと座ってもらっちゃうと、実は歩き方がイメージと違ったりするのがわからなかったりするから、だとか。
 そして次に、監督やプロデューサーが机のうしろにいては、ふんぞり返っているみたいに見えて、俳優に余計な緊張を強いるから良くないと言われました。特に我々学生のように無償で出てもらおうとしているときはもちろん、どういうときでも、俳優に妙なテンションを与えては良いオーディションができないとのこと。授業の最初で話があったように、監督の仕事は俳優をリラックスさせること、というのが、オーディションのときからすでに始まっているんだとか。
 でもってその秘訣は、相手が部屋に入ってきたら、こちらもすっと立ち上がって近づき、握手しやすいような位置に座っておくこと、だそうです。
 あと、テーブルや椅子を部屋の奥の方に置き過ぎちゃうのもマイナスだとか。なんでかっていうと、俳優が入ってくるのにも、出て行くのにも時間がかかっちゃうから。オーディションで一番気詰まりなのは、始める前と終わったあと(特にプロデューサーや監督にとっては、「ああ、この人はダメだ」と思ったとき、相手が出ていくまで時間がかかるとドッと疲れるよ、だそうで。(^_^;;)なんだから、その時間を縮めるには、ドアからそんなに遠くないところに机や椅子をセッティングしておくことが大事なんだとか。なるほどー。(^_^;;

 では、オーディションで何を見るのか。
 まず最初のオーディションでは、相手がどのくらい準備してきているのか、どういう印象の人なのか、どのくらい技術があるのかを、ざっと見ること。そのためには、数ページくらいのスクリプト(シナリオ)を部屋の前に置いておいて、待ってるあいだに読めるようにしておくこと(ちなみに、相手に合わせようとしすぎて、すぐ「あ、わかりました。じゃあ、こんな感じで」なんてやる、いわゆる「ご機嫌取り(プリーザー:pleaser)」な人は、実はこっちの話をきちんと聞いてないことが多いからだいたいダメだそうです)。そして、さらに絞り込んで2度目のオーディションで決めるんだけど、主役が二人の場合(男女の話とか、男同士のいわゆる相棒モノのときとか)は、良いと思った人たち同士を組み合わせて、たがいの相性が良いかどうかを確かめる「ケミストリー・テスト」という読み合わせもしたほうがいいこと。等々、具体的な話になったところで、今日は時間切れとなりました。次回は、スクリプトの読み合わせを実際にやってみるんだとか。
 隔週なのが惜しいくらい、わたしはこの授業がおもしろいっす。いわゆる撮影技術的な話じゃなくて、人間相手にどう対応するかって話なんで、こうやって学校に来てないとなかなか教われないことですし。

 てか、2本目の製作は、マジでオーディションやらないとなあ……。日本でアニメのオーディションに立ち会ったことは何回かあるけど、お客さんな感じで見てただけだったもんなあ。自分で俳優さんを選ぶとなると大変だすよ。うひー。(^_^;;

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2007年2月10日 (土)

スクリーニング

 木曜の午後は、問題の「製作1」。いよいよ今週から毎週木曜は生徒の撮った作品の鑑賞会(スクリーニング)が始まりました。

「クリット・シート(Crit Sheet)を用意しておくように」とかって言われて、何のことやらわからなかったんですけど、とりあえず学内書店の文具売り場で買ってみたら、何のことはない、ただのカーボン紙の束でした。
 映画を見たら、この用紙に感想を書いて、原紙は映画を作った生徒に、コピーの方は先生に渡す、というのがスクリーニングのルールだそうです。
 クリット(crit)は、批評・評論という意味の言葉であるクリティシズム(criticism)の略語だったんですね。

 というわけで、一本ずつ見終わったあと、数分でこの紙を書いて、そのあと10分ほど感想を互いに話し合うという、なんというか地獄のような時間なのでありました>スクリーニング。
 てか、まだ自作を目の前で評されてるほうがマシで、実作者の目の前でその作品についてああだこうだ言うなんて、けなすのはもちろんほめるにしても、あまりにもキツイんですけど。まあ、学生のうちからこういう経験をしておけば、叩かれ慣れるだろうから、実作者にとっては良い経験だと言えないことはないですが。なんせ、日本人はプロアマ共に、批評するのもされるのも慣れてない人が大多数ですからね。こういう授業が、健全な批評空間を作る基礎になるかもしれません。
 とか、頭ではわかってても、苦手なものは苦手だい。(^_^;;

 今回上映されたのは最初に製作の順番が回ってきた6人の映画。正直言って出来はバラバラで、きちんと映画としての結構が整っているものは2作だけ、残りのうち2作はちょっと説明が足りなくて、1本はかなり展開が唐突すぎ、そして最後の1作は意図的にわけがわからない印象映像を作ってきてました(絵はコレが一番きれいだったんですが)。
 いや、偉そうなこと書いてますが、自分で撮るとなると、いつもシナリオ書いてるようなわけにはいかなくて、理屈より絵を優先させて、とりあえず絵をつないでごまかそうとしているダメな自分がいたりもするし。あー、アマチュアの自主製作なんて大っ嫌いだー。

 さて、スクリーニングのあとは、先生のアンジェロが、前からずっと「見ろ、見ろ」と言っていたキューブリックの「突撃」のDVDを持ってきて、いくつかのシーンを見せてくれました。
 具体的には、軍法会議のシーンと、そのあと、カーク・ダグラス扮する主人公が冷酷で身勝手な将軍相手に怒りを爆発させるシーンの2つで、最初のシーンでは、白黒映画の特色を生かして、影の濃淡でキャラクターの立場を暗示している(権威者は完全なシルエットに、悪役は日陰に、善人は明かりの下に、そして、そのあいだに挟まれて困っている主人公は灰色に映るように)照明のすばらしさについて、次のシーンではキャラクターの心情と立場を代弁するかのようなクローズアップとカメラのパン移動について、熱弁してくれました。いやあ、勉強になるなあ。

 ちゅうわけで、いよいよ来週の「製作1」は火曜がバガボンド・プロジェクトのリハーサル、木曜がスクリーニング第2弾。ああ、再来週は自分の順番が回ってきちゃいますよ。まだ、編集どころか撮り終わってもないのに。憂鬱だなあ……。

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アカデミック・アドバイザーとのミーティング

 実は今日(金曜)は「脚本・基礎」の先生が家庭の事情で休講になってしまったので、朝から血糊作ったり撮影したりしているわけです。宿題とかは面倒だけど、業界内幕話は滅法おもしろいんで、休講はちょっと残念なのでした。

 さて、昨日(木曜)はまず朝からアカデミック・アドバイザーの人と個人面談。
 と言っても、たいした話はしなくて、要は将来映画の方に行くかテレビの方に行くかで、2年次からの科目選択が変わるから、今から考えといてね、という話をチャートつきで説明してもらっただけでした。
 なるほど、卒業するには、卒業製作として、
(1)短編映画を撮る。
(2)1時間のテレビドラマを撮る。
(3)長編映画のシナリオを書く。
 の3つのパターンがあるわけですか。
 うーん、どれが一番良いのかなあ。自分にとって楽なのはどう考えても(3)なんですけど。いくら英語だからって、1ヶ月もありゃあ、出来はともあれ、書くだけは書けちゃうはず。って、それじゃあ、せっかく留学した甲斐ってものがないですな。
 将来的には(まあ、どう考えても遠い夢でしかないですが)、アメリカのテレビドラマのショウ・ランナー(クリエイター兼プロデューサー兼メインライター兼たまに演出)ってのになってみたいなあ、と憧れてはいますが、だからって2年3年とスタジオにこもってテレビ製作実習ってのもなんだかなあ。やっぱ、せっかくなんだからロケに出て映画撮りたいですよねえ。
 ……とか書いてる場合じゃないんですけどねっ。なんせ、目の前の「製作1」を落としそうで頭が痛いんで。
 という話をアドバイザーの人に言ったら、
「まあ、大変だからねえ、「製作1」は。けっこうドロップアウトするもんなあ。……ぼくがこんなことを言っちゃ立場的にまずいんだけど、あんまり気にすることないよ。何年か前にドロップアウトした学生で、今、テレビのリアリティ・ショーの売れっ子プロデューサーになってばりばり儲けてる人もいるから。彼も「製作1」落として大学からドロップ・アウトしちゃったんだけど、すぐ自分で会社作って成功したんだよね」
 というお答をいただきました。いや、慰めになってませんから、それ。(-_-;;

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惨劇のバスルーム(笑)

「惨劇のバルスーム」だと《火星シリーズ》になっちゃうわけですが、そんなことはともかく、要は短篇映画撮影のために血糊を作ってみたのでした。(^_^;;
 思ったような色にならなくてけっこう試行錯誤しましたが、最終的にはどろーっとした感じもそこそこ出て良い感じに風呂場に血だまり(と血しぶき)を作ることができました。うけけけけっ(壊)。
 で、まあ、さっそく役者さんのいらないカットをさっさと撮っちゃって、明日朝から役者の登場するカットを数カット撮ってしまえば、あとはもう編集するだけ。ええ、もう、とにかく早撮り命で、さっさと終わらせたいと思ってます>「製作1」の実習。

Dscf1246

Dscf1248

Dscf1250

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2007年2月 9日 (金)

編集の仕事

 火曜の夜は「映画製作のコンセプト」。
 今週は、「編集について、その1」(その2もあるらしいです)ということで、エディターのノーマン・ホリン(Norman Hollyn)さんのお話を聞きました。
 imdbのデータからもけっこう幅広く映像編集の仕事をされていることがうかがえますが、本人いわく「大予算の劇場映画からインデペンデント系の小品、MTVやCMにいたるまで、ありとあらゆる種類の映像を編集してきた」とのこと。そのうえで、「編集という、かなり直感的な作業について人に教えることはとても難しい。それでも、わたしはこの学校で『編集を通してストーリーテリングを形作る(shaping)とはどういうことか?』を伝えたいと考えている」んだそうです。
 どのへんが直感的かというと、「わたしは脚本を読んだだけで、そのリズムを感じ取ることができると思って」いて、そのリズムを一番うまく伝えられるように、編集を繰り返すことが重要で、「編集とは再編集するということだ(editing is re-editing.)」とも言っていました。
「シナリオを書くということは、シナリオを書き直すということである」と書いている人もいますし、小説にもあてはまるような気もするし、けっこう深いし、聞けばなるほどとは思うけど、なかなかに実践し難い言葉ではあります。

 さて講義の方は、まずは映像理論の基本から。
 人間は、色、大きさ、動きといった「違うもの」に注目するし、前後の絵と合わせて、見ている映像の内容を勝手に解釈してしまう。だから、モンタージュ(複数のカットを組み合わせて上映する事によって新しい意味を生み出す技法のこと)は有効なのだ。……って、おお、わたしは今「モンタージュ理論」の講義を生で受けているよ! さすが映画学部! と、いきなり変なところで感動してしまいました。(^_^;;
 ノーマンの言うには、物語の中で鍵となるビート(key beat)を見つけ出し、このモンタージュの効果を最大限に使って、そのビートから物語が前に向かって動き出す瞬間(リーン・フォワード・モーメント:lean forward moment)を作り出すことが、編集の仕事なんだということでした。

 というわけで、サンプルとしてまず見せてくれたのが、言わずとしれた「戦艦ポチョムキン」の階段落ち、じゃない、オデッサの階段のシーン。実はテレビ画面じゃなくてそれなりに大きなスクリーンで見たのは初めてなんですが、こうやって改めて見ると、芝居はひどいですよね。だからこそ、よけいにモンタージュの効果がうかがいしれるようになっているわけですが。(^_^;;
 というような、映画ファンとしては何を今さらなことを思いつつ、わたしは富野由悠季監督が著書で繰り返し書いてきた「“映画はモンタージュで見せるしかない”という覚悟」(この言い方は『映像の原則』の中でのもの)というのが、どういうことなのか、今まで以上に理解できてきたような気もしました。

 そして、次にサンプルとして見せてくれたのは、傑作テレビドラマ「ホミサイド/殺人捜査課」(数多あるテレビの警察ドラマの中でも、現時点での最高峰作品だとわたしは考えています)の、ヴィンセント・ドノフリオがゲストで出た回。
 モンタージュの効果によって、ラストシーンで一人だけ突っ立っているペンブルトン刑事の呆然としたありさまがドラマチックに見えている様子を解説しつつ、「「ポチョムキン」と「ホミサイド」のあいだには100年近い時間が経っているけれど、モンタージュの基本はほとんど同じ」であると言っていました。ただし「「ホミサイド」はリアルな日常感を強調するため、わざと映像の原則をいくつも破っている。特に今のシーンでは、いわゆるイマジナリー・ラインをわざとカメラが横切りまくっているけど、君らは今は真似しないように」と釘を刺しているところでまた笑ってしまいました(ちなみに、イマジナリー・ラインについては、先にあげた富野監督の『映像の原則』で詳しく解説されています)。

 古典映画、最新のTVドラマに続いて見せてくれたのがMTV。ジャミロクワイの(Don't) Give Hate A ChanceのCGアニメーションでした。ここでも、「編集の基本は実は劇映画と同じ。サビのタイミングに合わせて画像がコントロールされている」とのこと。

 ここでちょっと話が脱線。
「編集するときはいつも、最初の1割はとても楽。問題は次の1割で、ここでカットする場面を選ぶのが一番大変。それさえ乗り越えたら、あとは一気にストーリーに合わせてやってしまえる」
 とか、
「監督だけが気に入っている、意味のないどうでもいい場面をカットするのも、編集の仕事。ここだけの話だけどね」
 とか、実例をあげながら話してくれたのが、非常におもしろかったのですが、どう考えても詳細は「ここだけの話」のような気がするので割愛します(笑)。

 そしてさらに、「プライベート・ライアン」の息子たちが戦死したことが母親に告げられるセリフのない静かなシーンを見せつつ、「スピルバーグについてはいろいろ言う人もいるけど、彼くらい場面の作り方を心得ている監督はいない」と、このシーンでの演出を絶賛。

 そのあとは「カッティング・エッジ」というドキュメンタリー番組で、ジョディ・フォスターが自分が監督した作品の編集について、エディターと交互に語っている場面を見せられ、監督とエディターの関係には常にある種の政治的な駆け引きが行われている現実を指摘しつつ、物語を語ること(演出)と物語を形作ること(編集)は別の作業なのだということを強調していました。

 最後に見せられたのは、アクション・シーンの編集ということで、「ターミネーター2」の枯れた川でのバイクとトラックのチェイスシーン。久々に見て「やっぱ良いなあ」とか思ってたんですが、実は見たことのない同級生がけっこういて大ショック。いや、「ポチョムキン」見てないのはわかるし、「ホミサイド」見てないのもテレビ好きじゃないからかもしれないから許そう。でも「ターミネーター2」?! と思ってから「ああ、あれってもう15年以上前の作品だったっけ」と公開年を思い出し、「彼らのほとんどは当時まだ小学生……、そりゃ見てないかもね」と、一人がっくりきたのでありました。とほほ。時の経つのは早いねえ。(^_^;;

 さて、そんなわけで、講義は終わったのですが、編集の講義はもう1回来月あたりにあるそうで、それまでに宿題を出されてしまいました。
 その場で渡された短いシナリオの抜粋3本を読んで、その中に含まれているリーン・フォワード・モーメント(ちなみにこの言葉はノーマンの造語だとか)を見つけ出しておくこと、だそうです。
 渡されたのは、「イングリッシュ・ペイシェント」、「ヘザーズ」、「アメリカン・ビューティ」のそれぞれ一場面。また、動きの少ない会話劇ばかりとは、けっこう意地悪な。(^_^;;

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2007年2月 8日 (木)

バガボンド・プロジェクト:ロケ現場下見

Dscf1220 火曜の「製作1」はいよいよバガボンド・プロジェクト(実際にモーテルの一室を借りて、そこで映画の1シーンを再現して撮影してみるという実習)の下見に、ゼメキス・センターの隣にあるモーテル、バガボンド・インに行ってきました。ここでやるから「バガボンド・プロジェクト」なのか。いつも横を通ってるのに、今日まで気がつきませんでしたよ。おまぬけ……。

 っと、その前にまずはいつもの教室で、今日は音の録音について。いわゆる「同録」ってやつをするときの注意点を、音響技師のダグラスさんという方が来て実演しながら説明してくれ、我々も実際にブーム(よく撮影現場なんかで見る、先にマイクがついてる長い棒です)を持って録音してみるという演習をしました。
 ブームは振り回すんじゃなくて、棒を回転させてマイクの先だけ話者の方に向ける、とか、話者が二人いて片方は座って片方は立ってたりしてマイクからの距離が変わっちゃうときだけ、ブームを動かして、マイクと話者との距離を均等に保つ、とか、いろいろと私のような初心者には目から鱗のような(でも、聞いてみたらなるほどと思わず納得する)話の連続でした。
 あと、実演としてわかりやすくていいなあ、と思ったのは、ブームの先にマイクじゃなくて懐中電灯を取りつけ、部屋の明かりを落として、懐中電灯の明かりで、指向性マイクの音の拾い方を視覚化して見せてくれたことでしょうか。ああやって見せられると、納得度が違います。

 さて、授業後半は最初に書いたように、ロケ現場の下見。なんせ、モーテルの一室なんで、狭い狭い。こりゃカメラもマイクも立ち位置が大変だあ。とか言ってるうちにあっというまに時間が来ちゃいましたよ。来週のリハーサルはサクサクっと進むといいねえ。(^_^;;

Dscf1222

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2007年2月 7日 (水)

「ヒーローズ」のヒロを間近で見る

 月曜の午後は、保険屋さんと連絡が取れて、自動車保険の契約に行ってきました。やれやれ、これで一安心。

Dscf1217 そしてそのあと、夜は、学内にあるノリス・シアターで開かれた特別公開講義、「TVドラマ「ヒーローズ(Heroes)」のクリエイターたちとの夕べ」を見に行ってきました。
 前にも何度か書いているように、「ヒーローズ」は去年の秋からアメリカのTVネットワークNBCで放送が始まった新番組で、突如、超能力に目覚めた普通の人々が、来るべき災厄を回避すべく立ち上がるという、まさにアメリカン・コミックスの世界をリアルに実写化したようなテレビドラマです。
 この1月からは裏番組にあの「24」がきてしまったのですが、それでもいまだに健闘していて、すでにカルトなファンも現れ、SFやコミックスが好きなおたくな人だけでなく、一般にも人気が広がってきているということで、こちらのTVガイド誌でも大きく取り上げられたりしています。

 さて、この日、USCにやってきたのは、クリエイター(企画・原案・原作者)でエグゼクティブ・プロデューサー兼ライターのティム・クリング(Tim Kring)、副エグゼクティブ・プロデューサー兼ライターのジェフ・ローブ(Jeph Loeb)とジェッシー・アレキザンダー(Jesse Alexander)、演出のアラン・アークシュ(Allan Arkush)とグレッグ・ビーマン(Greg Beeman)、そして、ギリギリになって参加が決まった、時間と空間を操れるおたくな日本人青年ヒロ・ナカムラ役で、全米で人気急上昇中のマシ・オカ(Masi Oka)の6人という、超豪華メンバー。

 まず、ピクサーのCG映画「Mr.インクレディブル」の冒頭がいきなり上映され、何事かと思ったんですが、なんと、クリエイターのティム・クリングは、この映画にものすごく大きな影響を受けて「ヒーローズ」の企画を考え出したんだとか。
 ものすごーく「X-メン」ぽいとかって思ってたんですが、そうじゃなくて「ファンタスティック・フォー」だったのか(違)。

 そのあと、「ヒーローズ」のオリジン話にあたる第10話「6ヶ月前」(6ヶ月前にタイムスリップしたヒロが、胸に漢字で「場違い」と入ってるシャツに着替えて出てきたときは、爆笑してしまいました)が上映され、それに続いて、その晩、テレビでも放映されていたはずの最新エピソードである第14話が上映されました。
 第14話は、ついに悪の超能力者の魔の手が美少女に迫るわ、その少女の父親のあっと驚く素性がわかるわ、ヒロはお父さん(演じるは、「宇宙大作戦」のミスター・カトーことジョージ・タケイ!)と対面して、実は大会社の社長の息子だということがわかるわ、まあ、実にてんこ盛りで楽しめました。

 上映が終わってようやくゲストたちが登場、さっそく質疑応答がはじまりました。
 先にも書いたとおり、ティム・クリングは、自分がいかに「Mr.インクレディブル」に影響を受けたかについて語っていました。
 一方、テレビの脚本家としてだけでなく、アメコミのライターとしてもベテランのジェフ・ローブは、「ヒーローズ」が人気を得た理由を以下のように語ってました。
「それは、スーパーヒーローたちが活躍するコミックスというものが、真にアメリカ的な物語であり、アートフォームなんだからだよ。普通の人々が、ふとしたことからヒーローになる。それは、アメリカ人なら誰もが理解でき、エンジョイできる物語なんだ」
 さすが、ベテラン。かっこいい!

 各キャラが操る超能力はどうやって決めたのかと聞かれると、クリングは、
「キャラクターの性格や人生についての設定を先に決めてから、その人の欲求に一番合った能力を与えていったんだ。たとえば、ヒロはスケジュールに縛られ、会社に座っている人生に退屈している。だから彼には時間と空間を操る能力を与えたんだ。一方、ニキはシングルマザーで誰にも頼れず子供を育てていて、力を求めている。だから、怪力を与えたんだよ」
 と答えて、ドラマの展開やキャラの性格と、SF的な設定とを密接に関連させていることを明かしていました。
 監督のアラン・アークシュとグレッグ・ビーマンは、
「この作品は、多くの登場人物が別々の場所でそれぞれの物語を展開させていくようになっているから、演出する側にとってはとても難しいしチャレンジングだ」
「各キャラクターごとに、場面のスタイルを変えて撮っているんで、本当に大変」
 と、楽しそうに語っていました。
 また、シナリオについてジェッシー・アレキザンダーは、
「1話あたり、一人のキャラのドラマは4ビート(出ましたよ、またこの「ビート」って言葉が!)と決めてあるし、ライターごとに持ちキャラを決めたりして分業システムがしっかりしているから、「LOST」や「エイリアス」みたいに遅れが生じたりしなくて良いようになってるのがいいね」
 と、自分の前の仕事(この人、その2本のスタッフでもあるのです)の愚痴混じりに、「ヒーローズ」のシナリオ会議の体制がしっかりしている点をほめていました。

 他にもおもしろい話として覚えているのは、
「クリフハンガー(毎回、ラストシーンで次回に続くネタ(たいていは大ピンチ)で終わること)は、引き(フック)の連続だから、作っていても楽しいし、ファンも喜んでくれるけど、新しい視聴者を途中から取り込むのが難しいから、工夫が必要」
「第1話の初稿ではテロリストが出てきてたんだけど、最初この番組は局側から夜8時台の放送枠を想定されてたんで、ダメだって言われて消しちゃったんだ。夜8時のテレビでテロリストが出てくるのはいけないらしいよ(実際には夜9時台になって、裏に対テロリストものの「24」がきちゃいました)」
「(アメリカの)テレビの世界には、視聴率スイープ週間というのがあって、年に3回、11月、2月、5月のとある週の視聴率を見て、番組を継続するか打ち切るか決めるんだ。だから、その時期の話数(エピソード)はスイープ・ショウといって、特別にお金をかけたり派手な展開にしたりするんだ。でも、「ヒーローズ」は、そこよりもクリスマス休暇の前の週とか、「24」第6シーズンの1話目とぶつかった1月3週とかに、わざと派手な話をぶつけてみたりしてるんだけどね」
 とかでしょうか。

 あと、学生からの「どうすれば、ぼくらもプロになれますか」みたいな質問に答えて、ビーマンが、
「辞めないこと(Don't quit!)。今から言っておくけど、きっとたくさん失敗するよ。でも、気にしなきゃいいんだよ。ぼくらもたくさん失敗してきたんだから」
 と答え、ローブが、
「人間関係が一番大事。たとえば、ぼくはこの仕事の前に「LOST」でジェッシーと仕事をしていたんで、彼が「スーパーヒーローものなら」ってぼくを呼んでくれたんだ。そうやって、この世界はまわってるんだよ」
 と答えていたのが、ちょうど朝に受けたキャリア・ミーティングと重なって、すごく印象的でした。

 いやまあ、自分の日本での経験から言っても、「まさにその通り」だし。問題は、アメリカでコネを作るのはなかなか骨が折れそうだってことですが。ま、そのために留学したってのもあるんですけど。日本じゃ、大学時代から10数年かけていつのまにかできてたコネが30過ぎてから効いてきたんだけど、さすがに、もはやそんなにのんびりとやってられる歳じゃないしなあ。

 それにしても、ビデオの上映も含めて3時間半。大変堪能しました。いやあ、ほんとにおもしろいなあ、この学校。

Dscf1218 写真は質問に答えるゲストたち。フラッシュ炊かなかったし、後ろから望遠で撮ったんでいまいち不鮮明ですんません。
 左から、ティム・クリング、マシ・オカ、ジェフ・ローブ、ジェッシー・アレキザンダー、グレッグ・ビーマンです。

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キャリア・ミーティング

Dscf1193 あー、またも月、火と盛りだくさんだったんで、とりあえず、今回は一つずつ。

 まず月曜の午前中は、隔月でやっているというグループ・キャリア・ミーティングに行ってきました。
 要は「就職相談」なんですけど、来てた人は少なくて、学部生と院生を合わせて10人ほど。学年も学科もバラバラで、けっこう皆興味がないのかなあ、とか思ってしまいました。

 アドバイザーの人が、レジメの書き方とか、過去の事例とかをプリントした資料を配付してくれてから、基本的な事項について説明してくれたんですが、入学してから繰り返し聞かされていた話をまた聞いたというか、そんなに繰り返し言わないといけないくらい、学生は聞いてくれてないのかねえ、とか思いました。
 つまり、「この業界、コネが一番大事なんだから、学校にいるあいだにネットワーク作りに励みなさい」ということでした。
 曰く、
「うちの学部の先生たちは全員プロとして業界で働いた経験とコネがあるんだから、きちんと仲良くして覚えてもらうこと。学生同士も学科を越えて、特に他の学科の生徒はプロデューサー科の生徒と知り合っておきなさい。そして、何よりも、学外でインターンシップの経験を積んで、業界内に知り合いを作るのが大事です」
 だそうでした。
 この先生、自分も学生時代は授業に集中しちゃっていて、そういうことがおろそかだったんだけど、今になって振り返ってみれば、学生時代にもっといろんなところへ行って、いろんな人と知り合っておけば良かったとよく思う、ということでした。
 まあねえ。私も日本じゃコネ以外で仕事したことなんて、全然ないっすから、言ってることはよくわかるんですが、アメリカじゃSFファンダムコネとかは使えませんかそうですか。

 他にもいろいろ、実に真実味のある話をたくさんしていて、たとえば、
「自分の映画が作れるようになるまで、何年かかるか個人差もあって全然わからないけど、それでも全然大丈夫。要はあきらめないこと。そして、とにかくロサンゼルスにとどまって、何か仕事をしながら、業界に居残ること」
 とか、
「仕事に就いたらプロに徹してきちんと下働きを勤め上げること。焦らなくても、見てる人は見てる。ただし、この現場はダメだと思ったら、プロらしく礼儀正しく、でも、さっさと辞めてしまうこと。ムリにつきあっても何も良いことはない」
 とか、
「影の薄い人にはならないように。この業界、才能もないのに人づきあいの良さだけで出世する人も確かにいる。そんな人たちに負けちゃダメです。ただし、お調子者やお追従言いにはなるな。自分のスタイルを見つけなさい」
 とか、なかなか他の職種の就職相談じゃ誰も言わないような話がゴロゴロ出てきて、わたしはとてもおもしろかったんですが、学部生の中には不満そうに、
「こうすれば仕事に就ける、というような、確実な指導とかはないんですか?」
 と聞く人もいて、あっさり、
「USCの学生だというのはすごく有利なことだけど、だからといって確実に仕事に就けるなんて保証はどこにもない。アドバンテージを得たんだから、それをどこまで有効に使えるかは、自分次第」
 と切りかえされてしまっておりました。

Dscf1195 で、わたしも、
「留学生は就労ビザをもらえないと帰国せざるを得なくなるんで、そうやってチャンスをうかがったりはしてられないですよね」
 と聞いたところ、
「その通り。留学生の状況は厳しい。インターンシップに出来るだけ早く行って、どこかの会社にきちんと就職できるチャンスを一所懸命探すべきでしょう」
 と、言われました。
 やっぱ、この夏からインターンシップの口を探すのが一番ってことですかねえ。
 3年後、卒業したのはいいものの、結局ビザが切れて日本に帰るしかなくなるなんてことだけは、避けたいものです。
 まあ、1回の滞在が3ヶ月以内で、行ったり来たりしながら仕事ができるようであれば、それでもかまわないわけですが、さて、そううまい具合にいきますかどうか……。

 ともあれ、この日のミーティングの結論は、一にも二にもとにかく人と会え。そして、知り合った人とは連絡を絶やすな(keep in touch)ってことに尽きるみたいでした。
 もうちょっと細かい相談は、個別に面談してくれるそうなので、予約を入れて連絡を待てとのことでした。なんか、もうちょっと具体的な話をしてくれると良いんですが。

 さて、写真は、そんな話とは全く関係なく、学内で今行われている生徒会の選挙戦ポスター。なんか、妙に本格的なのが逆に笑いを誘います。中学や高校じゃあるまいし、って思っちゃうわたしはやっぱり日本人。(^_^;;

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2007年2月 6日 (火)

新聞熟読中

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 先週の「映画製作の基礎」で出た「新聞から映像化のネタを3つ探せ」という宿題をするため、朝から大学横のスタバでLAタイムズとNYタイムズを買って、コーヒーすすりながら読んでます。
 でも、映画化できそうなネタより、NYタイムズのビジネス欄のトップに載ってた、スピルバーグとパラマウントの不仲話のほうが気になったりして。とうとう、カッツェンバーグはドリームワークスから抜けちゃったしねえ。これからさらにもう一波乱くらいあるんでしょうかね?

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2007年2月 5日 (月)

行方不明中……

……というフライヤー(ビラ)を作られてしまいました(笑)。

Dscf1184


 いや、向かいの寮に住んでいる同級生の短篇で、急遽役者の代役が必要になったというので、立ってるだけでいいんならと、昨日手伝いに行ったら、その場で写真を撮られてこんな小道具を作られてしまったのです。
 肝心の映画の方は、男同士で手をつないで笑いながら道を歩いているところ(どうやら、ゲイという設定らしい)を撮っただけでした。って、どーゆー話なんだ、これ?!
「完成したらコピーをあげる」と言われているのですが、見るのが恐いような気も……。(^_^;;
 てか、どうせなら完全に役名を作ってくれればいいのに、「ルパート・サカイ」って誰よ??(-_-;;

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2007年2月 3日 (土)

映画のビートとか三幕構造とか

 木曜日の「製作1」は、まず授業の30分前に先生のアンジェロのところへいって、製作しようとしている短篇(1本目)のストーリー・カンファレンス。まあ、ネタの打ち合わせですな。
 いや、他の人たちは知りませんが、わたしはネタ出しで悩んだりはしないんで、アンジェロも「おもしろいんじゃないかい。でも、オチをもう一ひねりしてもいいかもしれんよ。まあ、簡単にしたいのもわかるから、そこは好きにしなさい。楽しんで」とかって5分で話は済んでしまったのですが、問題は、それを撮るにはどうしたらいいか、さっぱりわかってないってところにあるわけでして。(-_-;;

 わたしはとにかく1本目の撮影はシンプルにとっとと済ませたいと思っているので、ほぼ全編真っ黒な画面で音だけ聞かせてから、1シーン3カットだけ見せてタイトル出してフェイドアウト、以上全編90秒、とか考えているのですが、それだけでも、いったいどうやって準備をしたらいいのか、さっぱりわかりません。
 基本的に、別に誰かに全部教えてもらわなくてもかまいませんが、一から十まできちんと覚えて準備をしてからじゃないと新しいことをするのは苦手なたちなので、こういういかにもアメリカ式の「とりあえず水の中に放り込んで泳ぎを覚えさせる」やり方は正直しんどいっす。要はどんなときでも(詰まったら、すぐに誰かに相談するということも含めて)自己解決する癖をつけろってことなんでしょうけど、なかなか馴染みませんわ、こればっかりは。てか、質問するにも、具体的に何を聞いていいのかからわかってないのだー(泣)。
 ほんとに来週末、ちゃんと撮影できるんかなあ?

 さて、授業は火曜日の続き。
 といっても、今回は先生のアンジェロとキャロルが二人ともそろってて、まずはアンジェロが何本か過去の「製作1」の作品を見せてくれました。
 1本はもろサム・ライミの「死霊のえじき」のパクリ(悪霊視点のカメラが森の中を猛スピードで突進するだけのアレ)、もう一本は親子もののドラマを作ろうとして説明が足りなくて意味がイマイチわかんなくなってるもの。そして最後に、公園で遊ぶ子供たちをひたすら撮った白黒のドキュメンタリー。
 で、アンジェロ曰く「この授業はあくまで実験でありワークショップなんだから、とにかく何か撮ってつないで、失敗しなさい」だそうで。
 いや、だからねー。(役者のオーディションだとか、ロケ地の許可取りだとか、他の同期生たちがいそいそとやってることを全部パスして、寮のまわりで役者使わずに撮るつもりなんですが、それでも)何か撮る前にしなきゃいけないこと(撮影計画とか)が多すぎて何からどんな風に手をつけたらいいんだか、皆目検討もつかないんですけど……。

 授業の方はさらに細かく「マイ・レフトフット」の1シーンの解析。編集によって、実時間で進行させてるところと、経過時間を飛ばしちゃってるところがあって、それによって重要な場面を印象づけてるとか、登場人物の視線が観客の視点を左右するから、それを意図した構図が随所に盛り込まれているとか、頭ではわかっていても、ああやって実例を目の前で見せてもらいながら解説されると、ものすごく説得力があります。
 で、スティーヴの講義でも出てきたビート(BEAT)がここでも出てきました。ある1シーンの中でも主人公の目的は刻一刻と変わるもので、ハリウッドではそれを「ビートの変化」と言っていて、芝居の転換点かつ演出上の重要なポイントだから、シナリオを読みながら常に場面ごとにビートの変化をチェックしていって、自分なりの演出プランを練ることが大事なんだそうです。なるほど、こっちじゃそうやって芝居つけるのが基本なのね。

 そして、簡単な設問(「マイ・レフトフット」の主人公がこの場面で相対するコンフリクトの変化について答えなさい、とか、主人公の最終的な目的はなんですか、とか、各ビートごとの主人公の目的(欲求)とそのために彼が具体的に取った行動を書きなさい、とか)に答える小テスト(ポップ・クイズとか言うんでしたっけ、こっちじゃ)が出されて、あっというまに採点されました。一応、「OK」とか「good」とかって書かれて返ってきましたけど、どうも全員そうだったみたいです。まあ、あれだけ懇切丁寧に説明されて間違う人は最初からこのクラスには来てないような気も……。(^_^;;

 そのあとは、前回も書いた「バガボンド・プロジェクト」の班割りと役割分担発表。「なんでもします」と前回返事したら、「音響兼プロダクションデザイン」にされてしまいました。てか、わりといつもクラス内でおとなしい人がプロデューサーや監督に指名されてるあたりに、なんとなく意図的なものを感じたりもするのですが、まあ、いいや。
 うちの班のPDは、前回の実習でも「サカイが監督なんだから彼の話を聞け」、「もっとテキパキやろう!」と周囲を叱咤激励していた元アーミーのショーンくん。さっそく、そのあとの打ち合わせでも、雑談に流れがちな皆をたしなめつつ、サクサク進めようとしていました。わたしなんかは体育会系なんで、ショーンくんのこういうところは大変喜ばしいのですが、監督のリーアとうまくやってねー。頼むよー。
 撮影に4時間くらいしか使えないらしいから、まずは渡された脚本を適当につまんで、カットを少なくするところからがんばっていただきたい>PDと監督。

 ちゅうわけで、次回(来週の火曜)は、皆で撮影に使うモーテルまで行って、実際の場所をチェックしながら撮影計画作り、次の火曜にリハーサル、さらに次の火曜が撮影本番というスケジュールだそうです。個人プロジェクトもこれくらいのんびりやらせてくれればいいのに。(>_<)
 アンジェロからは、モーテル内の撮影がすばらしい映画3本が指定されて、なるべく早めに全員見ておくようにと言われました。
 その3本というのが、今回の課題でもある「グッドウィル・ハンティング」、「リービング・ラスベガス」、「セルマ&ルイーズ」って、どれもイマイチ苦手な映画ばっかなんですけど。(^_^;;
 ちなみに、これから木曜はずっと個人プロジェクトで撮った作品の上映会(スクリーニング)だとか。ああ、今からもう胃が痛い。

 さて、今日(金曜)はまず朝から、前回の「製作1」のクラスにも教えにきてくれたミッジによるAVIDを使った音響編集の実習……だったのですが、あいかわらず早口だわ、手元の操作は見えないわで、何がなにやらさっぱりわからず、こっちに来て初めて授業中に居眠りしそうになって、ヤバっと思ったら、隣に座っていた同期生のアランくんも寝ちゃってて、こりゃAVID経験者以外は全員ダウンなのかー、と笑ってしまいました。未経験者のための実習なのに、あからさまな経験者が細かい技術的な質問してただけだったもんなー。あー、作業手順を書いたプリントはもらったので、なんとか独習したいと思います。(^_^;;

 でもって昼からは「脚本・基礎」。
 先日の宿題提出(「もっとも嘘つきな知人」について書け)と次回の宿題(「もっとも野心的な知人」について書け)が出た(特徴のあるキャラを書けるようになる練習らしい)以外は、前回見ておくように言われた映画「ビッグ」を題材にして、基本的な映画の物語構造についての講義がありました。
 アメリカ製のハウツー本読むと必ず出てくる「三幕構成」っていうアレです。
 一幕目が問題のセッティング、二幕目が問題解決のプロセス、三幕目が最後のコンフリクトとひねりの入った結末、ってわけで、まあ、だいたいほとんどの物語はこういう構造でできてますよー、という話。
 シナリオ書いたこともない人に限って、こういう定式化をバカにしがちなものですが、何事も基本あっての物種というか、よく言われるようにピカソだって最初はリアルな絵から始めたわけで、基本を一通りわかっていて破格なことをするのと、何が基本かわからずにひたすら破格を追い求めるのとは全然違いますよね。
 授業が終わってから、つい冗談で笑いながら「じゃあ「メメント」は?」って聞いたら、スコットは、
「ぼくは、アレは最初は普通に三幕構成で書いてから、わざとシャッフルしていったんだと思うよ。最近、ああいう破格なシナリオが当たってるよね。テレビの「LOST」とかもそうだけど、どれもイノベイティブ(革新的)だけど、実は本当に「新しい」わけじゃないよね」
 と、笑っておりました。
 おお、さすがテレビでシットコムを20年書いてきた人間は言うことになんとなく重みがあるなあ。(^_^)
 も一つ、おもしろいなあ、と思ったのは、この授業でも他の人の授業同様、「ビート」という言葉を先生のスコットが使っていたこと。こっちじゃ思いっきり重要な「概念」であり「用語」のようです>ビート。
 ついでにいうと、授業の最後に、スコットが作った「ビッグ」のストーリー展開の細かい解析表をもらったんですが、これがなんか見覚えあるなあと思ったら、野田昌宏さんが考案して自著の『スペース・オペラの書き方』で紹介している、小説の解析表「右往左往シート」に酷似していたのです。野田さんの創作作法は、ハリウッドの基本と同じだったんですよ!!
 で、次回は「主人公、ライバル、主人公の目的とコンフリクト、そして解決についての映画的な描き方について講義するから、「ベイブ」を見ときなさい」だそうで。えー、ブタの映画っすかあ?(^_^;;

 というわけで、今週もあっというまに終わってしまいました。なんかもう、この日記書いてるか、原稿書いてるか、大学行ってるかなんで、なかなか遊んでる暇がありません。
 とはいえ、なんとか同期生たちと仲よくなって、いざというときに助けてもらわねば、ということで、いろいろ手を打ち出したりもしています。
 昨日は、同期生全員宛に「アテにしてた役者にドタキャンされちゃって、土曜の撮影がピンチなの! 男同士で手をつないで道を歩くだけなんで、誰か助けて!」というメイルが道路の向かいの寮に住んでる同期生の女の子から来てたんで、一番近くに住んでるくせにさすがに無視するわけにもいかず、「うちのルームメイト連れて行くよ」と返事をしておきました。貸し1個獲得!
 でもって、今日は夜になってから、学部の映写室を借りて皆で映画を見る会をやろうと言い出した同期生がいたんで、どんな様子か終わり頃に見に行ってきました。映画自体は見たことがあるもの(「インファナル・アフェア」)だったんで、とりあえずパスしちゃったのです。
 もっとも、行ってみたら、7人しかいなくてたいへん寂しい感じでしたけど。うーん、企画者のデニスくんは「毎週やる!」と言ってたけど、どうなるかなーー?(^_^;;
 いや、わたしゃ当分つきあおうと思ってますけど。どっかのクラブでパーティとかより、全然わたし向きな企画なんで。

 今日の写真は、夜の学部棟前の風景です。
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2007年2月 2日 (金)

監督術/音響効果/Hikeaway/ドキュメンタリー

 うう、例によって火曜日は盛りだくさんでたいへんでした。今回も授業の備忘録、というか、復習代わりなんで長いよ!(^_^;;

 まずはゼメキスセンターで「製作1」の授業。
 今回の前半は、3人いる担任の一人、キャロル・ホッジさんから、監督や作劇の基礎についての講義がありました。
 キャロルはインデペンデント系のプロデューサーで、Creative Filmmaking from the Inside Out: Five Keys to the Art of Making Inspired Movies and Televisionという教科書の著者でもあります。
 最初は、何本か以前の学生が同じ授業で作った短篇を上映してから、これから短篇を撮る我々に諸注意が与えられました。
 いわく、
「何よりも重要なのはスケジュール管理。そのためには、事前の入念な計画が必要」
 ……いや、理屈はわかってんですけどね。そううまくいくかどうか。って、そういや、いまいちそこがわかってなくて、壮大なビジョンを展開しようとしてる同級生もいたかも。なんか、街中走り回って撮影するとか言ってなかったっけ? おーい。(^_^;;
 ちょっとおもしろいなあと思ったのは、プリプロダクションのときとプロダクションのときで、メンバーは同じでも体制は変える必要があるって話でした。
 つまり、プリプロのときは、なるべく皆から意見が聞けて活発な議論ができるように、組織はプロデューサー、監督、ライターの3人を中心とした蜘蛛の巣構造の、なるべくフラットな人間関係が良い。でも、プロダクション、つまり実際の撮影が始まったら、監督を頂点とした階層構造をきちんと作って、指示の伝達がスムーズにいって、事故の起きない環境を作ることが大事だという話でした。
 実写は、ちょっとした不注意が、フィルムの出来云々以前に、事故につながる可能性があるから恐いですよね。
 というか、こういうのって、ライターからはなかなか見えにくいことではあるので、言われてみたら当たり前のことなんだけど、それでもちょっと新鮮です。

 さてその次は、映画の物語構造(Narrative Structure)について考えましょう、ということで、映画「マイ・レフトフット」前半の、主人公の少年時代の一場面をまず見せられてから、そこで描かれているエピソードが、どのようにして主人公の内面的な葛藤を物理的かつ直接的な絵として描写しているか、考察させられました。
 要は、これもまあよく言われることですが、「小説と違って映画は登場人物の内面を、その行動によって見せるしかない」ってヤツです。
 これまた、アメリカの小説の書き方本には良く出てくるコンフリクト(対立)というものがあります。物語の主人公は、自分が相対するコンフリクトを乗り越えていく(もしくは回避する、またはそれに敗れる)というのが、物語の基本構造であるというテーゼがあるんです。で、このコンフリクトというのは、自分の内面的なもの(自己実現とか)だったり、誰か敵対する他人(ヒーローものの悪漢とか)だったり、もしくは社会そのもの(社会派ドラマですね)だったり自然が相手(災害パニック映画とか)だったりするわけです。
 といっても、実はたいていの場合、基本的には自己実現の表現手段として、外部に敵対者としての自然とか社会とか他人とかを置いてることが多い、というか、結果的にそういうものと敵対することが自己実現につながっていくわけです。何か目に見える敵対者がいないと、わかりにくいですから。
 同じように、映画の場合、さらにそのコンフリクトを、できるだけ見ていてわかりやすい行動の形に置き換えてあげる必要があるわけです。たとえば、将棋とか囲碁とかポーカーとかの映画なんかでも、主人公たちは勝負のあいだジーッと座っていても、カメラは一所懸命動いたり、いろんなモノを写したり、変化しているもの(コマとかカードとか)を大写しで追ったりして、画面に動きを作って、緊張感を作り出してたりしますよね。
 というわけで、そいうことを「マイ・レフトフット」ではどうやってるのっていう話を皆でしたのでした。まあ、この映画見たことのある人には、答えは簡単でしょう。

 その次は、来週以降に予定されているバガボンド・フィルムと呼ばれている実習の説明と諸注意。これは、実際の映画の一シーンを、自分たちで撮影して再現してみるというものだそうで、今回は「グッド・ウィル・ハンティング」の主人公とヒロインのケンカの場面を撮りなさいと、その場面のシナリオを渡されました。
 なるべく実際通りにやるため、わざわざどっかのモーテルだかホテルだかの一室を撮影現場として借りて、プロデューサーから監督、カメラマン、道具係、役者まで、クラス全員でそれぞれ役割を割り振って準備から撮影、編集まで一通りやるとかで、皆でお金を出し合ってちゃんと撮影中の食事も自分たちで用意する(もちろん、予算管理はプロデューサーの仕事)んだそうです。
 いやあ、あれやこれやといろんな授業を考えるなあ。(^_^)
 で、「それぞれ、自分のしたい仕事の希望を出しなさい」と言われたんで、わたしは「プロデューサーから編集まで、なんでもかまいません」と答えておきました。皆が「オレ、監督!」とかって言い出したら話が進みませんからなあ。とにかくこれは授業なんだし。
 作戦としては、積極的に何でも引き受けてみせる姿勢をアピールしたつもりなんですけど、さて?(^_^;;

 授業の後半はサウンド・エディターのミッジ・コスティンさんが来て、音響についていろいろと話してくれました。
 映画「ジャーヘッド」の砂漠の真ん中で油田が燃えてる中、主人公たちが塹壕を掘ってる場面や、「パンチドランク・ラブ」のオープニング、「アメリ」の駅の場面などを見ながら、音響効果の種類(背景音、効果音、視点を表す音、ライトモチーフ、メタファー等々)やその重要性についての話をされたんですが、なんせ早口なんで、あんまりついていけませんでした。とほほ。(^_^;
 音響の話なのに、画面に何を映しだせば観客にもっとも大きなインパクトを与えられるかを常に考えなさい、という言葉が繰り返されていたのはちょっと考えさせられました。
「台詞は大事だけど、最大のインパクトを与えるためのものではない。それは常に視覚として与えられるモノだ」
 とか、
「音楽、特に歌は使いすぎると逆効果となる」
 とか、サウンド・エディターだからこそ、逆に戒めとして考えていることなのかもしれません。
 でも、
「プロット・ポイント(物語の重要な転換点)には必ず音をつけて、観客の注意を喚起しなさい」
 とも、言っておられました。
 あと、おもしろいなあと思ったのは、自分が仕事に就いた時の話。
 USCの大学院を出て、スタジオで働き出して数日後、編集中のシーンについて、エディターに意見を聞かれたとき、全体の話の構造と関連づけてそこの音のつけ方について意見を言ったら、あっというまに何段飛ばしかで大きな責任を任せられるようになったんだとか。
「場面場面のことだけじゃなくて、何のために編集でその場面をカットするのか、どうしてその音をつけるのかを、全体のストーリー構成と関連づけて説明できたのが、私が認められた理由。大学院で映画の勉強をするということは、そうやって映画を総合的に見る能力をつけるという意味でとても大事なことなのよ」
 と、彼女は言ってました。
 で、最後にも一つ、音響の使い方の良いサンプルとして、「Mr.インクレディブル」のディアナ・モードの家での新作スーツのデモ場面を久々に見せてもらって、爆笑しつつ授業は終了しました。

Dscf1150【上映前】


 そのあとわたしは、いつもアドバイスしてくれたりしている先輩日本人院生のヨシフミ・アツミさんが、ついに卒業制作作品のスクリーニングをおこなうというので、ゼメキスセンター内の試写室へと行ってきました。
 ヨシさんの作品は「Hikeaway」といって、山中のダイナーでふと知り合った、こそ泥と家出少年とのふれあいを描いた、ハートウォーミングな小品でした。

Dscf1152【上映中】


 学生映画が本来苦手な、車、子供、警察が全部出てきているあたり、さすが卒業制作といった出来映えで、オチのハッピーエンドがちょっと強引に見えなくもないものの、きれいにまとまった良い作品でした。
 逆に言うと、いわゆる「映画祭映え」するような極端な何かには欠けている気はするのですが、演出家ヨシ・アツミはこういう正統派のドラマを撮る監督なんだぜ、とアピールする格好のサンプルになっていると思いました。
 将来、ヨシさんがアメリカで活躍するようになったら、「あのとき、卒業制作の最初のスクリーニングを見たんだぜ」と大いに自慢したいと思います。皆さんもぜひヨシ・アツミという名前を覚えておいてください。

Dscf1153【こちらを向いているのが監督のヨシさんです】


 さて、火曜は2本立てなので、そのあとキャンパス内に戻って「映画製作の基礎」。
 今回は、ドキュメンタリー映画のプロデューサー兼監督兼脚本家(アカデミー賞3回受賞)であり、USCの教授でもあるマーク・ハリス(ウィキペディアの記述はこちら)さんの講義だったんですが、その前にまず担任のブレンダから初めて宿題が出されました。

 これがまたユニークで、新聞記事から映画のネタを拾ってこいというもの。
 まず、来週の月曜のニューヨークタイムズとロサンゼルスタイムズを両方買って隅から隅まで読み、
1.ストーリー(記事)を3つ選ぶ。
2.それぞれのストーリーについて、以下の設問に答える。
 a)ドキュメンタリーなのか、ドラマ化か?
 b)どんなマーケット(TV、映画、もしくはゲームとか)向きか?
 c)形式は短篇? 長篇? それともシリーズ?
3.ストーリーのうちの一つを選んで、
 a)一段落分のあらすじを書く。
 b)一文でログライン(惹句)を書く。
 c)企画の売り先を明確に想定する(TVならどこのネットワーク局向きだとか、もしくはケーブル局に持っていった方が良いとか、どこの映画会社向きだとか)。
 d)この企画のどこが良いのか説明する。

 いやあ、大事ですよね、企画書書いて会議に出るとき、こういう具体的なことって>経験者の皆様。何度も企画書ボツになる前に習っておきたかったよ、ママン。(^_^;;
 さて、皆どんな答えを書いてくるのか楽しみです。って、回収するだけで見せてはくれないのかな?

 ともあれ、宿題が出たあと、この日のゲスト講演者のマークの話となりました。もちろん内容は「ドキュメンタリーを撮ること」。
 マークによれば、ドキュメンタリー作家にとって今は最高の時代なんだそうです。
 第一にビデオ機器の発達によって安価に製作できるようになったということ。デジタルビデオカメラによる撮影と、コンピュータを使った編集によって、今までとは比べものにならないくらい安価に作成できるようになったというのです。
 そして第二に、今は長篇ドキュメンタリーには劇場公開(それも全国規模)の道が大きく開けているということ。毎年、何本ものドキュメンタリー映画が劇場公開され、商業的成功を収めているというのです。まあ、言われてみればけっこう見てますわな、わたしも。
 この2つの特徴の端的な例が、たとえば「スーパーサイズ・ミー」みたいな映画なのでしょう。

 マークに言わせると、ドキュメンタリーが今までになく人々に見られるようになった背景には、一つにはテレビにおけるリアリティ・ショーの流行で、人々がドラマではないものを見ることに抵抗がなくなっていること、もう一つには、人々が作られたドラマチックなもの以上に、リアルなものに飢えているということなんだそうです。もちろん、これはアメリカに限った話ですけど。

 ドキュメンタリーそのものについての話は、
「ドキュメンタリーは世界を探検するツールである」
「ドキュメンタリーにもストーリーテリングはあり、それはフィクションと変わらない」
「ドキュメンタリーのストーリーテリングの鍵は、キャスティングと撮り方にある」
「プライベートな題材をドキュメンタリー化するのもおもしろい」
「LAは人種のるつぼ。いくらでもドキュメンタリーのテーマは転がっている」
 等々、蘊蓄には満ちていても、まあ割とわかってる話ばかりと言っちゃうと失礼でしょうか。(^_^;;

 そういう話の合間に、マーク自身が若い頃に撮った森林破壊の実態に迫った「The Redwoods」(1967年)、彼のUSCでの生徒が卒業制作で撮った「Alf Landon」(1989年)(第二次大戦前、ルーズベルトに大統領選で敗れた元カンサス州知事アルフ・ランドンが、87年に100歳の誕生日を迎える前後の様子を、彼の孫が記録したもの)といった短篇や、マークが現在製作中のシカゴマラソンを題材とした長篇「Land of the Gods」の予告編などを見せてもらいました。
 特に「Land of the Gods」はむちゃくちゃおもしろそう(12台以上のカメラでシカゴマラソンの模様を撮影しているとか)で、劇場公開されたら見に行かねば、とか思っちゃいましたよ。

 なんか、わたしも、科学関係、それも今最先端の研究をしている科学者や技術者に焦点を当てたドキュメンタリーとか、ちょっと撮ってみたくなりました。いや、もちろん基本的にはフィクションというか、大手映画会社就職志望なんですけどね、今んとこ。

 それにしても、授業でこんなに映画ばっか見ることができて、むちゃくちゃ楽しいっす。先生たちも皆話がうまいし。
 やっぱおもしろいなあ>映画学部。

 というわけで、実はもう今日(木曜)の授業も終わってるんですけど、長くなりすぎたし、その話はまた明日。

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2007年1月30日 (火)

演出の基礎?

 今日の授業は「製作1」の中の別科目でアクティング(Acting)と呼ばれている講義でした。日本風に言うと「演出」でしょうか。
 先生のスティーヴ・アルブレッティさんは、NY出身で舞台畑が長かった(舞台俳優から舞台監督)人だそうで、オフ・ブロードウェイなんかも経験しているものの、映画の仕事はあまり多くないようです。
 さて、授業の方は、映画「卒業」の、主人公を年上の人妻(おお、ミセス・ロビンソン!)が誘惑しようとする、ものすごく有名な1シーンを取り上げ、その一つの場面のあいだに、二人のobjective(目的)がいかにして変化し、それに合わせてどのように態度をadjustment(適応)させ、結果的にどのようなphysical activity(実際の行動)を取ったかについていちいち考察させ、その変化が起こった瞬間に気づかせるというものでした。
 そして、その瞬間こそが、芝居のターニングポイントであり、それを俳優たちにいちいち指示するのではなく、自分たちで気づくようにアシストするのが監督の役割であるとのことでした。スティーヴいわく、「『アクション』の声がかかったとたん、役者はその場面を0から演じ始めることになる。監督はその場面のbeat(ビート、もしくはリズム?)を頭に入れておいて、それを俳優に伝えないといけない」とか。
 すべてのアメリカ式演出がそうかどうかはわからないけど、少なくともUSCでは演出をそんなふうに捉えて、教えているという話でした。
 そしてさらに、映画全体まで話を広げて、そのテーマは何か、主人公のSuper Objective(究極の目的)は何か、どのようなメタファーで主人公の心理や状況が表現されているか、等についての講義が進められました。
 なるほどと思ったのは、生徒の一人が、
「そういうメタファーは、普通の観客にはわからないものではないんですか?」
 という疑問をぶつけたら、スティーヴが、
「意識的に理解できなくても、潜在意識にイメージとして受け取られるものだよ。それより、こういうメタファーを利用することの利点は、映画の製作に方向性を与えられることだ。俳優たち、美術監督やカメラマンといったスタッフたちに、『どういうストーリーについて、どんなふうに撮るのか』を伝えやすくなるからね」
 と指摘した点でした。そう言われてみれば、確かにそういう説明を本読みでしたりすることもあるよなあ。とか、今さら膝を叩くダメなわたし。(-_-;;
 それにしても、今日ようやくもらったシラバスはてんこ盛りで、全然授業はそこまで進んでないんだけど、どうするんだろう。てか、なんでこんなに読まないといけないテキストが山のようにありますか? いや、なんかようやくアメリカの大学の授業っぽいクラスを見つけた感じではありますが。(^_^;;
 とりあえず、次回までの宿題は「ブギー・ナイツ」、「セックスと嘘とビデオテープ」、「ザ・プレイヤー」のシナリオを全部読んで、それぞれの中から一カ所ずつ気に入った箇所を抜き出しておくことだそうで。
「映画本編は見ないように。見たことある人は、忘れなさい」って言われてもなあ。普通、映画ファンなら好き嫌いはともかく見てはいるだろう……って、わたしと他の同期生のあいだには年齢差があるんでしたね、基本的に。(^_^;;

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2007年1月29日 (月)

Gender & Sexuality Week

Dscf1143

Dscf1143b


 明日からUSCは“Gender & Sexuality Week”なんだそうです。
 基本的には男女のつきあい方についてとか、同性愛についての認識の持ち方とか、そういったことを学生たちに伝えるという、まじめな意図の企画なんだと思うのですが(違うのかなあ?)、個々の講演とか行事とかは、ポルノ映画の監督が来たり、ゲイバーに見学に行ったり、大人のオモチャにふれてみたりって、遊んでいるとしか思えないような気も。(^_^;;
 ちなみに、個人的に一番ツボだったのは「男たちを母親から引き離すこと」という講演タイトルでありました。いや、それは確かに重要かも(笑)。

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昨日のことなど

 昨日は、学科の先輩日本人であるヨシさんとミッチさんに誘われ、ヨシさんちで鍋を皆でつつきながら、USCの学生たちの卒業制作作品や、ヨシさん自身の1学期目の制作作品を見せてもらったりしました。
 鍋の材料は日系のスーパーで買ったんですけど、薄切りにした肉売ってるのは日系スーパーだけなんですかね、やっぱ?(^_^;;
 いやー、久々に食べた和食はやっぱうまかったっす。(^_^)

 それにしても、見せてもらった作品はどれも完成度が高くて(いや、卒制のいくつかは、シナリオに関してはもうちょっとどうにかすればいいのに、というのは正直ありましたが)、特にヨシさんの作品は、「1学期目からそこまでできてますか?!」という完成度で、ヨシさんとミッチさんは「これ見たら安心しますよ」と言ってくれたんですが、わたしはいよいよ困ってしまいました。いやー、ダメだと思うな、自分は。
 ヨシさんが偉いなーと思うのは、どんどん同期生たちを巻き込んで、協力してもらっているところ。ヨシさん曰く「アメリカはギブ&テイクなんで、手伝ってあげれば、その分手伝ってくれますよ」ということなんですが、今のところ、誰のも何にも手伝えてないもんで、手伝ってくれとも言いにくいのでありました。てか、「手伝うよ」と言っても適当に答えを濁されてたりして。うーむ。(^_^;;

 英語のしゃべりがまずいんで、コミュニケーションがめんどくさいから、お互いに必要最低限以外の会話をしていないもんで、こういうところでツケがまわってきているわけです。つっても、まだ授業始まって3週間なんだけどなー。(-_-;;
 なんというか、実習に関しては技術以前のところで煮詰まっているのでした。まあ、いまいちうち解けた世間話とかができてないわたしもいかんのですが、それっておたくがもっとも苦手とする類のことだしなー。しかも、おたくの得意なテレビや映画のディティールの話をしようとすると、向こうがすーっとひいちゃったりするし……。結局、いくつになってもおたくの人はおたくじゃない人とはコミュニケーションが難しいということなのかっ?!
 でも、ここ突破して、同期生に友達を作っていかないと、卒業制作なんて絶対作れないしなあ。もっと流暢に英語がしゃべれるようになればいいのか、それとももっと合う話をできないとダメなのか。とにかく会話が1分で途切れる気まずい状況を打開すべく、試行錯誤中なのでありました。とほほ。

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2007年1月27日 (土)

さて困った

 今日はまず朝から奨学金の説明会。うーーん、留学生でももらえるらしいですが、よっぽど良いフィルム撮りでもしない限り、選ばれるのは大変そうですなあ。

 午後は例によって厳しい「脚本・基礎」。あー、話が見えないだけじゃなくて、他の生徒とことごとく感性がずれてるんで、うまいヘタ以前に、明らかに一人だけ違う方を向いてる感が漂ってて、座っててしんどいのでありました。まいったなー。
 ちなみに、先生のスコットが毎回脱線…じゃなくて、実際の自分の体験談を話してくれるのが一番おもしろいんですが、今回はテレビの脚本家がどんな生活をしてるかという話で、どっかで聞いたことがあるような苦労話をいろいろとしてくれました。ああ、やっぱ日本もアメリカも変わらんなあ。

 違うところと言えば、こっちじゃ基本的にDVDの印税とかを脚本家はもらえない契約になってるんで、どれだけヒットしても関係ないんだよー、という話。そこは日本よりひどいですが、ゴールデンタイムの番組だと30分1話で普通2万ドルくらいはもらえるんだそうで、そこがずいぶん日本と違う気が、というか、最初からそんだけもらえてればそれで良いのかも。(^_^;; だいたい、それって基本額で、売れっ子はもっともらってるんだろうし。
 でもって、よく噂で聞くんですが、アメリカでは没になった企画でもシナリオ料は出るんで、何年か、ずーっと1本も映像化されないまま、新番組のパイロットとかのシナリオを書いてて、億万長者になった友達がいる、なんて話もしてくれました。
 ジョージ・R・R・マーティンは、そういうのがイヤで、ハリウッドの仕事やめて、もう一回小説に専念して〈氷と炎の歌〉書き始めたという話ですが、まあこれは難しいとこですなあ。とりあえず、お金がもらえれば良いような気もするし、お蔵入りになる原稿ばかりが貯まっていくのはつらい気もするし。

 で、スコット曰く、業界入りする一番の近道は、
1.制作会社やTV局、映画スタジオなどのインターンになって、下働きをしながらコネを作ること。
2.良いシナリオを書き上げること。
 だそうで、「学校の中に閉じこもってないで、できるだけ外に出ていって、プロと接触するのがいい。せっかくロサンゼルスの、それもUSCにいるという利点を生かさないとダメだよ」とのことでした。彼自身もそうやって仕事に入ったんだそうです。なるほどねー。やっぱ夏のインターンシップはなんとしても勝ち取らないと!

 もっとも、それ以前に今期の授業を生き残らないとねえ。これから2ヶ月ちょいで短篇を3本撮らないといけないわけですが、どうやったらいいんだか、今んとこ皆目検討もついていないのでありました。出来とかはどうでもいいから、一人でも撮れるように、なるべく規模を小さく単純にしたネタを考えてはいるのですが、それでも、どうやったら一人で撮れるのか、さっぱりわからんのでした。
 わたしにゃ絶対ムリだなー>自主制作とか。
 とにかく、不可にならないようになんとか提出だけはして、乗り切ってしまいたいと思っているのですが。てか、これ落としちゃうと、ドロップアウトしちゃうんで、むちゃくちゃマズイのでした。うーむ、困ったー。

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2007年1月26日 (金)

照明は難しい

 今日の「製作1」は、一昨日より広いスタジオを使い、5,6人ずつ3班にわかれて、それぞれ照明を効果的に使った1シーンを考え出し、それを撮影するという実習でした。理屈は一昨日教わったとおり。キー+フィル+バックライトの3点照明で、効果的に対象物を照らし出すというもの。始める前に、前回同様今日も実例としていくつかの映画のシーンを見せられました。「シン・レッド・ライン」の兵舎のシーン、「ピアノ・レッスン」の森のシーン、そして「刑事ジョン・ブック/目撃者」の納屋のシーン等々です。確かにどれもきれいですが、そんなの今の我々には夢のまた夢ってかねー。(^_^;;
 しかも、他の2班は、前日にある程度打ち合わせをしていたみたいなのですが、わたしたちの班は皆シャイなのか、何の話もしていなかったため(結局、皆、誰かが何か言い出すんじゃないかとお見合い状態になっちゃってた模様)、その場でどんな場面にするか決めなければいけなくなったのでした。
 わたしはなるべく手を出さないでうしろで見ていたかったのですが、誰もアイデア出さなくて、「何かないか?」って聞かれたんで、その場で簡単にできるアイデアを言ったら、とたんに監督に指名されてしまって、大変困りました。わしゃこんなところで悪目立ちしたくないんじゃー。てか、責任を誰かに押しつけるなーーー。若者たちはもっと前に出て自分を売り出していただきたい。(^_^;;
 というわけで、急場しのぎでなんとかホラーっぽい場面を撮ったのですが、あんまり恐くならなかったのは、一つにはわたしの英語がまずくて意図が伝わりにくかったのと、もう一つは皆あんまり最近のホラーとか見てなくて、いまいち古くさい絵に流れがちだったからだと思います。やっぱ、ちゃんと事前に打ち合わせして全員の意識を合わせとかないと、その場しのぎじゃどうにもなりませんなあ。
 さらに言うと、どういう絵にしたいかはイメージできても、どういうふうに照明あてたらそれが実現できるか、全然わかってないもんで、今はまだちゃんと監督なんてできませんよ。いやあ、難しいや、照明は。というか、皆に指示出すとかって苦手ですだ。やっぱ監督は向いてないかも~>自分。
 それにしても、セッティング、打ち合わせ、撮影、片づけと、6時間立ちっぱなしで実習してたら、腹が減って腹が減って。つい、今日は夕食にハンバーガー、それもカールズJrの1000キロカロリーもするベーコンチーズバーガーを食べてしまいました。明日は一日、サラダと果物だけにしよう。とほほ。

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2007年1月24日 (水)

オーディションの心得/照明の基礎/アカデミー賞候補作/プロデューサーの仕事

 あー、やっぱ火曜はしんどい。って、まずは昨日(月曜)の話から(というわけで、今日は長ーーーいですぜ)。

 月曜は、正規の授業はお休みだったんですが、役者さんたちのオーディションとキャスティングのやり方についての説明会がありました。
 学生映画でも、SAG(スクリーン・アクターズ・ギルド)と大学とで話し合いができてて、プロの役者を使っても良い、というか、ちゃんと使いなさいね、というあたりが、まさにロサンゼルスならでは、という感じであります。同じアメリカでも他の都市だとなかなかこうはいかないのではないかと。
 というわけで、SAGの人と、オンライン・キャスティング・サービス会社(要は、インターネットに広告を出したら、役者さんが返事を返してくれるというページを運営してる会社)の人が来て、どういう風にやるのがいいのか、話をしてくれました。
 というか、最初は大学の先生の方から注意事項の嵐だったんですけど。「こないだ、オーディションで@@@@@ということがあって」とか「この前、卒業制作の現場で@@@@なことがあって」とかで「役者さんが怒って帰っちゃったんだよ。よい評判はなかなか広まらないが、悪い評判はあっという間に広がるからね。後輩たちのためにも、きちんとプロ意識を持って製作に当たって欲しい」とのことでした。あー、伏せ字のところはご想像に任せます。まあ、たいしたことじゃないと言えば言えるけど、そりゃプロが怒って帰っちゃってもしょうがないかもなー、というようなレベルの話ですた。(^_^;;
 オーディションのやり方そのものの詳細は省きますけど、おもしろいなあと思ったのは、「落としちゃった人にこそ、メールか電話(電話のときは必ず適切な時間帯を選ぶこと)を返すこと」
「落とした理由はあまり事細かに言っちゃダメ」
「将来別の仕事で会いたい、とか言っておくこと。実際問題、自分がプロになってから会う確率は結構高いんだから」
 といったようなアドバイスでした。
 特に最後のは、オーディションにきてくれた役者さんたちの中から、将来大スターが絶対出てくるんだから、良い関係を作っておきなさい、ということでした。
 逆に、役者さんたちが学生の作る実習の短篇映画に無料で出てくれるのは、
1.もしかしたら何年かしたら、大監督になってるかもしれないから。
2.どんな短篇映画でも、自分のプロモーション映像になるから。
 だそうです。
 特に2については、売れてない人はもちろん、たとえばテレビでコメディに出てる人が、シリアスな芝居をしてみせるチャンスだと思ったら、自分の演技の幅を映像として残せるから、出てくれたりすることがあるんだそうです。
 だから、もし仮にその映画が完成しなかった場合でも、撮ったフッテージは出てくれた役者さんに渡しなさい、とも言われました。もちろん、完成したら役者さんたちにコピーを渡すんだそうです。
 あ、あと、いつも言われてることですが、ここでも、「撮影中はちゃんとした食事を用意しておくこと」って話をまたもされました。「ドーナツとコーヒーだけとかじゃ絶対ダメ」だそうです。簡単なのでいいからケータリング頼むべきなのかなあ? お金かかりますよねえ、それってやっぱ。
 いやー、上でも書きましたが、いろんなことがいかにもハリウッドな感じですよねー。
 とか感心してないで、オーディション、どうすんだーー?!>自分の短篇。(^_^;;

 そして、今日はまず「製作1」の実習から。
 今日は「ライティングの基礎」ということで、いつもの教室から撮影スタジオ内に移って、まずはスライドを見ながら講義を受けてから、実際に照明器具の取り扱い(組み立て、セッティングから分解まで)をやってみて、そのあとさらに簡単なセットを組んで、直接照明や間接照明をあてながら、ビデオカメラで撮影するという実習をしました。
 これがまたおもしろくて、「地獄の黙示録」の冒頭、マーティン・シーンがサイゴンのホテルの一室にこもって、窓越しに表を見ている場面をまずビデオで見てから、
「これって、前のカットで外の絵が挿入されてるから騙されるけど、このカットは本当にホテルの中で撮ってるわけじゃないよね。それを再現してみよう」
 と、先生のアンジェロが言って、窓際から差し込む夕日が人の顔にあたるところを、照明を使ってできるだけ再現してみたりしたのでした。
 いやー、見てるのはおもしろいけど、現場でこれを自分で考えるのは大変だーー。
 もう一つ、今日の授業でおもしろかったのは、アンジェロが、
「今はスタジオの中だから、いくらでもデカブツの照明が用意できるけど、外で撮影するとなると、なかなかそういうわけにはいかないことも多い。特に、たとえ持っていったとしても、電源の容量が足りなくなることがあるから、注意するように。それよりも、頭を使えば、そこらへんにあるものでいくらでも照明の工夫はできるんだよ」
 と言って、手作りの間接照明とかの入った自分の道具箱を見せてくれたことでした。
「これなんか、最近、ハリウッドじゃみんな使ってるんだよね」
 なんて言いながら、わざとひびを入れた鏡を使って、照明の光を一回反射させてみたりして。
 やっぱ「良いカメラマンと良い照明さんは大事にせんといけないよね」と他人事のように思ったあとで、少なくとも今期の授業は自分でこれもなんとかしないといけないことに気づいて、青ざめてしまったのでありました。細かいこと、向いてないんやーー。(T_T)

 問題は授業のあと。「恒例」だということで、クラス全員(といっても「製作1」は同期生を4クラスに分けてるから10数人だけですが)で近所のカフェに行って軽い食事をしながら雑談することになったんですが……、こういうのって苦手なんですよねー。(^_^;;
 しかも、皆早口になっちゃってるから何言ってるか全然わからんし、「壁の花」に徹してしまいましたよ。
 うーむ、ルームメイトとは仲良くやってんだけどなー。どうにもまだとけ込めないんだよなー、この集団。だって、おたく、ほとんどいないし。いや、努力したいと思います、ええ。(^_^;;

 そのあとは、再度学校に戻って「映画製作の基礎」。
 今日はまず、今年のアカデミー賞の短篇部門にノミネートされたUSCの卒業製作作品「ウェストバンクストーリー」が上映されました。
 タイトル聞いて「?」と思ってたら、なんとこれ「ウエストサイド物語」のイスラエル版パロディなのでありました。
 イスラエル郊外に隣り合わせに立っているユダヤ人一家とパレスチナ人一家のファーストフード店同士のいがみ合いを背景に、ユダヤ人兵士とパレスチナ人少女の純愛を描いて、しかもちゃんとミュージカル仕立て(ただし音楽はすべて中東風のオリジナル曲)になってて、オチはハッピーエンドという、なんとも強烈な短篇映画だったのです。
 きちんと作り込まれてて、ギャグもかっちり決まってるし、政治的メッセージ(仲よきことは美しきかな)もはっきりしてるから、あちこちの映画祭で受けまくったあげくに、とうとうアカデミー賞の候補になったというのはよくわかりますが、まあ、パレスチナ問題の当事者たちは見たら不快に思うかもなあ。(^_^;;

 そのあと、この映画についてとか、卒業製作で短編映画を作ることについてとかの質疑応答のあと、本日の授業の本題「プロデューサーの仕事とは何か」に移りました。
 本日の講師は、この授業の担任でもあるブレンダ・グッドマンさん。
 学外では主にインデペンデントのプロデューサーとしてドキュメンタリーを作ってる人ですね。
「わたしは元々政治的なドキュメンタリーを作ってた人間で、左翼な人だから、授業中もどんどん政治的な発言はするけど、別に反対意見の人でも成績は公平につけるから、どんどん反論してもいいわよ。ただし、一通り議論は受けてもらいますけど」
 だそうでした(笑)。
 インデペンデントのプロデューサーというと、知り合いに仙頭さんみたいな人もいたりはしますが、実際にどんなふうに仕事をしてるかはよく知らないので、アウトラインだけとはいえ、聞いていて興味深かったです。
 特に「へー」と思ったのは、製作中は、
「毎週のコスト計算書をチェックする」
「毎日のデイリー・プロダクション・レポートをチェックして、監督と話し合いをする」
 といったあたりでしょうか。いや、そういう「予算管理」とか「進行管理」があることはわかってたんですが、ちゃんとレポートを出すことがきちんと義務づけられてんのかあ、というのが、わりと新鮮だったのでした。
 もひとつ、「うーむ、そうかあ」と思ったのは、
「企画を最初に立ち上げ、内容にもっとも密接にコミットするのはプロデューサー」
 という話。ハリウッドじゃ、プロデューサー>ライター、そしてもしかしたら主演スター、ときてから、ようやく監督を誰にするかって話になるんだよってことでした。まあ、プロデューサー兼監督兼ライターなんて人もいたりはしますが。アメリカのTVはまったくもってプロデューサー(だいたいメインライター兼任)主導だってのはわかってはいたのですが、映画もけっこうそうなのかあ。

 とか、書いてたら、こっちじゃ日付が水曜に変わっちゃいました。さて、明日は原稿書きに戻らねば。

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2007年1月23日 (火)

買い間違い (^_^;;

 昨日は、いろいろあった日でした。
 まずは、朝起きて「製作1」の先生から次の授業についての覚え書きやら宿題やらのメールが何通もどーっと届いてて、あわてて読むことに。7通くらいあったか?

 今週の「製作1」は撮影時の「照明」についての基礎をやるということで、有名な絵画をいろいろ見て、そこで使われている照明の効果について考えろ、とか、キューブリックの「突撃」(懐かしー)を見て、そこでの照明の使い方が、主人公であるカーク・ダグラスの立場のメタファーになっていることを確認しろとかってのが宿題(つまりレポート書けってことです)。
 そして、照明の種類(機材の種類と方式の種類の両方)についても、写真付きの長文のメイルが来ていて、今週の火曜と木曜は、ゼメキス・センター内のステージで実際に照明をあてながら撮影する実習をするから、全員「革の手袋」(照明は熱いんで絶対素手では扱わないように、とのお達し)を持ってくるように、と書いてあったのでした。
 教科書だってあるというのに、どうして毎回手書きのレジメが……>先生。
 いや、熱心なのはありがたいのですが。(^_^;;
 ちなみに、「製作1」は先生が3人いて、撮影の先生はアンジェロ・パシフィッシさんという方です。
 最近だと「トレマーズ4」のBカメラ・オペレータとかやっておられますな。先週はディズニー行ってCMの撮影してたらしいし、現役バリバリの撮影の人です。

Dscf1093


 まあ、革手袋の話は前の授業で聞いてはいたのですが、なんせどこでどんなの買って良いかわかんない。
 そこで、とりあえずと思って、バスに乗って久々にベバリー・センター(ウエストハリウッドにあるショッピングセンター、というか、モール)まで行ってみました。
 で、百貨店に入って紳士服のところで一番安い(といっても50ドルもする)革の手袋買ったんですけど、これが全くの大まちがいだったのでした。作業用の4~5ドルの革手袋というのが、工具屋さんに行くと売ってるんだそうで。(^_^;;
 こういう大ポカやっちゃうところが素人の悲しさであります。

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 ということを知ったのは、帰ってきてからで、買ったときはそんなことも知らずに「とりあえず、一つクリア」とかって安心して、ベバリー・センターの斜め向かいにあるボーダーズというチェーン店の本屋に行って、「突撃」のDVD買ったり、新刊チェックしたり(ダン・シモンズ出てました……が、ハードカバーには手が出せず、ヴォネガットのチョップブック買ったり、ベストセラーになってる未訳ミステリのペーパーバック買ったりして。(^_^;; やっぱ、さっさとブッククラブにはいるべきか?)してから、またバスに揺られて帰ってきたのでした。

 そしたら、大学横にあるスタバの前で、映画製作科日本人卒業生のミッチさんに偶然呼び止められ、ミッチさんと同期で今まさに卒業制作が佳境に入っているもう一人の日本人であるヨシさん、そしてヨシさんの彼女の3人と、そのままお茶>コーリャン・タウンで韓国料理(辛いけどうまかった!)>再びお茶というコースで、夜遅くまで映画の話やなぜか関西の話なんかで大いに盛り上がってしまいました。
 やっぱ、他に日本人がいないなか、3年間USCでの生活を切り抜けてきたこの二人はすごく偉いと思います。わたしはすごく恵まれてますからね。こっちに来ても、この二人もいれば、日本人の友達も最初からいて、すごい楽な状況がありますから。
 ちなみに、ヨシさんは今ゼメキスセンターでTAやってるんで、ほんとにいろいろお世話になってます。
 で、ここでミッチさんから革手袋の話を聞いて、愕然となってしまったのでした。がーーん!(^_^;;

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 あー、しかし、土日は遊びすぎた。そして、日本語でしゃべりすぎた!(うるさくてすいませんでした>ミッチさん、ヨシさん。(^_^;;)
 さて、気合い入れ直して、宿題やって仕事しなきゃ!

 というわけで、また新しい1週間の始まりです。
 今日は、定時の授業はないんですが、夕方に俳優のオーディションとキャスティングのやり方についてワークショップがあるので、聞きに来いとのこと。どういう説明がされるのか、今から興味津々です。
 ではでは。

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2007年1月20日 (土)

AVID再び

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 今日の授業は、まず午前中はゼメキス・センターでAVID編集システムの操作チュートリアル第2弾。主にミニDVテープとのあいだのデータの出し入れについてでした。
 まあ、ソフトの使い方が難しいというよりも、テープとか素材の取り扱いについての、学内での取り決めとかのほうが煩雑なのかも。 特にテープにタイムコードをつける管理方法については、ものすごく厳密に決められてて、それでもこれだけ何度も注意されるということは、つい間違って勝手なタイムコード入れちゃう生徒が毎年いるってことですよね。わたしもポカやらないようにしたいものです。いや、この手のポカは得意なんで、ちょっと恐いんですけど。
 これで一応AVIDの講習は(計8時間で)終了。あとはもう実際に実習で撮ったテープを編集せんといかんわけですが、さて、どうなりますことやら。(^_^;;

 さて、午後からは、「脚本・基礎」の2回目。今回は前回の続き(3つの短いシーンを書いて、同じ場所で、時間の経過に合わせて、2人の登場人物の関係が変化するのを、台詞なしで表現する)と、生徒個々人に「思い出の品」を一つずつ持ってこさせて、それについて話をさせるという授業でした。
 前者はともかく、後者はなんでそんなことをするかというと、そうやって個々人に話をさせて、登場人物のキャラクターを特徴づけるのにその人物が持っている小物を利用するのがいかに効果的か、わからせようという意図があったのでした。なるほどねえ。
 あと、あいかわらず、シナリオの書き方は正確に、という話が多かったんですが、その中で一つおもしろかったのは、「80年代までは、映画とテレビではシナリオのスタイルは全然違っていたけど、最近はテレビから越境してくる人たちが多いので、映画のシナリオもテレビ的な書き方になってきている」という話でした。内容はもちろん、書式もそうだってことです。

 しかし、休憩時間に先生に脇に呼ばれて「きみは英会話の手助けをしてくれる人のところにいってレッスンした方が良い」と忠告されたのはまいりました。いや、確かにダメなのはわかってますが、こればっかりはなかなかねえ。
 てか、焦ると文法や単語が頭の中から消え去って、途端に初歩的な単語の羅列になっちゃうのが問題なんだけど、考えながら話そうとすると、話の腰を折るというか流れを断ち切っちゃうしねえ。
 まあ、ときどき言ってることがわからないと聞き返したりしてるのと相まって、相手にしてみたら「こいつ、全然英語がわかってない!」と思ってしまっているのはよくわかるのですが。困ったなあ。9割以上はわかってんですけどねえ。一番大事なところで聞き取れなくて聞き返しちゃうのがいかんのだろうなあ。

 写真は、先週のコンベンションで見つけた特撮Tシャツ。「サンダ対ガイラ」の写真が裏焼きになっちゃってたりして、もうなんだかなあ。(^_^;;

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2007年1月19日 (金)

笑いはとったが……

 えー、今日の「製作1」の授業は先週末撮った1分ムービーの鑑賞会でした。
 いやー、正直どうしたもんだかなあ。
 わたし以外の生徒の多くは、がっちりした絵作りで、ちゃんと照明もプロップ使ったりして、友達だかなんだか役者も用意して、しかも制限時間をわりとオーバーして、なんだかストーリーらしきものがあるようなフィルムを作ってきてました。まあ、風景だけのイメージ映像みたいな人も何人かいましたけど。
 で、皆でそれを見ながら「何を感じた?」とか「どう思う?」とかって意見を言い合うという授業でした。
 まあねえ。正直、ほとんどのものが「ストーリーらしきもの」を作ろうとして、制約(1分以内で台詞なし)に負けちゃって「らしい」ところで止まっちゃってて、見ていてしんどかったっす。いや、カットをきちんと割ったり、照明に気を配ったり、ちゃんと演技指導してたり、そういう意味では実に立派だったんですけど。
 一方わたしは結局なんにも思いつかないうえに、編集もできないもんで、ルームメイトに手伝ってもらって、プールサイドに立ってるわたしに水がどーっとかかるという、アホらしい絵を、一発撮りして、撮って出ししちゃったのでした。
 一番笑いは取った(先生も笑ったしね)ものの、フォーカスが甘いとか、照明のことを何も考えてないとか、まあ先生からは一番厳しい指摘をいただきました。時間がなかったっていうのもあるけど、そういうことに全く興味がないのがモロに出ちゃいましたね、咄嗟の時に。
 勝負に勝って試合に負けたって感じでしょうか。いやあ、やっぱ向いてないわ>カメラマン。これから3週に1回、短篇を撮らねばならんわけですが、先は厳しそうだなあ。まあ、とりあえず提出さえしていれば、単位を落とすことだけはないはずなんで、なんとか堪え忍んでいきたいと思います。(^_^;;

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 さて、寮に戻ったあと、明日の「脚本・基礎」の宿題を買ったばかりのプリンタで打ち出していたのですが、ここで問題なのが「書式」というヤツ。先生の方から「シナリオの書式は大事だからね。この世界で、プロとしてやっていこうと思ったら、業界で皆が使ってる書式で書かないと」とうるさく言われていたのでした。
 まあ、日本のシナリオにも書式というのはあるわけですが、アメリカのはまた独特なんですよね。台詞はセンター合わせだし。
 もっとも、先生曰く「書式を合わせるためにも、シナリオ執筆用のソフトウェアを使いなさい。そうしたら、勝手に合わせてくれるから」とのこと。
 どうやら、日本と違ってアメリカでは、今やシナリオ執筆用のエディタソフトが完全にプロのあいだにも普及しているようです(ちなみに先生のスコット・ゴードンはこんな人です)。
 さらに先生曰く「定価で買うと高いけど、うちの学部の学生向けには特別に値引きしてくれているはずだから、シナリオ科の事務局に行って聞いてみなさい」とのこと。
「将来、売れっ子脚本家や監督が生徒たちの中から出たら、自社の製品を宣伝してもらおうと思ってるのさ」だそうで、いやあ、このへんもアメリカは日本とずいぶん違います。
 というわけで、某社の製品を手に入れ、さっそくそれに書き上げた原稿を放り込んで、印刷してみたんですけど、こりゃ確かに簡単だわ。今度からは、書くときからこのソフトを使ってみようっと。

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 とかってやってたら、大学から「犯罪警報」のメイルが。
 どうやら、近所で夜中に学生が襲われたようです。先週も似たような事件の報告がゼメキスセンターの掲示板に貼られてたし(どちらも犯人はSUVに乗った3人組の若い黒人)、もしかしたら、オヤジ狩りならぬ学生狩りが横行してるのか?
 ああ、夜は気をつけて、なるべく一人では歩かないようにしよう。

 などと怯えているわたしですが、5件隣のフラタニティハウスでは、今(午後9時半)まさにパーティが進行中の模様。おお、まさに「アニマルハウス」。てか、学部生は元気が良いなあ。帰り道で暴漢に遭ったりするなよ。(^_^;;

 ちなみに、今回の写真は、夜の寮の中庭、てか、プールです。

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2007年1月18日 (木)

レジメを書いてみる

Dscf1058 昨日の授業で言われた話を聞いて、いよいよこれはさっさと自分から行動を起こさないと、卒業したけど職はない、てなことになりかねないと思い、とりあえず行動してみることにしました。

 まずは、英文で自分のレジメ(履歴書)を書いてみました。
 次に、映画学部のキャリア相談の申請書をネットで探して、そこに必要事項を書き込み、作ったばかりのレジメを添付して送信してみました。
 これには、毎月何回かのグループでの相談と、申し込み順で行われる1対1での相談とがあって、卒業後の職探しについて、今から相談に乗ってくれるんだそうです。さて、どんな話が聞けるのかな?

 さてその次に、今度は学科の事務室に行って、インターンシップについて聞いてみました。
 係の人によると、
「インターンシップの行き方は二通りある。一つは自分で勝手に応募して、勝手に雇ってもらうこと。もう一つは、まあだいたいはこっちなんだけど、相手の会社が『大学の承認が必要』としている場合で、この場合は授業としてクラスに登録してもらう必要がある。どっちにしても、まずはインターンを募集している相手の会社に申請を出してOKをもらわないといけないけどね」
 とのこと。でもって、
「きみはまだ最初の学期だろう。だったら、もうちょっと学校に慣れる2年目か3年目でも遅くないと思うよ」
 だそうで。

 まあ、せっかく来たんだからと、募集している会社の一覧を見せてもらったんですが、小さいとこから大きい会社まで、けっこうあるある。ただ、確かに今の学期みたいに、ほぼ毎日授業があって学校に貼りついてないといけないと、ちょっと募集要件に当てはまらない感じです。なんせ、たいていの場合「最低週に2日以上は平日通常勤務ができること」ってあるんだもんなあ。それはムリでしょう、やっぱ。
 夏休みまで待って、夏の募集を探した方がいいのかなあ。
 ものは試しなんで、一カ所出してみようかとは思っているのですが。さて、どうなるかな?

 写真は昼過ぎに大学の北側から撮った写真。ここんとこ、LAでは例外的に夜になるとむちゃくちゃ寒いんで、授業がないときはさっさと帰って寝たくなっちゃいます。(^_^;;

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昨日の授業

 一昨日の月曜日はマーティン・ルーサー・キング・デイということで、アメリカは休日だったんで、今週は昨日の火曜から大学が始まりました。

 昨日の「製作1」は編集入門ってことで、編集ソフトのAVIDの基礎的な使い方を4時間かけて実習しました。あー、コンピュータ使い慣れてる人間にとってはどうでもいい話が長くて、肝心の作業詳細がやたら話が早くて詰め込みすぎなのがちょっときつかったっす。
 先生のレイン・クレアさんはもちろん現役の編集の人。
「機械が編集してくれるわけじゃない」
「ソフトでどう処理するかに頭を使うひまが30分あったら、その時間をストーリーを考えるのに使いなさい」
「すべてはストーリーに奉仕するためにあるのです」
 と、編集の心得を繰り返し語っていました。

 夜の「映画製作の基礎」、昨日の講師はフォトグラファー科の主任で映画カメラマンのクリス・コーミンさん。
 自分が撮影監督をした作品を見せながら、撮影監督の仕事とか、なんで自分が撮影監督になったかとかについて語ってくれました。
 スケジュールの関係で夜間なのに昼間の絵を撮ったり、逆に昼間に夜のシーンを撮ったりという、いかにも映画的な撮影の実例を見せてくれながら、なんでそうしたのか、どういう方法で何に気をつけながら撮ったのか、という話をしてくれて、とてもおもしろかったです。
「映画の7割はクローズアップ。それが、お客さんが見たがってるものなんだ。だからこそ、あとの3割、どんな絵を見せるかが大事なんだ」
 とか、
「ぼくはまず監督にどんなシーンを撮りたいか聞いて、彼の話し方から、監督が大事だと思っているのは何なのかを知るところから始める」
 とか、なかなかに蘊蓄のあるお話でした。

 ちなみに、この授業でも他でもそうなんですけど、どの先生も常に、
「これから君たちはこの学校で自分の適性というものを探っていくことになる。だから、今から『わたしは@@になるんだ』と固執して自分の可能性を狭めてはいけない。特に、映画監督志望の諸君にとって、今のテレビ界はとてもやりがいがある上に、昔と違って映画界とクロスオーバーが盛んなところだから、そこのところを忘れないように」
 と繰り返し言っているのが印象的ですね。

 わたしの場合、みんなに借りてるお金も返さなきゃいけないし、卒業したらとりあえずはどっかに(再)就職して、きっちりお金を稼ぎたいんですが、外国人がアメリカで就職するには就労ビザを発行してもらう必要があって、これがなかなか難しいということらしいです。
 で、昨日はちょっとそのことをクラスの担当の先生に聞いたんですけど、そしたら、
「なんで日本に帰って映画の仕事をしないの?」
 ってあっさり言われちゃってがっくり。そんなつもりだったら、わざわざこんな苦労してここまで来とるかーーーい!
 なんだかなあ……。
 あー、進路指導の先生と今度じっくり話したいと思います、ええマジで。(-_-)

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2007年1月14日 (日)

シェリー・バーマンとの夕べ

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 昨夜は、いつもは「製作1」のクラスで出かけているロバート・ゼメキス・センターまで行って、コメディ俳優のシェリー・バーマンのインタビュー・ショーを見てきました。
 よくNHKでやってる俳優インタビュー番組のUSC版みたいな感じですね。ただし、スタッフは全員学生なんで、あそこまでしっかりした作りじゃなかったですが。
 最初にシェリー・バーマンの登場シーンばかりを集めたビデオを流したんですが、この人はとにかく芸歴の長いおじいさんなので、「ローハイド」や「ミステリー・ゾーン」、「バークにまかせろ」あたりから、「冒険野郎マクガイバー」や「フレンズ」、「ラリーのミッドライフ★クライシス」といった作品の登場シーンまで、とにかく盛りだくさんというか、長かった長かった(いや、おもしろかったんですが)。
 そのあと、ようやく御本人が登場、とたんにろくにホストにしゃべるまも与えないで、とにかくしゃべるしゃべる。いやー、すごかったっす。これって、基本的には俳優科の学生たちを対象にしたものらしく、「自分の才能を信じて、とにかく演じ続けなさい」とか、一時はUSCで先生もやってたというだけあって、インタビューというよりは講義みたいな感じで、学生たちに説教してました。
 また、トークだけじゃなく、短い一人でやるコントというかスケッチも3本もやってくれたし、なかなかおもしろかったです。特に最後の長いスケッチは、自分が若い頃、役者になると言って家を出たときに、怒りながらもお金を出してくれた父親との電話のスケッチで、笑わせるだけ笑わせて、最後にほろりとさせるオチをつけるところが秀逸でした。
 これから、どんどんこういうのが生で聞けるのかなあ。いやあ、楽しいなあ……、授業以外は。(^_^;;

imdbに載っているシェリー・バーマンのバイオグラフィ

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